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第七章

ひざ枕

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「まったく、人騒がせな隕石だ」

 鮭鮫鱈鯉さけさめたらこいシステムが解除された時には、周辺はすっかり明るくなっていた。
 酔いもすっかり醒めていたのだが……眠い……前回、反省文は百枚だったのだが、今回は五百枚も書かされた。
 なんでも、回数が増えるごとに反省文の数が増えるらしい。

「ご主人様。荷物積み込みました。出発して下さい」
「ん……分かった……うとうと……」

「カイトさん。カイトさん」

 ミールに腕を引っ張られて、目が覚めた。
 
 やべ……居眠りしていた。
 
「眠いのですか?」
「うん……かなり……」
「あたしが、運転しましょうか?」
「ああ……それじゃあ……頼む……わけないだろ! ミールには、運転できないだろ」
「大丈夫ですよ。あたし横で見ていて覚えましたから」
「だああぁぁぁだめ! だめ! 車の運転は危険なんだから……シロートがやったら事故起こす」
「そんな事ありません」
「ご主人様。試にミールさんに運転させてみませんか?」
「Pちゃんまで、何を言ってるんだよ? 危ないだろ」
「大丈夫です。ミールさんが運転席に座っても、事故は絶対に起きません」

 なぜ、そう自信たっぷりに言える?

 試にミールと席を代わってみた。

「これが、スタートボタンでしたね」

 ミールがボタンを押すと、メインモニターに『システム起動中』と表示。

 突然、警報アラームが鳴り響いた。

 メインモニターに新たなメッセージ。『警告。子供が運転席に乗っています。機能をロックしました。直ちに大人と交代して下さい』

 そういう事か。

「なんなのですか? これは!」
「子供が、運転席に座ると、こうなるのですよ。だから、絶対に事故は起きないと言ったのです」
「意地悪な、お人形さんですね」
「ほめ言葉と取っておきましょう」

 鮭鮫鱈鯉システムと違って、今回の機能ロックはすぐに解除された。

 しかし……-僕がスタートボタンを押しても、やはり警報アラームが鳴り響く。

 なんで? 酒気はもう抜けているはずなのに……
 
 メインモニターを見ると別のメッセージが表示されていた。『警告。運転手に眠気が貯まっています。仮眠を取ってください』

 誰のせいで眠気が貯まっていると思ってるんだ!

「ご主人様。眠いのですか?」
「だから、そう言っているのだけど……」
「しょうがないですね。では、十五分ほど仮眠を取ってから出発しましょう」
「十五分だけ?」
「仮眠は十五分ぐらいが、丁度いいのです。それ以上寝ると、本格的な睡眠に入り、起きられなくなりますよ。さあ、後部シートに移って下さい。私のひざ枕をお貸ししましょう」
「カイトさん。ひざ枕なら、あたしのを……」
「ミールさん。その分身体で、そういう事はやらない方がいいですよ」
「なぜですか?」
「ご主人様は変態ケモナーですが、今のところ幼女趣味はありません。しかし、その分身体で、そういう事をすると、幼女趣味に目覚める危険があります」

 いや……目覚めないから……

「そ……それは困ります。仕方ない、カイトさんにひざ枕をする権利、今回はPちゃんに譲ります。でも、カイトさん」

 ミールが睨みつけてきた。

「な……なに?」
「Pちゃんに、エッチな事しては、ダメですよ」
「しない! しない!」

 第一、ロボットにそんな事をしては、人として何かが終わるような気がするし……

「私は、一向にかまいませんよ。ロボットですから、何をされても気にしません。さあ、ご主人様。どうぞ、私のひざの上で、欲望の赴くままに……うふふふ……」
「ダメー! Pちゃんの目、なんかエロい!」
「ミールさん。ロボットに性欲などありませんから、心配ありませんよ。さあ、ご主人様。気になさらないで、私のひざ枕に……たっぷりと、サービスして差し上げますから……ぐふふふふ」

 な……なんの、サービスをするんだ!?

 


 結局、仮眠はテントの中で取った。



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