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超常現象研究会
駅の霊2
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僕は男の元に歩み寄って名刺を差し出した。
「初めまして。霊能者協会から派遣されました社 優樹と申します。あなたが名刺を受け取れない事は分かっていますから見るだけでいいですよ」
男は一瞬驚いたような表情浮かべた。
「僕を払いに来たのか?」
「最終的には成仏していただきますが、あなたが悪霊化さえしなければ強制除霊はいたしません」
「僕は除霊されてもかまわない。だが、話だけは聞いてくれ」
「ええ。そのため僕たちはここへ来たのです」
「良かった。このまま痴漢の罪を着せられていては、残された女房子供に肩身の狭い思いをさせてしまう。職場にも迷惑をかけてしまう。そんな事になっては、死んでも死にきれない」
「では、あなたは痴漢をしていないのですね」
「当然だ。僕はあの時左手で吊革を掴み、右手で鞄を持っていた。痴漢などできるわけがない」
なるほど、確かにその状態で痴漢ができるとは思えないな。言っていることが事実なら……しかし、持っていた鞄はどうなったのか聞いてみたら、男に腕を捕まれ持ち上げられた時に落としてしまったというのだ。
辻褄はあっているが……だからと言って簡単に信用するわけには行かない。
などと言っていると、樒が妙な提案をした。
「それなら再現実験やってみたら」
再現実験?
樒は幽霊の方を向いた。
「おじさん。身長はいくつ?」
「え? 百八十六センチだが」
「私より少し高いわね」
次に樒は女子高生の方を向く。
「あなたの身長は?」
「百四十八ですけど……」
僕と同じ身長だな。
「やはりね。これだけ身長差があると、満員電車の中で痴漢は難しいと思うわね」
そうなのかな?
「優樹。ちょっと、彼女の横に立って」
「こうか?」
「身長はほぼ同じね。じっとしていて」
そう言って樒は僕の背後に回り込み……
「ひゃうう!」
思わず情けない悲鳴を上げて僕は飛びのいた。
何があったのかって? 樒がいきなり僕の尻を撫でたのだよ。
「優樹。動いちゃだめよ」
「いきなり尻を触られて、動くなって方が無理だろ!」
「それもそうね。じゃあ、今から優樹のお尻を触りまくるからジッとしていてね」
「いや、予告したってダメだから……」
僕の抗議などおかまいなしに、樒は背後から僕を左手で押さえつけ、右手で僕の尻を触りまくった。
やめろう!
「ふむふむ。私の身長で優樹のお尻をなで回すには、かなりしゃがみこむ必要があるわね。身動きのとれない満員電車の中では無理だわ」
「それを確かめるだけなら、手のひらを僕の尻の高さに持ってくればいいだけだろ。なで回す必要がどこにある?」
「何言っているの。再現実験よ。正確に再現しないと意味ないじゃない」
あのなあ……
「とにかく、これでおじさんの無罪は確定したから、後はもう成仏してもらってもいいんじゃない?」
「あのう……」
幽霊おじさんは困ったような顔をして言った。
「あなた方に納得して頂くだけでは困るのですが……ちょっとスマホでこの事件を検索してもらえませんか」
幽霊おじさんに言われた通りスマホで検索すると、ヤッホーニュースに『痴漢男ホームから飛び降りる』という見出しの記事が見つかった。記事ではもう完全におじさんが犯人と決めつけているし、記事についたコメントもおじさんを避難する書き込みで溢れている。
悪名高い某掲示板も、専用スレが立っていた。
「そうか。世間一般に納得してもらわなきゃだめね」
しかし、どうやって?
「そりゃあ、本物の痴漢をとっ捕まえて白状させるのよ」
いや無理だろう。だいたいどうやってやるつもりだ?
「初めまして。霊能者協会から派遣されました社 優樹と申します。あなたが名刺を受け取れない事は分かっていますから見るだけでいいですよ」
男は一瞬驚いたような表情浮かべた。
「僕を払いに来たのか?」
「最終的には成仏していただきますが、あなたが悪霊化さえしなければ強制除霊はいたしません」
「僕は除霊されてもかまわない。だが、話だけは聞いてくれ」
「ええ。そのため僕たちはここへ来たのです」
「良かった。このまま痴漢の罪を着せられていては、残された女房子供に肩身の狭い思いをさせてしまう。職場にも迷惑をかけてしまう。そんな事になっては、死んでも死にきれない」
「では、あなたは痴漢をしていないのですね」
「当然だ。僕はあの時左手で吊革を掴み、右手で鞄を持っていた。痴漢などできるわけがない」
なるほど、確かにその状態で痴漢ができるとは思えないな。言っていることが事実なら……しかし、持っていた鞄はどうなったのか聞いてみたら、男に腕を捕まれ持ち上げられた時に落としてしまったというのだ。
辻褄はあっているが……だからと言って簡単に信用するわけには行かない。
などと言っていると、樒が妙な提案をした。
「それなら再現実験やってみたら」
再現実験?
樒は幽霊の方を向いた。
「おじさん。身長はいくつ?」
「え? 百八十六センチだが」
「私より少し高いわね」
次に樒は女子高生の方を向く。
「あなたの身長は?」
「百四十八ですけど……」
僕と同じ身長だな。
「やはりね。これだけ身長差があると、満員電車の中で痴漢は難しいと思うわね」
そうなのかな?
「優樹。ちょっと、彼女の横に立って」
「こうか?」
「身長はほぼ同じね。じっとしていて」
そう言って樒は僕の背後に回り込み……
「ひゃうう!」
思わず情けない悲鳴を上げて僕は飛びのいた。
何があったのかって? 樒がいきなり僕の尻を撫でたのだよ。
「優樹。動いちゃだめよ」
「いきなり尻を触られて、動くなって方が無理だろ!」
「それもそうね。じゃあ、今から優樹のお尻を触りまくるからジッとしていてね」
「いや、予告したってダメだから……」
僕の抗議などおかまいなしに、樒は背後から僕を左手で押さえつけ、右手で僕の尻を触りまくった。
やめろう!
「ふむふむ。私の身長で優樹のお尻をなで回すには、かなりしゃがみこむ必要があるわね。身動きのとれない満員電車の中では無理だわ」
「それを確かめるだけなら、手のひらを僕の尻の高さに持ってくればいいだけだろ。なで回す必要がどこにある?」
「何言っているの。再現実験よ。正確に再現しないと意味ないじゃない」
あのなあ……
「とにかく、これでおじさんの無罪は確定したから、後はもう成仏してもらってもいいんじゃない?」
「あのう……」
幽霊おじさんは困ったような顔をして言った。
「あなた方に納得して頂くだけでは困るのですが……ちょっとスマホでこの事件を検索してもらえませんか」
幽霊おじさんに言われた通りスマホで検索すると、ヤッホーニュースに『痴漢男ホームから飛び降りる』という見出しの記事が見つかった。記事ではもう完全におじさんが犯人と決めつけているし、記事についたコメントもおじさんを避難する書き込みで溢れている。
悪名高い某掲示板も、専用スレが立っていた。
「そうか。世間一般に納得してもらわなきゃだめね」
しかし、どうやって?
「そりゃあ、本物の痴漢をとっ捕まえて白状させるのよ」
いや無理だろう。だいたいどうやってやるつもりだ?
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