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第十七章

転落

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 ええい! 考えても仕方ない。

 僕は前方のドローンに向かって加速した。

 後方の三機の事など、あいつらを落とした後で考えればいい。

 ん? 前方で敵ドローンが一機、黒煙を吹き出した。

 そのまま落ちていく。

 ミールがやったのか?

 違った。

 ヘリ四号機の開いたドアから、一人の兵士がこっちへグッドサインを向けている。

 フルフェイスのヘルメットを被っているので顔は見えないが、ずいぶんと小柄な兵士だな。

 女性か? いや、それにしては胸がない。

 まあ……女性だからと言って胸はあるとは限らないが……おそらく小柄な男性兵士だろう。

 まさか、子供じゃないだろうな?

 小柄な兵士が手にしているのは、フッ化重水素レーザー銃。

 彼がドローンを落としてくれたのか。

 残りの一機は?

 視線を残りの一機に向けると、ミールの放った爆矢がドローンの至近距離で爆発していた。

 ドローンは、そのまま爆炎の中へと突っ込んでいく。
 
 爆炎の中からドローンが再び姿を現した時には、左側の主翼を失っていた。
 
 そのままドローンは落ちていく。

 残るは、後方から来る三機。

 ショットガンを構えた。

 しまった! 弾切れ。

 マガジンを交換している間に、かなり距離を詰められてしまった。
 
 それでも何とか一機を落としたが、二機が僕の側を通り抜けヘリ部隊へ向かう。

「ミール! そっちへ二機向かった。落とせるか?」
『大丈夫です。まだ、矢は残っています』

 四号機の兵士も、レーザー銃を構えている。

 彼もまだ撃てるようだな。

 前方を飛行していたドローンが、黒煙を吹き始めた。

 レーザーを照射されたようだが、あまりダメージを受けていないような……

 あ! 四号機の兵士、カートリッジを交換している。

 あっちも弾切れだったか。 
 
 それでも、ドローンの速度は落ちたようだ。

 程なくして、手負いのドローンは後方から来たドローンに追い抜かされる。

 この調子だと、ヘリ部隊にたどり着く前に落ちそうだな……ん?

 不意に、手負いのドローンは進路を反転した。

 僕の方へと向かってくる。

 ヘリ部隊に到達できそうにないので、せめて僕の妨害だけでもしようという気だな。

 かまわず迂回しようとしたが、ドローンはしつこく僕の進路へ回り込んでくる。

 だが、それも長くは続かない。

 プロペラの回転が弱まっていき、ついには停止した。

 これで放っておいても落ちるな。

 と、思った時、突然ドローンは爆発した。

「イナーシャル コントロール二G!」

 急速降下で、爆風を避けた。

 そのまま僕は、海面すれすれまで降りる。

 少し遅れて、ドローンの破片が落ちてきて、海面にいくつもの波紋が生まれた。

 残るドローンは一機。

 上を見ると、ミールの爆矢がドローンの至近距離で爆発していた。

 しかし、ドローンは損傷を受けながらも動きは止まらない。

 四号機の兵士が、レーザー銃を構える様子が見えた。

 カートリッジ交換を終えたようだが、もうドローンが近すぎる。

 ここで爆発したら、ヘリ部隊にも損害が……

 その時、ドローンが爆発した。

 ヘリ部隊は無事か?

 各ヘリは、爆風を受けて大きく揺れていたが、大きな損害はないようだ。

 ヘリの屋根から矢を撃っていたミールが落ちてしまったが、あれは分身体だから大丈夫だな。

「キャー!」

 いや、大丈夫じゃない。

 ヘリの開いたドアから、分身体ではなくミール本人が落ちてきた。

 助けないと……
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