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超常現象研究会

囮作戦2

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「まったく、助けに行くはずのあんたが助けられてどうすんのよ?」

 あきれ顔で樒がそう言ったのは、次の駅で痴漢を駅員に引き渡した後、ホームで帰りの電車を待っているときのこと……

「まったく、面目ない」

 今の迷惑防止条例では、男性に対する痴漢行為も規制対象となっていると駅員から聞いて、警察を呼んだのだが、被害届けを出す手続きを終わると、周囲はすっかり暗くなっていた。

 もうこんな時間では何もできない。今日は解散と言うことにして彼女には帰ってもらった。


「さっき言ったでしょ。ホモの痴漢もいるって」  

 せっかく捕まえたのはいいけど、相手がホモでは意味がない。幽霊おじさんに罪を擦り付けた奴とは明らかに違う。

 さらに警察を待っている間に駅員に聞いてみたが、あの時間帯のあの区間では痴漢被害がかなり発生しているらしい。

 つまりそれだけ痴漢が多いわけで、その中から目的の痴漢を見つけだすのはかなり難しい。

「他の方法で、幽霊おじさんの名誉を回復できないものだろうか?」
「別に名誉を回復しなくても、おじさんが成仏してくれれば私たちとしてオーケーな分けだし」

 それはちょっと薄情な気がする。まあ、確かに僕たちとあのおじさんは赤の他人なのだから、そんなに親身になる事もないのだが……

「ねえ優樹」
「なに?」
「あの幽霊おじさん、どっかで見た覚えない?」

 え? 言われてみれば……どっかで見かけたような……

「ニュースか何かで、あの人の顔は出たっけ?」

 樒はスマホを操作してニュースサイトを検索した。

 だが、どのニュースにも幽霊おじさんの顔と名前は公表していない。

 しかし、あの顔は確かに見覚えがあった。

「ニュースには出ていないけど、優樹も見た覚えがあるとしたら、私たち共通の関係者という事ね」

 僕と樒の共通の関係者というと、学校か霊能者協会。

 ただし、すぐに思い出せないという事はどちらの組織でも、顔を見かけただけの人という事か。

 いったい誰なのだろう? 名前ぐらい聞いておけばよかった。
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