767 / 828
第十六章
特攻! 分身体
しおりを挟む
バイザーの映像を、《海龍》に残してきた二機の偵察ドローン紫雲から送られて来るものに切り替えた。
紫雲を置いてきたのは、先ほどミールと一緒に降りた潜舵の下。
その映像に映っているのは、身長三十センチにまで小さくなったミールの分身体七体。
その七体の分身達が一斉に輝き始め、普通の大きさに戻ると同時に戦闘モードになったのは、僕に抱き抱えられているミール本人が回復薬を飲み込んだ直後の事。
裸同然の際どいビキニアーマーをまとった猫耳美少女軍団と、帝国兵がぶつかり合う。
たった七体とは言え、剣も銃も通じない不死身の美少女軍団相手に帝国兵は翻弄されている。
だが、ミールの分身体をここに待機させていた目的は、帝国兵と対峙させるためだけではない。
開いたばかりのワームホールに、攻撃を仕掛けるためだ。
さっきまでは、ワームホールに攻撃をかけても、攻撃が届く前に閉じられてしまっていた。
ならば、敵に察知される前に攻撃を仕掛けるしかない。
それには、これからワームホールが開く位置を予測し、近くに伏兵を配置する必要がある。
問題は、ワームホールが開く位置と場所をどうやって予測するか?
ワームホールはミーチャの視線の先に現れる。
先ほどから、イリーナはミーチャを押さえ込んで《海龍》後甲板の方向を向かせていた。
つまり、次のワームホール出現位置は《海龍》後甲板。
問題は何時現れるか?
敵は先に、《海龍》から離れた空域にワームホールを開いてドローン群を送り込んでいた。
この目的が、ドローンで攻撃を仕掛けるように見せかけて、迎撃に上がってきた九九式を《海龍》から引き離す事だとしたら、僕たちが十分に《海龍》から離れたタイミングで後甲板にワームホールを開くはず。
事実そうなった。
だが、それを予想していた僕は、後甲板にワームホールが開いたらすぐに攻撃を仕掛けられるように、ミールの分身体を潜舵の影に潜ませていたのだ。
潜ませていた七体の分身体の一体には、手榴弾を持たせてある。
後は、その一体が敵に気づかれる前にワームホールに入って時空穿孔機を破壊するだけ……
「カイトさん」
ミールに声をかけられ、僕はバイザーの映像左半分を消した。
僕に抱かれたまま目を瞑っているミールの姿が目に映る。
ミールは目を開かずに言った。
「分身体がワームホールに入ると、コントロールできなくなるかもしれません」
なんだって? いや、その可能性はあった。もし、ワームホールがプシトロンパルスを通さないのなら、地下施設に入った分身体は制御できなくなる。
「だから、ワームホールに入る前に手榴弾の安全ピンを抜いておきますがいいですか? もし、コントロールが途切れても、向こうで手榴弾を爆発させればいくらかのダメージを与える事はできます。コントロールが途切れなければ、予定通り時空穿孔機を破壊します」
「わかった。それでやってくれ」
「はーい」
紫雲からの映像に視線を戻した。
分身達と帝国兵の死闘が続いている。
その時、分身体の一体が大きくジャンプして潜舵の上に飛び乗った。
そこからさらにジャンプして、ワームホールの前に着地。
手榴弾の安全ピンを抜いてから、ワームホールに駆け込んだ。
「カイトさん。やはりコントロールが途切れました」
ミールがそう言った直後、ワームホールから爆風が吹き出す。
バラバラになった帝国兵の遺体とともに……
おそらく、ワームホールの向こうで、こちらへ突入しようと待機していた兵士たちだろう。
時空穿孔機の破壊は失敗したが、敵も今の攻撃で少なからぬ損害があったはずだ。
紫雲を置いてきたのは、先ほどミールと一緒に降りた潜舵の下。
その映像に映っているのは、身長三十センチにまで小さくなったミールの分身体七体。
その七体の分身達が一斉に輝き始め、普通の大きさに戻ると同時に戦闘モードになったのは、僕に抱き抱えられているミール本人が回復薬を飲み込んだ直後の事。
裸同然の際どいビキニアーマーをまとった猫耳美少女軍団と、帝国兵がぶつかり合う。
たった七体とは言え、剣も銃も通じない不死身の美少女軍団相手に帝国兵は翻弄されている。
だが、ミールの分身体をここに待機させていた目的は、帝国兵と対峙させるためだけではない。
開いたばかりのワームホールに、攻撃を仕掛けるためだ。
さっきまでは、ワームホールに攻撃をかけても、攻撃が届く前に閉じられてしまっていた。
ならば、敵に察知される前に攻撃を仕掛けるしかない。
それには、これからワームホールが開く位置を予測し、近くに伏兵を配置する必要がある。
問題は、ワームホールが開く位置と場所をどうやって予測するか?
ワームホールはミーチャの視線の先に現れる。
先ほどから、イリーナはミーチャを押さえ込んで《海龍》後甲板の方向を向かせていた。
つまり、次のワームホール出現位置は《海龍》後甲板。
問題は何時現れるか?
敵は先に、《海龍》から離れた空域にワームホールを開いてドローン群を送り込んでいた。
この目的が、ドローンで攻撃を仕掛けるように見せかけて、迎撃に上がってきた九九式を《海龍》から引き離す事だとしたら、僕たちが十分に《海龍》から離れたタイミングで後甲板にワームホールを開くはず。
事実そうなった。
だが、それを予想していた僕は、後甲板にワームホールが開いたらすぐに攻撃を仕掛けられるように、ミールの分身体を潜舵の影に潜ませていたのだ。
潜ませていた七体の分身体の一体には、手榴弾を持たせてある。
後は、その一体が敵に気づかれる前にワームホールに入って時空穿孔機を破壊するだけ……
「カイトさん」
ミールに声をかけられ、僕はバイザーの映像左半分を消した。
僕に抱かれたまま目を瞑っているミールの姿が目に映る。
ミールは目を開かずに言った。
「分身体がワームホールに入ると、コントロールできなくなるかもしれません」
なんだって? いや、その可能性はあった。もし、ワームホールがプシトロンパルスを通さないのなら、地下施設に入った分身体は制御できなくなる。
「だから、ワームホールに入る前に手榴弾の安全ピンを抜いておきますがいいですか? もし、コントロールが途切れても、向こうで手榴弾を爆発させればいくらかのダメージを与える事はできます。コントロールが途切れなければ、予定通り時空穿孔機を破壊します」
「わかった。それでやってくれ」
「はーい」
紫雲からの映像に視線を戻した。
分身達と帝国兵の死闘が続いている。
その時、分身体の一体が大きくジャンプして潜舵の上に飛び乗った。
そこからさらにジャンプして、ワームホールの前に着地。
手榴弾の安全ピンを抜いてから、ワームホールに駆け込んだ。
「カイトさん。やはりコントロールが途切れました」
ミールがそう言った直後、ワームホールから爆風が吹き出す。
バラバラになった帝国兵の遺体とともに……
おそらく、ワームホールの向こうで、こちらへ突入しようと待機していた兵士たちだろう。
時空穿孔機の破壊は失敗したが、敵も今の攻撃で少なからぬ損害があったはずだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
142
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる