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第八章

戦闘開始

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 エラが、僕と同じ時代の人間だと?

「さっきは『武士の情け』とか言っていたけど、日本語も分かるのか?」

 そうだとすると、まずい。

 こいつに日本語は分かるのなら、成瀬真須美と会話していた事も知られてしまったか?

「それは無理だ。ただ地球にいた頃の私は、日本のアニメや時代劇、特撮ヒーロー物が好きだったので、多少の単語程度は覚えている」

 そうか、『武士の情け』を一つの単語だと思っていたな。その程度の日本語知識なら、成瀬真須美との会話も理解できていないだろう。

 それにしても……

「特撮ヒーローとか、時代劇とか、あんたにしては意外な趣味だな」
「私がそれを見てはおかしいのか?」
「だって、ヒーローものとか、時代劇とか、ほとんど勧善懲悪ストーリーだろ。あんたみたいな残忍な人が好むとはとても思えない」
「くくくくく」

 何がおかしいんだ?

「あははははは! 勧善懲悪? 何それ? 美味しいの? 君は思い違いをしているぞ。カイト キタムラ。私が好むのはヒーローが悪を倒すストーリーではない。正義面しているヒーローが、悪にやられて苦しんでいる姿が大好きなのだ」
「な!?」
「スーパーヒーローが敵にやられて磔にされたり、身体をバラバラにされたり、少年忍者が敵の忍術に苦しめられたり、少年探偵が怪盗に捕えられて、鞭で打たれたり、水責めされたりするシーンが大好きなのさ。そういうシーンを見ていると、背筋が続々するほどの快感を覚えるのだよ」

 こ……こいつ、正真正銘の変態だ!

「中でも、私が一番興奮するのは、可愛い美少年が電撃を受けて苦しむ姿。だが、どの作品も物足りなかった。私を満足させる作品はなかった。なぜなら、ヒーローが最後には勝ってしまうのだからな。たがら、自分でやってみる事にしたのさ」
「自分で?」
「そうさ。地球にいた頃の私も、安物のスタンガン程度の能力を持っていた。そして、以前から目を着けていた近所の可愛い男の子を、ヒーローゴッコに誘ったのだよ。そして彼にヒーロー役をやってもらった。『ヒーローは、一度は敵に捕まるものだ』と説得して、彼を縛り付けてから、私の能力でヒイヒイ言わせてやったのさ。オシッコを漏らすまでね」

 ひでえ!

「さすがにその後は、親に怒られて、その男の子とは二度と会わせてもらえなくなったがな」

 当然だ。

「だが、その事件で私は気が付いたのだ。私が本当は何を求めていたのか。私はヒーロー物が好きだったのではない。可愛い男の子……できれば半ズボンを穿いているとなお良い。日頃きれい事を言っている真面目な性格なら最高だ。そんな男の子が、ひどい目に遭って、苦しむ姿を求めていたのだ」

 聞いていて、吐き気がしてきた。

「サディストの上に、ショタコンかよ」
「ショタコン? ああ! 少年好きという事か。あえて否定はせん。事実だからな」

 開き直りやがった。

「だが、最近は歳のせいか守備範囲が広がっていてな。二十代の青年も、可愛く見えるようになってきた」

 嫌な予感……

「カイト キタムラ。君はこの惑星に降りてから、そのロボットスーツで帝国軍相手に無双してきたな。『侵略はやめろ』とか、きれい事を言いながら」
「それがどうした? 悪いか?」
「悪くはないさ。むしろ実にいい。弱き者を助け強きを挫く。人として正しい行いだ。そんな正しい君を、私の電撃で、ヒイヒイ言わせたら、さぞかし快感だろうね」

 ゾク! 背筋に悪寒が……もうやだ、この人……

「できれば、そのロボットスーツの中身が美形である事を期待するぞ」
「残念だったな。僕は美形ではない」
「それは、君のスーツを剥ぎ取れば分かる事さ。ちなみに、私はイケメンは好きだが、カワメンはもっと好きだ」

 エラの掌に電光! 来る! プラズマボール!

「バッテリパージ アクセレレーション」

 残時間三百秒

 僕が右へジャンプした直後、残してきた外部電源にプラズマが直撃した。
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