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第六章
二百年前の恋
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ダモンさんが、僕に向き直る。
「さて、もう一つ君に、確認しておきたい事があるのだが」
「なんでしょう?」
「君は、ミールの事を、どう思っているのだ?」
「え? え? え?」
「あの娘は、君との結婚を望んでいるようだが……」
「いや……その……ミールの事は好きですが……結婚はその……」
「分かっている。二百年前の世界から飛ばされてきて、今は、まだ結婚どころではないと思っているのだろう」
「まあ、そんなところです」
「だが、結婚を躊躇するのは、それだけかね? 君には忘れられない女性が、他にいるのではないのか?」
「は? そんな女はいませんよ。そもそも、この惑星でミール以外には……」
Pちゃんはロボットだし、エシャーは女の子だけど翼竜だし、キラは人間だけど、そういう関係になりそうにないし……
「私が聞いているのは、二百年前の世界での話だ。そこで出会った女性を、忘れられないのではないのかい?」
「はあ? 二百年前?」
二百年前に付き合った女は、高校時代の彼女だけ。
彼女の方から告白してきて、彼女の方からキスしてきて……そして彼女の方から別れを切り出された。
『あなたの中には、いつも別の女がいる』とか分けの分からない理由で……別の女?
そういえば、僕は彼女ができた事をSNSには書き込まなかった。
何度も書きこもうとしたけど、なぜか寸前で躊躇した。
その事を、見られたくない人がいたから……
香子!?
そうか! 書きこんだら、香子に真っ先に見られる。
だから、書き込めなかった。
僕は、香子が好きだったんだ。でも、ずっと言い出せなかった。
香子とは、ずっと友達以上恋人未満というぬるま湯のような関係が続いていた。
だけど、もし好きだと言ってしまったら、そのぬるま湯のような心地よい関係が壊れてしまうかもしれない。
それが怖くて、ずっと言えないでいた。
中学を卒業してから、香子が引っ越しで遠くに行ってしまい、会う機会が無くなった。
そして、高校でクラスメートから告白された時、僕は香子の事は忘れようと思った。
でも、忘れられなかった。
その事に、彼女は気が付いてしまったのだろう。
「確かに、僕は二百年前に好きな人がいました。でも、彼女はもう死んでいます」
「もう死んでいるというなら、君のオリジナルも同じだろう。彼女も君と同じ方法で、この惑星に来ていないと言い切れるかね?」
「……!」
そうだった! 香子と僕は、電脳空間で再会しているはず。
香子も、再生されてこの惑星に降りているかもしれない。
「確かに、来ているかもしれません」
「では、ミールとの事は、彼女と再会してから、決めてみてはどうかな?」
「え?」
「君がミールと結婚してしまってから、彼女と再会でもしてしまったら、修羅場になるかもしれんぞ」
「う……」……それは、コワい……しかし……
「彼女が、本当に再生されたのか……再生されたとしても、どこにいるか……」
「カルカに、行きなさい」
「え? カルカ? だってあそこは……」
「もちろん、カルカの国は三十年前に滅びた。だが、その西に、同じ名前の小さな町がある。答えは、そこで待っている」
「え?」
どういう事だ? なぜ『待っているかもしれない』ではなく『待っている』と断言できる?
この人は、何か知っているのか?
「もう時間がないので、この話は後でしよう。私は今からベジドラゴンに乗って女房子供を助けに行く。君は城の爆破が終わったら、関所まで来てくれ」
そう言って、ダモンさんは森の中へ消えていった。
なんか、煙に巻かれたような…
「さて、もう一つ君に、確認しておきたい事があるのだが」
「なんでしょう?」
「君は、ミールの事を、どう思っているのだ?」
「え? え? え?」
「あの娘は、君との結婚を望んでいるようだが……」
「いや……その……ミールの事は好きですが……結婚はその……」
「分かっている。二百年前の世界から飛ばされてきて、今は、まだ結婚どころではないと思っているのだろう」
「まあ、そんなところです」
「だが、結婚を躊躇するのは、それだけかね? 君には忘れられない女性が、他にいるのではないのか?」
「は? そんな女はいませんよ。そもそも、この惑星でミール以外には……」
Pちゃんはロボットだし、エシャーは女の子だけど翼竜だし、キラは人間だけど、そういう関係になりそうにないし……
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「はあ? 二百年前?」
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彼女の方から告白してきて、彼女の方からキスしてきて……そして彼女の方から別れを切り出された。
『あなたの中には、いつも別の女がいる』とか分けの分からない理由で……別の女?
そういえば、僕は彼女ができた事をSNSには書き込まなかった。
何度も書きこもうとしたけど、なぜか寸前で躊躇した。
その事を、見られたくない人がいたから……
香子!?
そうか! 書きこんだら、香子に真っ先に見られる。
だから、書き込めなかった。
僕は、香子が好きだったんだ。でも、ずっと言い出せなかった。
香子とは、ずっと友達以上恋人未満というぬるま湯のような関係が続いていた。
だけど、もし好きだと言ってしまったら、そのぬるま湯のような心地よい関係が壊れてしまうかもしれない。
それが怖くて、ずっと言えないでいた。
中学を卒業してから、香子が引っ越しで遠くに行ってしまい、会う機会が無くなった。
そして、高校でクラスメートから告白された時、僕は香子の事は忘れようと思った。
でも、忘れられなかった。
その事に、彼女は気が付いてしまったのだろう。
「確かに、僕は二百年前に好きな人がいました。でも、彼女はもう死んでいます」
「もう死んでいるというなら、君のオリジナルも同じだろう。彼女も君と同じ方法で、この惑星に来ていないと言い切れるかね?」
「……!」
そうだった! 香子と僕は、電脳空間で再会しているはず。
香子も、再生されてこの惑星に降りているかもしれない。
「確かに、来ているかもしれません」
「では、ミールとの事は、彼女と再会してから、決めてみてはどうかな?」
「え?」
「君がミールと結婚してしまってから、彼女と再会でもしてしまったら、修羅場になるかもしれんぞ」
「う……」……それは、コワい……しかし……
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どういう事だ? なぜ『待っているかもしれない』ではなく『待っている』と断言できる?
この人は、何か知っているのか?
「もう時間がないので、この話は後でしよう。私は今からベジドラゴンに乗って女房子供を助けに行く。君は城の爆破が終わったら、関所まで来てくれ」
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なんか、煙に巻かれたような…
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