42 / 271
通りすがりの巫女
データカード争奪戦 2
しおりを挟む
倒れた樒に槿さんが駆け寄りガードを取られてしまう。
「ほほほ。取り返したわ」
「槿さん。そのカード。エラの電撃食らったけど……」
「え?」
槿さんはデジカメにカードを差し込んで確認した。
「ああ! データが全部壊れている!」
やったあ! これで恥ずかしい映像は消えた。
「この馬鹿女! 少しは手加減しなさい」
槿さんは倒れているエラを蹴りつける。
「痛たた。どうした?」
エラがむっくりと起き上った。
「どうしたじゃないわよ! あんたの電撃で、データが消えちゃったわよ」
「心配するな。あのデータはすでにネットに保存してある」
え? という事はオンラインストレージに……
「次の落ち着き先が決まったら。ゆっくり回収すればいい」
「そうね」
冗談じゃない! 削除させないと……
「そいつは無理だな」
その野太い声がかかったときに初めて気が付いた。僕達はカーキ色の制服に身を包んだ屈強な男達に囲まれている事に。
屈強な男達に混じって、僧侶や修験者、巫女姿の人達もいる。
この人達って?
バスストップには、この人達が乗ってきたと思われる車が数台止まっていた。
「おのれ!」
エラが電撃を使おうとするが、巫女が何かの術を使った途端に動きが硬直してしまった。
尼僧が槿さんの前に進み出る。
「我々は霊能者協会警備隊の者です」
「そんな事は、見れば分かるわよ」
僕は警備隊を見るの、初めてだけど……
「それは話が早いですね。それで御神楽 槿さん、エラ・アレンスキーさん。あなた達を強制修行施設に連行します。無駄な抵抗はしないように」
「この状況で抵抗するほど馬鹿じゃないわよ。それで、私はどの車に乗ればいいの?」
「車? いえ、あなた達はあれで護送します」
尼僧が空を指さした。
指さした先の空にヘリコプターが飛んでいる。
それを見た槿さんの顔が青ざめた。
「冗談でしょ?」
「いいえ。今回はヘリコプターに乗せて可及的速やかに連行せよとの事で」
「止めてよ。私は高所恐怖症なのよ」
「もう決まった事ですから」
「人権侵害よ。訴えてやるわ」
「協会支部長までお勤めになったお方が今更何を仰っているのですか。協会内で起きた事は、超法規的処置で片づける事になっているでしょ。あなたもやっていたじゃないですか」
「いや! お願い! 車で運んで! ヘリコプターは嫌!」
槿さんの叫びも空しく、ヘリコプターに二人は押し込められた。
そのまま、飛び去って行くヘリコプターを僕と樒は見送る。
「ところでさ、エラはデータをどこに保存したのかしら?」
樒が呟いたのは、ヘリコプターは山の陰に消えたとき。
しまった! 聞き出すのを忘れていた。
まあ、いいか。オンラインストレージに保存されたのなら、誰にも見られる事はないだろう。
「ほほほ。取り返したわ」
「槿さん。そのカード。エラの電撃食らったけど……」
「え?」
槿さんはデジカメにカードを差し込んで確認した。
「ああ! データが全部壊れている!」
やったあ! これで恥ずかしい映像は消えた。
「この馬鹿女! 少しは手加減しなさい」
槿さんは倒れているエラを蹴りつける。
「痛たた。どうした?」
エラがむっくりと起き上った。
「どうしたじゃないわよ! あんたの電撃で、データが消えちゃったわよ」
「心配するな。あのデータはすでにネットに保存してある」
え? という事はオンラインストレージに……
「次の落ち着き先が決まったら。ゆっくり回収すればいい」
「そうね」
冗談じゃない! 削除させないと……
「そいつは無理だな」
その野太い声がかかったときに初めて気が付いた。僕達はカーキ色の制服に身を包んだ屈強な男達に囲まれている事に。
屈強な男達に混じって、僧侶や修験者、巫女姿の人達もいる。
この人達って?
バスストップには、この人達が乗ってきたと思われる車が数台止まっていた。
「おのれ!」
エラが電撃を使おうとするが、巫女が何かの術を使った途端に動きが硬直してしまった。
尼僧が槿さんの前に進み出る。
「我々は霊能者協会警備隊の者です」
「そんな事は、見れば分かるわよ」
僕は警備隊を見るの、初めてだけど……
「それは話が早いですね。それで御神楽 槿さん、エラ・アレンスキーさん。あなた達を強制修行施設に連行します。無駄な抵抗はしないように」
「この状況で抵抗するほど馬鹿じゃないわよ。それで、私はどの車に乗ればいいの?」
「車? いえ、あなた達はあれで護送します」
尼僧が空を指さした。
指さした先の空にヘリコプターが飛んでいる。
それを見た槿さんの顔が青ざめた。
「冗談でしょ?」
「いいえ。今回はヘリコプターに乗せて可及的速やかに連行せよとの事で」
「止めてよ。私は高所恐怖症なのよ」
「もう決まった事ですから」
「人権侵害よ。訴えてやるわ」
「協会支部長までお勤めになったお方が今更何を仰っているのですか。協会内で起きた事は、超法規的処置で片づける事になっているでしょ。あなたもやっていたじゃないですか」
「いや! お願い! 車で運んで! ヘリコプターは嫌!」
槿さんの叫びも空しく、ヘリコプターに二人は押し込められた。
そのまま、飛び去って行くヘリコプターを僕と樒は見送る。
「ところでさ、エラはデータをどこに保存したのかしら?」
樒が呟いたのは、ヘリコプターは山の陰に消えたとき。
しまった! 聞き出すのを忘れていた。
まあ、いいか。オンラインストレージに保存されたのなら、誰にも見られる事はないだろう。
1
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる