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第十六章
芽衣ちゃんの宣戦布告
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ミールが僕から唇を放した後、周囲を見回すとみんなの注目を集めていた。
こちらのメンバーだけでなく、地下から連れ出して来た少年兵達やレムのクローン達まで、こっちを見て目を丸くしている。
「ミール……子供たちの見ている前で、こういう事は……」
「良いじゃないですか。あたし、ずっと地下で我慢していたのですよ」
いや、みんなの目を盗んでやっていただろう……
しかし、ここにPちゃんがいなくて良かった。
ミニPちゃんはすべて、輸送ロボのコンテナ内で充電中だし……
「ミールさん。人前でなんて事を……」
うわわ! Pちゃんはいないけど、その生みの親がいた。
芽依ちゃん怒っている?
「メイさんがいけないのですよ。あたしをリトル東京には、連れて行けないなんて嘘をつくから……」
「あ……あれは、別に嘘を付いたわけではなく……単なる計算違いというか……思い違いというか……」
「メイさん。そろそろ本音を言ったらどうですか? あたしから、カイトさんを奪いたいと」
おい……ミール……あまり挑発するような事は……
「ふふふふふふ」
なんだ? 芽依ちゃん。その不気味な笑い声は……
芽依ちゃんは不意にヘルメットを外して、橋本晶に手渡した。
「橋本さん。預かっていて下さい」
「え? 良いですけど……何をされるのですか?」
「ミールさん。口で言っても分からないなら、身体で分からせて上げます」
「え? ちょ……ちょっとメイさん」
ミールは慌てて僕の背後に隠れる。
「芽依ちゃん。暴力はダメ! ロボットスーツで、生身の人間を殴ったら大変な事に……」
「隊長だって、ロボットスーツでルスラン・クラスノフ博士を殴ろうとしたじゃないですか」
いや橋本君、あいつは人間じゃないから……
うわ! いきなり芽依ちゃんが飛びかかって来た!
ミールじゃなくて僕に向かって……
ムニュ!
え? これって……
「メイさん。カイトさんになにを!?」
芽依ちゃんは僕から唇を放した。
「なにって? キスですけど……」
芽依ちゃん、いつからこんな大胆な行動をとるようになったのだ?
「メイさん! カイトさんに、そういう事をしていいのは、あたしだけです」
「ですからミールさん。言ったじゃないですか。身体で分からせてあげますと」
暴力をふるうという意味ではなかったのか。てか、これはこれで修羅場なんですけど……
「そしてこれは、私からの宣戦布告です。私は、ミールさんから北村さんを奪います」
ええええええ!?……そういう事、本人の前で言っちゃう?
いや、ここは僕がはっきり『芽依ちゃん、僕は君とは付き合えない』と言うべき。言うべきなのだが……
しかし、言った途端に芽依ちゃんが自暴自棄にならないかと思うと、迂闊には……
「メイさん。ついに本性を現しましたね。今まではPちゃんが、あたしとカイトさんの邪魔をしていたけど、あれはすべてあなたの差し金ですね」
「すべてとは言いませんが、半分ぐらいは私の命令ですね。それは認めましょう」
「この腹黒女」
いかん! このままだと二人はケンカに……
「あのさ……ミールも芽依ちゃんもここは……う!」
二人から発せられる殺気の籠もった視線が……コワい。
「キャアー!」
なんだ? 突然ミールが悲鳴を上げた。
いや、何があったのか、だいたい想像つくが……だとすると次は……
「キャアアア!」
悲鳴を上げる芽依ちゃんの背後では、ジジイが芽依ちゃんの尻を撫で回していた。
「ジジイ! 性懲りもなく」
「ストップ! 北村君」
アーニャが突然僕の前に立ちふさがる。
「これは私が博士に指示してやらせたの」
え?
呆気にとられている僕をよそに、アーニャはミールと芽依ちゃんの方を振り返る。
「二人とも、今がどういう状況か分かっているの!? ここはまだ敵地なのよ! ケンカするなら、リトル東京に着いてからやりなさい!」
アーニャのおかげでこの場は収まったけど、リトル東京に着いてからが思いやられるなあ……
こちらのメンバーだけでなく、地下から連れ出して来た少年兵達やレムのクローン達まで、こっちを見て目を丸くしている。
「ミール……子供たちの見ている前で、こういう事は……」
「良いじゃないですか。あたし、ずっと地下で我慢していたのですよ」
いや、みんなの目を盗んでやっていただろう……
しかし、ここにPちゃんがいなくて良かった。
ミニPちゃんはすべて、輸送ロボのコンテナ内で充電中だし……
「ミールさん。人前でなんて事を……」
うわわ! Pちゃんはいないけど、その生みの親がいた。
芽依ちゃん怒っている?
「メイさんがいけないのですよ。あたしをリトル東京には、連れて行けないなんて嘘をつくから……」
「あ……あれは、別に嘘を付いたわけではなく……単なる計算違いというか……思い違いというか……」
「メイさん。そろそろ本音を言ったらどうですか? あたしから、カイトさんを奪いたいと」
おい……ミール……あまり挑発するような事は……
「ふふふふふふ」
なんだ? 芽依ちゃん。その不気味な笑い声は……
芽依ちゃんは不意にヘルメットを外して、橋本晶に手渡した。
「橋本さん。預かっていて下さい」
「え? 良いですけど……何をされるのですか?」
「ミールさん。口で言っても分からないなら、身体で分からせて上げます」
「え? ちょ……ちょっとメイさん」
ミールは慌てて僕の背後に隠れる。
「芽依ちゃん。暴力はダメ! ロボットスーツで、生身の人間を殴ったら大変な事に……」
「隊長だって、ロボットスーツでルスラン・クラスノフ博士を殴ろうとしたじゃないですか」
いや橋本君、あいつは人間じゃないから……
うわ! いきなり芽依ちゃんが飛びかかって来た!
ミールじゃなくて僕に向かって……
ムニュ!
え? これって……
「メイさん。カイトさんになにを!?」
芽依ちゃんは僕から唇を放した。
「なにって? キスですけど……」
芽依ちゃん、いつからこんな大胆な行動をとるようになったのだ?
「メイさん! カイトさんに、そういう事をしていいのは、あたしだけです」
「ですからミールさん。言ったじゃないですか。身体で分からせてあげますと」
暴力をふるうという意味ではなかったのか。てか、これはこれで修羅場なんですけど……
「そしてこれは、私からの宣戦布告です。私は、ミールさんから北村さんを奪います」
ええええええ!?……そういう事、本人の前で言っちゃう?
いや、ここは僕がはっきり『芽依ちゃん、僕は君とは付き合えない』と言うべき。言うべきなのだが……
しかし、言った途端に芽依ちゃんが自暴自棄にならないかと思うと、迂闊には……
「メイさん。ついに本性を現しましたね。今まではPちゃんが、あたしとカイトさんの邪魔をしていたけど、あれはすべてあなたの差し金ですね」
「すべてとは言いませんが、半分ぐらいは私の命令ですね。それは認めましょう」
「この腹黒女」
いかん! このままだと二人はケンカに……
「あのさ……ミールも芽依ちゃんもここは……う!」
二人から発せられる殺気の籠もった視線が……コワい。
「キャアー!」
なんだ? 突然ミールが悲鳴を上げた。
いや、何があったのか、だいたい想像つくが……だとすると次は……
「キャアアア!」
悲鳴を上げる芽依ちゃんの背後では、ジジイが芽依ちゃんの尻を撫で回していた。
「ジジイ! 性懲りもなく」
「ストップ! 北村君」
アーニャが突然僕の前に立ちふさがる。
「これは私が博士に指示してやらせたの」
え?
呆気にとられている僕をよそに、アーニャはミールと芽依ちゃんの方を振り返る。
「二人とも、今がどういう状況か分かっているの!? ここはまだ敵地なのよ! ケンカするなら、リトル東京に着いてからやりなさい!」
アーニャのおかげでこの場は収まったけど、リトル東京に着いてからが思いやられるなあ……
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