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第六章

作戦を第二段階へ

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『第十次攻撃隊消滅です』
 まだ、レーザーは止まらない。
 発電機へのガス供給は、ダモンさんが止めてくれた。
 今はバッテリーの備蓄だけで撃っているはずだ。
 まだ、尽きないか……?
 
 雲海の上では八機の飛行船型ドローンが飛び回り、先端に着けた槍で次々と気球を突いて落としていた。
 さっきから『攻撃隊』と称して落としていた物の正体は、これだったわけだ。
 それにしても、すでに八十個は落としているけど、まだレーザーは尽きない。
 それとも他に電源があるのか?
 カルルから通信が入った。
『いい加減にしろ! いくらやっても無駄だと分からんのか!』
「そんなの、やってみなきゃ分からない」
『もうそっちだって、ドローンは三十機も残っていないだろう。諦めろ』
「そっちも、そろそろバッテリーが無くなる頃じゃないかな」
『な……いや、そんな事はない。まだいくらでも撃てるぞ』
 一瞬、カルルが動揺したのが分かった。
 やはり、バッテリーが無くなってきたのだな。
「まだ撃てるの? 変だな、ガスの供給は止めたはずなんだけど」
『あれは、お前がやったのか!?』
「あれって? なんの事だ?」
『え……いや……その……』
「やっぱり、発電機が止まっているのだろう。今はバッテリーだけで撃っているな」
『く……お前、どうやってスライムのうようよいる地下に……』
「秘密。出所の分からないエネルギーなんか使うから、そうなるんだよ。あいにくと元栓は、こっちが握っていたのさ」
『舐めるなよ。まだ、残りのドローンを落とすぐらいの電力は残っているからな』
 通信は切れた。
 その間にも攻撃は続いていたが、残りのデコイは十五。

 足りないかな……

「カイト、聞キタイ事アル」
 エシャーが僕の方へ寄ってきた。
「何だい?」
「ドローンノ真下ニ城アルノ?」
「そうだけど」
「ジャア、ココデ石ヲ落トシタラ、城ニ当タルノ?」
「あ!」
 そうか。ベジドラゴンが攻撃のためにわざわざ雲の下へ出たのは、城の位置が分からないから。
 城の位置さえ分かっていれば、雲の上から落としてもよかったんだ。
「そうだった! その手があった。エシャー、みんなに伝えて」
「分カッタ」
 エシャーの進言を聞いたベジドラゴン達は、次々と石を手放し始めた。
 今頃、カルルは慌てているだろうな。
 Pちゃんから連絡が入ったのは、最後の気球を落とした時だった。
『ご主人様。ついにレーザーが止まりました』
「よし! 作戦を第二段階へ。ドローン攻撃開始」
 八機の飛行船タイプが雲の下へ向かった。
「エシャー。お父さんにコンテナを手放すように言って」
「分カッタ」
 エシャーの父が手放したコンテナは、雲に到達する寸前にパカっと割れた。
 中から現れたのはジェットドローン。
『菊花一号、菊花二号、起動しました』
 バイザーにメッセージが表示される。
 菊花二号は自動操縦で、一号は僕が手動で動かす。
 一号からの映像がバイザーに表示された。
 一面白い雲に覆われている。
 しばらくして雲を抜けた。
 眼下に城が見える。
 城の屋上を拡大すると、兵士たちが右往左往していた。
 兵士たちの真ん中にレーザー砲がある。
 しかし、動きは止まっていた。
 電源を回復する前に、あれを破壊する。
 城目がけて急降下。

 城から数人の兵士たちが出てきたのは、先行していた飛行船タイプを一号が追い抜いた時のこと。
 兵士たちは、みんな金属筒を持っている。

 あれは!?

 兵士の一人が、金属筒を空に向けて構えた。

 携帯地対空スティンガーミサイル!
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