31 / 269
通りすがりの巫女
神?
しおりを挟む
誰かと、間違えられているのだろうか? 僕は人から恨まれる覚えは……まったくないとは言えないけど、少なくとも殺意を抱かれる程の恨みを買った覚えはない。
「ええっと、そんな事言われた覚えはないのだけど。そもそも、僕と君は初対面だろ」
不意に彼女は僕にスマホを突き付けた。
これは、僕のスマホ?
画面に出ているのはミクシイのトップページ。
「これが何か?」
「ミクシイネーム アトラスとはお前か?」
「そうだけど」
「くくくくく」
「何がおかしい?」
「お前、身長はいくつだ?」
「う!」
「さあ、言ってみろ」
「ひゃ……百……六十……」
「嘘をつけ」
「百五十」
「まだ、嘘を付いているな」
「嘘じゃない。四捨五入すると百五十になるんだ」
「まあ、いい。そんなチビのくせにアトラスとはな。これが笑わずにいられるか」
くそおおお……
「おまえは、よほど身長を伸ばしたいらしいな。だからこうして天井からぶら下げてやった。少しは背が伸びるかもしれんぞ」
「余計なお世話だ! そもそもこんな方法で背が伸びるわけないだろう! 僕がぶら下がり健康器に、どれだけぶら下がっていたと思っているんだ!」
「そうか、そうか。効果はないのか。まあ、いい。それより、これを覚えているか?」
彼女がスマホを操作して出したのは「陰陽師平安戦記」の僕のマイページ。
そこから、掲示板を出した。
さっき、エラが書きこんでメッセージが表示されている。
え? 『見つけ出して、殺してやる』ってエラの書き込み!
「あの……君……ひょっとして……」
「そう。私がエラだ」
女だったのかよ! しかも少女!
「すぐにレベルを上げて私の反撃を受けていれば許してやったものを、バカな奴だ」
「まて! まて! まて! たかがゲームじゃないか! ゲームの恨みで普通やるか! こんな事」
「私はやるんだ」
そうきっぱりと言われても……
「それに私は日本の時代劇で見たぞ。将棋で対戦相手から『待った』と頼まれたのに『待ったなし』と突っぱねた結果、切り殺されたバカな侍を。ゲームの事での刃傷沙汰は昔から普通にある事だ」
そんな事言われても……
「そんな事言うけど、ゲームで汚いことをやったのはお前が先だろ。ゲームの設定上反撃のできないミクさんに、毎日攻撃をかけていたくせに」
「黙れ! あいつを見ているとなぜか怒りが湧いてくるのだ。もしかすると、前世であいつに殺されたのかもしれない」
「前世って……キリスト教徒は、転生なんて信じないんじゃないの?」
「白人だからキリスト教徒というのは偏見だぞ」
「ああ、仏教に改宗したの?」
「いいや、私は既存の神や仏など信じてはいない」
「無神論者という事?」
「いや、無神論ではない。神は確かにいる」
「いるんだ」
「現にここにいるだろう」
「え?」
はて? 霊視したけど、この部屋に神と言えるほどの高等な霊的存在は見当たらないな。地縛霊はいるけど、さっきからエラの出している猛烈な邪気に怯えているし……浮遊霊はいない。みんな逃げ出してしまったようだ。
「いないじゃないか」
「いるだろ。ここに」
そう言って、エラが指差したのは、他ならぬ自分自身だった。
「は……?」
「この私、エラ・アレンスキーこそが新世界の神だ!」
こ……こいつ……想像以上にアブナイ奴だった。
「ええっと、そんな事言われた覚えはないのだけど。そもそも、僕と君は初対面だろ」
不意に彼女は僕にスマホを突き付けた。
これは、僕のスマホ?
画面に出ているのはミクシイのトップページ。
「これが何か?」
「ミクシイネーム アトラスとはお前か?」
「そうだけど」
「くくくくく」
「何がおかしい?」
「お前、身長はいくつだ?」
「う!」
「さあ、言ってみろ」
「ひゃ……百……六十……」
「嘘をつけ」
「百五十」
「まだ、嘘を付いているな」
「嘘じゃない。四捨五入すると百五十になるんだ」
「まあ、いい。そんなチビのくせにアトラスとはな。これが笑わずにいられるか」
くそおおお……
「おまえは、よほど身長を伸ばしたいらしいな。だからこうして天井からぶら下げてやった。少しは背が伸びるかもしれんぞ」
「余計なお世話だ! そもそもこんな方法で背が伸びるわけないだろう! 僕がぶら下がり健康器に、どれだけぶら下がっていたと思っているんだ!」
「そうか、そうか。効果はないのか。まあ、いい。それより、これを覚えているか?」
彼女がスマホを操作して出したのは「陰陽師平安戦記」の僕のマイページ。
そこから、掲示板を出した。
さっき、エラが書きこんでメッセージが表示されている。
え? 『見つけ出して、殺してやる』ってエラの書き込み!
「あの……君……ひょっとして……」
「そう。私がエラだ」
女だったのかよ! しかも少女!
「すぐにレベルを上げて私の反撃を受けていれば許してやったものを、バカな奴だ」
「まて! まて! まて! たかがゲームじゃないか! ゲームの恨みで普通やるか! こんな事」
「私はやるんだ」
そうきっぱりと言われても……
「それに私は日本の時代劇で見たぞ。将棋で対戦相手から『待った』と頼まれたのに『待ったなし』と突っぱねた結果、切り殺されたバカな侍を。ゲームの事での刃傷沙汰は昔から普通にある事だ」
そんな事言われても……
「そんな事言うけど、ゲームで汚いことをやったのはお前が先だろ。ゲームの設定上反撃のできないミクさんに、毎日攻撃をかけていたくせに」
「黙れ! あいつを見ているとなぜか怒りが湧いてくるのだ。もしかすると、前世であいつに殺されたのかもしれない」
「前世って……キリスト教徒は、転生なんて信じないんじゃないの?」
「白人だからキリスト教徒というのは偏見だぞ」
「ああ、仏教に改宗したの?」
「いいや、私は既存の神や仏など信じてはいない」
「無神論者という事?」
「いや、無神論ではない。神は確かにいる」
「いるんだ」
「現にここにいるだろう」
「え?」
はて? 霊視したけど、この部屋に神と言えるほどの高等な霊的存在は見当たらないな。地縛霊はいるけど、さっきからエラの出している猛烈な邪気に怯えているし……浮遊霊はいない。みんな逃げ出してしまったようだ。
「いないじゃないか」
「いるだろ。ここに」
そう言って、エラが指差したのは、他ならぬ自分自身だった。
「は……?」
「この私、エラ・アレンスキーこそが新世界の神だ!」
こ……こいつ……想像以上にアブナイ奴だった。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる