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第六章
蛇型ドローン潜入
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夕闇が迫る頃、ネクラーソフの乗った馬車は、ようやく城門の近くまで戻ってきた。
『まったく、今日は散々だったわい』
ネクラーソフはえらく機嫌が悪そうだ。
まあ、そうだろうな。ほぼ半日ミールの分身に振り回されて、帰り道は、橋を落とされるは、崖が崩されるはして大きく迂回させられたのだから。
やったのは僕だけど……
『ネクラーソフ閣下。城へ偵察に行った者が、戻ってきました』
『うむ。ここへよこせ』
一人の兵士が馬車に乗り込んでくる。
『報告します。先ほどの土煙は、弾薬庫が爆発したものでした』
『なんだと!? 被害は?』
『実は弾薬庫が爆発する前に、空から度重なる攻撃を受けていまして、今日一日で死者は二十名、重軽傷者はあまりにも多くて、実数を把握できていませんが百名は下らないかと』
『空からの攻撃だと? いったいどうやって?』
『最初はドローンという飛行機械による攻撃でした。この攻撃で、城の各所に火をつけられ、その火が最終的に弾薬庫に引火したものと推測されます』
『ドローンというのは、日本人が使っていた飛行機械だな。という事は、リトルトーキョーからの攻撃か?』
『いえ。カルル・エステス氏の話では、カイト・キタムラという男の単独犯行のようです』
単独犯行って……その言い方だと、まるで僕がテロリストみたいじゃないか。
でも、帝国軍から見たらそう見えるのだろうな。
『実は、朗報もあるのです』
『なんだ?』
『カルル・エステス氏が、ミールを捕獲しました』
『なんだと? 本当か? 分身ではないだろうな?』
『紛れもなく本物です。分身も紛れ込んでいましたが、カルル・エステス氏が全て排除してくれました』
『うむ。よくやってくれた。帰ったら、礼を言わねばな。ドローンもエステスが対処してくれたのか?』
『はい。城の屋上にレーザーという兵器を設置してくれたおかげで、ドローンは飛んで来れなくなりました』
『そうか。しかし、ミールは何が目的で城に忍び込んだのだ?』
『それが、ベジドラゴンを逃がすのが目的だと言っていましたが……』
『ベジドラゴン? そんな事のために……』
『おまえら! やっぱりベジドラゴンを、捕まえていたのか!』
突然アンダーが素っ頓狂な声を上げた。
てか、こいつまだいたの?
『なんじゃアンダー。ベジドラゴンの子供を捕まえていたが悪いか? おまえだって、女を売り買いしているだろう』
『あのなあ、良いとか悪いとかの問題じゃねえんだよ。ベジドラゴンを怒らせたら、マジにやべえんだよ』
『なに? どういう事だ?』
『大方、あんたらベジドラゴンを捕まえて、乗り物にでもしようと考えていたのだろう?』
『そうだが』
『ナーモ族で、それを考えた奴が今までいなかったとでも思っているのか?』
『いたのか? まあ、おまえみたいな奴がいるぐらいだから、いたのだろうな? しかし、なぜ今は、やっていない?』
『前にも、ベジドラゴンを家畜にしようとした村や町があったんだよ。どうなったと思う?』
『どうなったのだ?』
『数百頭のベジドラゴンがやってきて、村や町を完全に埋め尽くすまで、空から石を落とし続けたんだ』
『なんだと? ベジドラゴンに、そんな習性があるのか?』
僕はPC画面から目を離してミールの分身に顔を向けた。
「ミールは知ってたの?」
「ええ。ベジドラゴンは、普段大人しいけど、怒らせると大変なのですよ。それを知っているから、ナーモ族はベジドラゴンには気を使って接しているのです」
「じゃあ、ダモンさんがベジドラゴンを逃がそうとしていたのは、それを期待していたから?」
「ああ、たぶん、それはありましたね。でも、あたし達がベジドラゴンを大切にするのは、決してそれだけじゃないですよ」
インド人が象と接するようなものかな?
