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第八章
竜式神
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まずいな。
今の場所から車を飛ばしても、三十分はかかりそうだ。
その前に帝国軍は爆破を終えてしまう。
帝国軍兵士の数は百人ほど。
この人数で、地下に入られたら厄介だ。
今、飛ばしている飛行船タイプのドローン二機は、測定機を搭載するために武器をすべて外してある。
攻撃には使えない。
今すぐ、この場所に送り込める戦力は……
菊花が一機あるけど、菊花の火力だけで、この人数を相手するのは難しい。
僕はミクの方を向いた。
初めて会ったとき、この娘は竜のような式神に乗っていた。
あの式神と菊花の戦力を合わせれば、足止めぐらいはできるかもしれない。
「ミク。竜型の式神、すぐに出せるか?」
「リュウガタ?」
ミクはキョトンとしていた。
「この前、君が乗っていた式神だよ」
「ああ! あの子はオボロって言うんだよ。ミールちゃんのお薬使えば、すぐに行けるよ」
「オボロというのか。あれで、帝国軍のいるところまで、どのくらいで行ける?」
ミクは少し考え込んだ。
「うーんとね……一分くらいかな」
「頼む。今すぐ行ってくれ」
僕は数発の手榴弾をミクに渡した。
できれば、こんな物騒な物を子供に持たせたくはないのだが、今はそうするしかない。
「うん。分かった」
ミクは懐から出したお札を砂の上に置く。
ミールからもらった薬を飲んで呪文を唱えると、お札は瞬くに黄金に輝く龍へと変化した。
ミクが跨ると竜はフワリと宙に浮き上がる。
「ミク。くれぐれも言っておくが、空中から手榴弾を落とすだけだぞ。地表には絶対に降りるなよ。僕らが到着するまでの時間稼ぎができればいいんだから」
「うん、分かったよ。帝国軍を皆殺しにしておけばいいのね」
「だーかーら、無茶をするなと……人の話を聞け!」
僕の話など聞かず、ミクは飛び出して行った。
「まったく、近頃の若い者は……」
「君だって、近頃の若者ではないか」
ダモンさんから見たらそうなるか……て、呑気にしている場合じゃない!
「Pちゃん。菊花の発進準備を。武装は機銃と対地ミサイル」
「了解しました」
菊花が発進した後、ダモンさんとミールを車に乗せて僕達も出発した。
「ミクが、無茶する前に急がないと」
「カイトさん。あたし達が到着する前に、終わっていると思いますよ」
ミールの言う通りだろうな。
問題は、どういう終わり方をしているかだ。
確かにアクロを呼び出せば、あの人数を壊滅させるのは難しくない。
だが、アクロを呼び出すために地上に降りたりしたら、ミクが撃たれる可能性もある。
いくらフリントロック銃でも当たれば死ぬ。
ミクを行かせるべきではなかったか?
後悔しても始まらない。
今は急がないと……
しかし、心は焦ってもスピードが思うように出ない。
砂漠の中にも道はあったが、所々砂に埋もれていて走りにくい。
トレーラーを外して走るか?
いや、トレーラーにはロボットスーツが入っている。
置いてはいけない。
「ご主人様。そんなに心配する事はありませんよ。菊花から見たところ、ミクさんは言い付けどおり地表には降りていません」
「なんだ。皆殺しというのは冗談か」
「いえ。それは本気のようです」
「なに?」
車を止めてドローンからの映像に目を向けた。
地表ではアクロが暴れ回り、帝国軍を潰しまくっていた。
しかし、術者のミクはオボロに跨り、安全な空中にいる。
僕はミール方を向いた。
「ミール。式神……分身を呼び出すのに、地表に降りる必要はないの?」
「さあ? あたしは空を飛ぶ分身は持っていませんけど……しかし、地表に降りる必要はないと思いますよ。シキガミと分身、多少の違いはあれ基本的には同じ物なので、憑代を空中から投下すればいけると思います」
「なんだ、心配して損した」
「ご主人様。そうも言ってはいられないようです」
Pちゃんが画像をレーダーに切り替えた。
六機の飛行物体が近づいてくるのが見える。
これは?
「ドローンが接近しています」
「ドローンだって!? 帝国軍がなぜそんな物を」
「お忘れですか? リトル東京を裏切った者たちを」
そうか。あのリストにあった四人がこの近くにいるとしたら……ドローンはあいつらが飛ばしているとしたら……
矢那課長と、早々に再会することになるのか……憂鬱だな……
「ドローンの機種は?」
「速度から見て、六機とも菊花と同じジェットドローンです」
菊花の装備は対地ミサイル。
しかも相手は六機。
勝ち目はない。
通信機を取った。
「ミク。聞こえるか?」
すぐに返信が返ってくる。
『聞こえるよ。どうしたの?』
「ジェットドローンが、そっちへ向かっている。すぐに戻れ」
『そんなの、あたしが落としてやるよ』
「ダメだ! 引き返せ! 流れ弾に当たったらどうする!」
『ぶう! でもさ、ドローンがそっちまで追いかけてきたらどうするの?』
「え?」
『お兄ちゃんのロボットスーツは飛べないよ。ミールちゃんの式神も飛べないし。今、空を飛べるのはあたしだけ』
「それでも戻ってこい。ドローンは僕が何とかする」
『分かった』
ミクが戻ってくるのをレーダーで確認した。
「しかし、ご主人様。ミクさんの言う通り、今の私たちにある航空戦力はミクさんだけです。ドローンも飛行船タイプ二機とジェット一機。しかも対空ミサイルを装備していません」
「分かっている。だからと言って、ミク一人でドローン六機を相手にできると思うか?」
「カイトさん。プリンターで新しくドローンを作るわけにはいかないのですか?」
ミールの疑問も、もっともなのだが……
「ダメなんだよ。プリンターで菊花を出力するには五分かかる。それに水素燃料を詰めて武器弾薬を装備したりして、飛行準備が整うには三十分かかる。その前にやられてしまう」
迂闊だった。
出発前にせめて一機だけでも、菊花を作っておけば……
いや、後悔先に立たずだ。
今ある装備で何とかするしかない。
地上レーダーのスイッチを入れる。
この近くに、利用できそうな地形は……
あった!
北西方向三百メートル先に、切り立った岩肌のある岩山……
高さは三十メートルほど……
岩山の近くに車を止めると、僕はトレーラーに向かった。
「装着!」
久々に着たロボットスーツ。
シーバ城で受けたダメージは、完全に回復している。
「ご主人様。ロボットスーツと言えども、空を飛べなければ……」
「分かっている。でも、こいつの装甲ならドローンからの攻撃を凌げる」
「カイトさん」
ミールが、十二人の分身達をつれてやって来た。
「あたし、空は飛べませんが、敵が矢の届く高さまで降りてくれば……」
「ありがとう。助かるよ」
ミクから通信が入った。
『お兄ちゃん。ドローンはあたしに気が付かないで、アクロの方ばかり攻撃しているよ』
「なに!?」
ドローンからの映像を出した。
確かに、ジェットドローンは、六機がかりでアクロにミサイル攻撃を仕掛けている。
ミサイルの攻撃で、さすがのアクロも傷を負っていた。
左の角が折れ、右腕も吹っ飛んでしまっている。
しかし……失った角も腕も、たちまちのうちに再生してしまった。
一方でアクロの方も、空中にいる敵を攻撃する手段がなかった。
互いに打つ手なし。
だけど、ドローンの奴らは、なんでミクを攻撃しない……そうか!
