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通りすがりの巫女
気絶している間に……2
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状況を理解するのに、僕は数秒を要した。
「うわわわわわわわわ!」
理解した時、僕は絶叫していた。
「だから、知らない方が幸せだって言ったのに」
「樒! 知らなきゃいいって問題じゃないぞ。そんな恥ずかしい写真撮られて、ネットにばらまかれるかもしれないじゃないか!」
「大丈夫。槿さんは自分のコレクションにして楽しむだけだから」
「なんだって槿さんはそんな事を?」
「だから言ったでしょ。槿さんは、ショタコンだって」
「それは分かったけど、これだけ買い揃えるのに、いくら掛かったんだ?」
「値札ついているから、計算してみたら」
「そういう問題じゃなくて……」
「全部で十二万三千二百十六円になります」
突然、計算結果を言ったのはミクさんのウサギ式神。
「この子、計算得意なのよ」
そう言ってミクさんはウサギ式神を抱き上げた。
「ああ! でも、カンニングには使っていないからね」
誰もそんな事聞いていないって……
「十二万って……なんでこんなしょうもない事に、そんな大金つぎ込めるんだ!?」
「そういう人なのよ。槿さんって。趣味のためには金に糸目をつけないの。そのために、霊能者達に不正請求をさせて、その上前をはねていたのよ。何せ、小学生の頃から上前をはねられ続けていた私が言うのだから間違えないわ」
ううう……槿さんを少しでも良い人だなんて思った僕がバカだった。
「ところで、この服どうします?」
ミクさんがワンピースをつまみ上げていた。
「ううん……十二万も出して買い揃えた物をただ捨てるのももったいないし……優樹。 あんた、それもう一度着てみない?」
「誰が着るか!」
結局、この服はミクさんが引き取る事になった
母さんの車が到着したのは、日が登りかけた頃。
僕の話を聞いた母さんは、お姉さんを供養するために祭壇を用意してくれた。
「それじゃあ、お姉さん。いろいろとお世話になりました」
祭壇の上に浮いている幽霊お姉さんに、僕は軽く頭を下げた。
「いいって。おかげで、あたしもようやく、成仏できるんだから。次に生まれる時は、君の娘になりたいな」
「どうして?」
「君なら、優しいお父さんになりそうだし」
「そうですね。まあ、まだまだ先の話ですけど」
母さんに袖を引っ張られて僕は振り向いた。
「優樹。名残惜しいのは分かるけど、供養を急がないと」
「どうして?」
「はやく槿ちゃんを追いかけないと、ドバイへ逃げられちゃうでしょ」
「そうだった!」
八時の便で、成田を立つと言っていたな。
「あ! ちょっと待って」
突然、お姉さんが祭壇から降りてきた。
「あいつらの事だけど、言い忘れた事があった」
「うわわわわわわわわ!」
理解した時、僕は絶叫していた。
「だから、知らない方が幸せだって言ったのに」
「樒! 知らなきゃいいって問題じゃないぞ。そんな恥ずかしい写真撮られて、ネットにばらまかれるかもしれないじゃないか!」
「大丈夫。槿さんは自分のコレクションにして楽しむだけだから」
「なんだって槿さんはそんな事を?」
「だから言ったでしょ。槿さんは、ショタコンだって」
「それは分かったけど、これだけ買い揃えるのに、いくら掛かったんだ?」
「値札ついているから、計算してみたら」
「そういう問題じゃなくて……」
「全部で十二万三千二百十六円になります」
突然、計算結果を言ったのはミクさんのウサギ式神。
「この子、計算得意なのよ」
そう言ってミクさんはウサギ式神を抱き上げた。
「ああ! でも、カンニングには使っていないからね」
誰もそんな事聞いていないって……
「十二万って……なんでこんなしょうもない事に、そんな大金つぎ込めるんだ!?」
「そういう人なのよ。槿さんって。趣味のためには金に糸目をつけないの。そのために、霊能者達に不正請求をさせて、その上前をはねていたのよ。何せ、小学生の頃から上前をはねられ続けていた私が言うのだから間違えないわ」
ううう……槿さんを少しでも良い人だなんて思った僕がバカだった。
「ところで、この服どうします?」
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「ううん……十二万も出して買い揃えた物をただ捨てるのももったいないし……優樹。 あんた、それもう一度着てみない?」
「誰が着るか!」
結局、この服はミクさんが引き取る事になった
母さんの車が到着したのは、日が登りかけた頃。
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「いいって。おかげで、あたしもようやく、成仏できるんだから。次に生まれる時は、君の娘になりたいな」
「どうして?」
「君なら、優しいお父さんになりそうだし」
「そうですね。まあ、まだまだ先の話ですけど」
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「どうして?」
「はやく槿ちゃんを追いかけないと、ドバイへ逃げられちゃうでしょ」
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突然、お姉さんが祭壇から降りてきた。
「あいつらの事だけど、言い忘れた事があった」
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