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超常現象研究会

十七時二十八分発の列車 1

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 時刻は十七時二十分。僕たちは前原駅のホームで最後の電車を待っていた。

 待っている間に、小山内先輩にたずねる。

「小山内先輩の占いって、当たるのですか?」

 すると小山内先輩は苦笑いを浮かべた。

「さあね? 私もタロット占いは最近始めたばかりだから」
「はあ?」
「あのねえ。的中率が高かったら、最初から使っているわよ。占ってみてハズレだったら大恥でしょ。だから今までタロットを使わなかったけど、今回で最後だから、一か八かやってみただけ。だから、期待なんかしないでね」

 まあ、そんな事だろうと思っていたけど……

 そんな話をしている間に電車が来た。

 この電車で痴漢が出やすいのは五両目と六両目。

 五両目に僕と小山内先輩と六星先輩が、六両目に美樹本さんと樒と華羅先輩が乗り込む。

 式神は全車両を回って、痴漢が見つかったらミクちゃんが一斉メールを送る手はずになっていた。

 それはそうと、前原駅で乗ったときは大して込んでいなかったのに、次の駅で人が大勢乗り込んできた。

 どうも何かのイベントがあったみたいで、その帰りの人たちのようだが、その圧倒的な人の流れで僕たちは引き離されてしまう。

 身動きもとれないほどの混雑の中で、誰かが僕の尻を撫で回しているのが分かった。

 うう……気持ち悪い……

 早くスマホを……ダメだ。身体を前の人の背中に押しつけられて、内ポケットのスマホが取り出せない。

 ひ! 痴漢の手がスカートの中に……ヤダ! 気持ち悪い! 誰か……

 先輩たちとは引き離されてしまったし、樒は隣の車両。頼みの綱はミクちゃんの式神だが、式神の気配を感じない。

 近くにはいないみたいだ。

 うわ! 耳に息を吹きかけてきた。

 やめろ! 変態! 

「お嬢ちゃん。気持ちいいかい?」

 今の男の声? こいつがやっているのか?

 気持ちいいわけないだろう!

 可能な限り首を後ろに回した。

「いい加減にしろ! 変態! 大声出すぞ」

 囁くような小声だったが、それでも奴には聞こえたようだ。今まで僕を触っていた手が引っ込む。

 その直後の事。

「この人痴漢です!」

 背後で男が叫んだ。

 いやいやいや。今の声って『気持ちいいか』と聞いてきた声と同じ声! 痴漢の奴、近くにいた人に罪を擦り付けたのか?

 これって、水上先生をはめた奴と同じ手口。

 と言うことは、小山内先輩の占いが的中した?
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