「あいつら まだ術者が空にいる事に気が付いていないんだな。よし、ミク。気づかれる前に戻ってこい」
『うん。わかった……あれ?』
なんか嫌な予感。
「どうかしたか?」
『あのね。帝国兵が空を指差しながらドローンに向かって何か叫んでいる』
ドローンに伝えようとしているんだな。攻撃者が空にいるって……しかし、ジェットドローンの騒音では、声なんか伝わるものか。
しかし、レーダーを見ていると、二機のドローンがミクの方へ針路を変えていた。
さらに別の二機がこちらの飛行船タイプの方へ針路を変える。
声は聞こえないけど、兵士たちが空を指差して何かを叫んでいるのを見て、ドローンの操縦者は『空に何かがいる』と気が付いたな。
レーダーを見れば、飛行船タイプドローンと未確認飛行生物がいるのはすぐに分かってしまう。
鈍足の飛行船ではジェットドローンからは逃げられない。
こっちは諦めるしかないな。
僕は誘導ビーコン発信機のスイッチを入れて高々と持ち上げた。
「ミク。今、誘導ビーコンを出している。僕がいる場所は分かるか?」
『ん? ちょっと待って……あ! 見つけた。右手を上げているでしょ』
「そうだ。その近くに何がある?」
『ん? 大っきな岩』
「今からこの岩に登る。それを確認したら、こっちへ飛んで来い」
『うん。分かった。頂上より低い高度を飛んでいけばいいのね』
勘のいい子だな。
「そうだ。よく分かったな」
『そしてあたしは、岩を掠めるように飛べばいいのね。お兄ちゃんは、追いかけてきたドローンを頂上から狙撃するのでしょ?』
「なぜ分かる?」
『電脳空間でこういうゲームやった時、お兄ちゃんは似たような作戦を立てたんだよ』
「そ……そうか。分かっているなら話は早い」
『おとり役任せて』
通信を切り、僕はPちゃんの方を向いた。
「Pちゃん。菊花は、ミクを追いかけている奴に向けてくれ。飛行船ドローンは諦める」
「しかし、菊花には空対空ミサイルが……」
「いや、向こうも空対空ミサイルを積んでいない」
「なぜです?」
「さっき、奴らはアクロに向かってミサイルを撃っていた。あれは間違えなく空対地ミサイル。奴らも最初から空中戦は想定していなかったんだ」
「分かりました。しかし、一対六では……」
「菊花は失ってもいい。ミクさえ無事なら……」
僕は、分身達を伴って岩山に登った。
今の場所から車を飛ばしても、三十分はかかりそうだ。
その前に帝国軍は爆破を終えてしまう。
帝国軍兵士の数は百人ほど。
この人数で、地下に入られたら厄介だ。
今、飛ばしている飛行船タイプのドローン二機は、測定機を搭載するために武器をすべて外してある。
攻撃には使えない。
今すぐ、この場所に送り込める戦力は……
菊花が一機あるけど、菊花の火力だけで、この人数を相手するのは難しい。
僕はミクの方を向いた。
初めて会ったとき、この娘は竜のような式神に乗っていた。
あの式神と菊花の戦力を合わせれば、足止めぐらいはできるかもしれない。
「ミク。竜型の式神、すぐに出せるか?」
「リュウガタ?」
ミクはキョトンとしていた。
「この前、君が乗っていた式神だよ」
「ああ! あの子はオボロって言うんだよ。ミールちゃんのお薬使えば、すぐに行けるよ」
「オボロというのか。あれで、帝国軍のいるところまで、どのくらいで行ける?」
ミクは少し考え込んだ。
「うーんとね……一分くらいかな」
「頼む。今すぐ行ってくれ」
僕は数発の手榴弾をミクに渡した。
できれば、こんな物騒な物を子供に持たせたくはないのだが、今はそうするしかない。
「うん。分かった」
ミクは懐から出したお札を砂の上に置く。
ミールからもらった薬を飲んで呪文を唱えると、お札は瞬くに黄金に輝く龍へと変化した。
ミクが跨ると竜はフワリと宙に浮き上がる。
「ミク。くれぐれも言っておくが、空中から手榴弾を落とすだけだぞ。地表には絶対に降りるなよ。僕らが到着するまでの時間稼ぎができればいいんだから」
「うん、分かったよ。帝国軍を皆殺しにしておけばいいのね」
「だーかーら、無茶をするなと……人の話を聞け!」
僕の話など聞かず、ミクは飛び出して行った。
「まったく、近頃の若い者は……」
「君だって、近頃の若者ではないか」
ダモンさんから見たらそうなるか……て、呑気にしている場合じゃない!
「Pちゃん。菊花の発進準備を。武装は機銃と対地ミサイル」
「了解しました」
菊花が発進した後、ダモンさんとミールを車に乗せて僕達も出発した。
「ミクが、無茶する前に急がないと」
「カイトさん。あたし達が到着する前に、終わっていると思いますよ」
ミールの言う通りだろうな。
問題は、どういう終わり方をしているかだ。
確かにアクロを呼び出せば、あの人数を壊滅させるのは難しくない。
だが、アクロを呼び出すために地上に降りたりしたら、ミクが撃たれる可能性もある。
いくらフリントロック銃でも当たれば死ぬ。
ミクを行かせるべきではなかったか?
後悔しても始まらない。
今は急がないと……
しかし、心は焦ってもスピードが思うように出ない。
砂漠の中にも道はあったが、所々砂に埋もれていて走りにくい。
トレーラーを外して走るか?
いや、トレーラーにはロボットスーツが入っている。
置いてはいけない。
「ご主人様。そんなに心配する事はありませんよ。菊花から見たところ、ミクさんは言い付けどおり地表には降りていません」
「なんだ。皆殺しというのは冗談か」
「いえ。それは本気のようです」
「なに?」
車を止めてドローンからの映像に目を向けた。
地表ではアクロが暴れ回り、帝国軍を潰しまくっていた。
しかし、術者のミクはオボロに跨り、安全な空中にいる。
僕はミール方を向いた。
「ミール。式神……分身を呼び出すのに、地表に降りる必要はないの?」
「さあ? あたしは空を飛ぶ分身は持っていませんけど……しかし、地表に降りる必要はないと思いますよ。シキガミと分身、多少の違いはあれ基本的には同じ物なので、憑代を空中から投下すればいけると思います」
「なんだ、心配して損した」
「ご主人様。そうも言ってはいられないようです」
Pちゃんが画像をレーダーに切り替えた。
六機の飛行物体が近づいてくるのが見える。
これは?
「ドローンが接近しています」
「ドローンだって!? 帝国軍がなぜそんな物を」
「お忘れですか? リトル東京を裏切った者たちを」
そうか。あのリストにあった四人がこの近くにいるとしたら……ドローンはあいつらが飛ばしているとしたら……
矢那課長と、早々に再会することになるのか……憂鬱だな……
「ドローンの機種は?」
「速度から見て、六機とも菊花と同じジェットドローンです」
菊花の装備は対地ミサイル。
しかも相手は六機。
勝ち目はない。
通信機を取った。
「ミク。聞こえるか?」
すぐに返信が返ってくる。
『聞こえるよ。どうしたの?』
「ジェットドローンが、そっちへ向かっている。すぐに戻れ」
『そんなの、あたしが落としてやるよ』
「ダメだ! 引き返せ! 流れ弾に当たったらどうする!」
『ぶう! でもさ、ドローンがそっちまで追いかけてきたらどうするの?』
「え?」
『お兄ちゃんのロボットスーツは飛べないよ。ミールちゃんの式神も飛べないし。今、空を飛べるのはあたしだけ』
「それでも戻ってこい。ドローンは僕が何とかする」
『分かった』
ミクが戻ってくるのをレーダーで確認した。
「しかし、ご主人様。ミクさんの言う通り、今の私たちにある航空戦力はミクさんだけです。ドローンも飛行船タイプ二機とジェット一機。しかも対空ミサイルを装備していません」
「分かっている。だからと言って、ミク一人でドローン六機を相手にできると思うか?」
「カイトさん。プリンターで新しくドローンを作るわけにはいかないのですか?」
ミールの疑問も、もっともなのだが……
「ダメなんだよ。プリンターで菊花を出力するには五分かかる。それに水素燃料を詰めて武器弾薬を装備したりして、飛行準備が整うには三十分かかる。その前にやられてしまう」
迂闊だった。
出発前にせめて一機だけでも、菊花を作っておけば……
いや、後悔先に立たずだ。
今ある装備で何とかするしかない。
地上レーダーのスイッチを入れる。
この近くに、利用できそうな地形は……
あった!
北西方向三百メートル先に、切り立った岩肌のある岩山……
高さは三十メートルほど……
岩山の近くに車を止めると、僕はトレーラーに向かった。
「装着!」
久々に着たロボットスーツ。
シーバ城で受けたダメージは、完全に回復している。
「ご主人様。ロボットスーツと言えども、空を飛べなければ……」
「分かっている。でも、こいつの装甲ならドローンからの攻撃を凌げる」
「カイトさん」
ミールが、十二人の分身達をつれてやって来た。
「あたし、空は飛べませんが、敵が矢の届く高さまで降りてくれば……」
「ありがとう。助かるよ」
ミクから通信が入った。
『お兄ちゃん。ドローンはあたしに気が付かないで、アクロの方ばかり攻撃しているよ』
「なに!?」
ドローンからの映像を出した。
確かに、ジェットドローンは、六機がかりでアクロにミサイル攻撃を仕掛けている。
ミサイルの攻撃で、さすがのアクロも傷を負っていた。
左の角が折れ、右腕も吹っ飛んでしまっている。
しかし……失った角も腕も、たちまちのうちに再生してしまった。
一方でアクロの方も、空中にいる敵を攻撃する手段がなかった。
互いに打つ手なし。
だけど、ドローンの奴らは、なんでミクを攻撃しない……そうか!
「あいつら まだ術者が空にいる事に気が付いていないんだな。よし、ミク。気づかれる前に戻ってこい」
『うん。わかった……あれ?』
なんか嫌な予感。
「どうかしたか?」
『あのね。帝国兵が空を指差しながらドローンに向かって何か叫んでいる』
ドローンに伝えようとしているんだな。攻撃者が空にいるって……しかし、ジェットドローンの騒音では、声なんか伝わるものか。
しかし、レーダーを見ていると、二機のドローンがミクの方へ針路を変えていた。
さらに別の二機がこちらの飛行船タイプの方へ針路を変える。
声は聞こえないけど、兵士たちが空を指差して何かを叫んでいるのを見て、ドローンの操縦者は『空に何かがいる』と気が付いたな。
レーダーを見れば、飛行船タイプドローンと未確認飛行生物がいるのはすぐに分かってしまう。
鈍足の飛行船ではジェットドローンからは逃げられない。
こっちは諦めるしかないな。
僕は誘導ビーコン発信機のスイッチを入れて高々と持ち上げた。
「ミク。今、誘導ビーコンを出している。僕がいる場所は分かるか?」
『ん? ちょっと待って……あ! 見つけた。右手を上げているでしょ』
「そうだ。その近くに何がある?」
『ん? 大っきな岩』
「今からこの岩に登る。それを確認したら、こっちへ飛んで来い」
『うん。分かった。頂上より低い高度を飛んでいけばいいのね』
勘のいい子だな。
「そうだ。よく分かったな」
『そしてあたしは、岩を掠めるように飛べばいいのね。お兄ちゃんは、追いかけてきたドローンを頂上から狙撃するのでしょ?』
「なぜ分かる?」
『電脳空間でこういうゲームやった時、お兄ちゃんは似たような作戦を立てたんだよ』
「そ……そうか。分かっているなら話は早い」
『おとり役任せて』
通信を切り、僕はPちゃんの方を向いた。
「Pちゃん。菊花は、ミクを追いかけている奴に向けてくれ。飛行船ドローンは諦める」
「しかし、菊花には空対空ミサイルが……」
「いや、向こうも空対空ミサイルを積んでいない」
「なぜです?」
「さっき、奴らはアクロに向かってミサイルを撃っていた。あれは間違えなく空対地ミサイル。奴らも最初から空中戦は想定していなかったんだ」
「分かりました。しかし、一対六では……」
「菊花は失ってもいい。ミクさえ無事なら……」
僕は、分身達を伴って岩山に登った。
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