PCに目を戻した。
ちなみにこの画像は、さっきネクラーソフの馬車に忍び込ませた蛇型ドローンから送られてきた物。奴らの通り道の草むらに十台ほどドローンを撒いておいて、馬車が通りかかった時に忍び込ませた。その中の一台が、うまい具合ネクラーソフの車に入ってくれたのだ。
このまま城に潜入できたら、屋上まで行ってレーザー砲を破壊するのが本来の目的なのだけど……
『まったく、今日は散々だったわい』
ネクラーソフはえらく機嫌が悪そうだ。
まあ、そうだろうな。ほぼ半日ミールの分身に振り回されて、帰り道は、橋を落とされるは、崖が崩されるはして大きく迂回させられたのだから。
やったのは僕だけど……
『ネクラーソフ閣下。城へ偵察に行った者が、戻ってきました』
『うむ。ここへよこせ』
一人の兵士が馬車に乗り込んでくる。
『報告します。先ほどの土煙は、弾薬庫が爆発したものでした』
『なんだと!? 被害は?』
『実は弾薬庫が爆発する前に、空から度重なる攻撃を受けていまして、今日一日で死者は二十名、重軽傷者はあまりにも多くて、実数を把握できていませんが百名は下らないかと』
『空からの攻撃だと? いったいどうやって?』
『最初はドローンという飛行機械による攻撃でした。この攻撃で、城の各所に火をつけられ、その火が最終的に弾薬庫に引火したものと推測されます』
『ドローンというのは、日本人が使っていた飛行機械だな。という事は、リトルトーキョーからの攻撃か?』
『いえ。カルル・エステス氏の話では、カイト・キタムラという男の単独犯行のようです』
単独犯行って……その言い方だと、まるで僕がテロリストみたいじゃないか。
でも、帝国軍から見たらそう見えるのだろうな。
『実は、朗報もあるのです』
『なんだ?』
『カルル・エステス氏が、ミールを捕獲しました』
『なんだと? 本当か? 分身ではないだろうな?』
『紛れもなく本物です。分身も紛れ込んでいましたが、カルル・エステス氏が全て排除してくれました』
『うむ。よくやってくれた。帰ったら、礼を言わねばな。ドローンもエステスが対処してくれたのか?』
『はい。城の屋上にレーザーという兵器を設置してくれたおかげで、ドローンは飛んで来れなくなりました』
『そうか。しかし、ミールは何が目的で城に忍び込んだのだ?』
『それが、ベジドラゴンを逃がすのが目的だと言っていましたが……』
『ベジドラゴン? そんな事のために……』
『おまえら! やっぱりベジドラゴンを、捕まえていたのか!』
突然アンダーが素っ頓狂な声を上げた。
てか、こいつまだいたの?
『なんじゃアンダー。ベジドラゴンの子供を捕まえていたが悪いか? おまえだって、女を売り買いしているだろう』
『あのなあ、良いとか悪いとかの問題じゃねえんだよ。ベジドラゴンを怒らせたら、マジにやべえんだよ』
『なに? どういう事だ?』
『大方、あんたらベジドラゴンを捕まえて、乗り物にでもしようと考えていたのだろう?』
『そうだが』
『ナーモ族で、それを考えた奴が今までいなかったとでも思っているのか?』
『いたのか? まあ、おまえみたいな奴がいるぐらいだから、いたのだろうな? しかし、なぜ今は、やっていない?』
『前にも、ベジドラゴンを家畜にしようとした村や町があったんだよ。どうなったと思う?』
『どうなったのだ?』
『数百頭のベジドラゴンがやってきて、村や町を完全に埋め尽くすまで、空から石を落とし続けたんだ』
『なんだと? ベジドラゴンに、そんな習性があるのか?』
僕はPC画面から目を離してミールの分身に顔を向けた。
「ミールは知ってたの?」
「ええ。ベジドラゴンは、普段大人しいけど、怒らせると大変なのですよ。それを知っているから、ナーモ族はベジドラゴンには気を使って接しているのです」
「じゃあ、ダモンさんがベジドラゴンを逃がそうとしていたのは、それを期待していたから?」
「ああ、たぶん、それはありましたね。でも、あたし達がベジドラゴンを大切にするのは、決してそれだけじゃないですよ」
インド人が象と接するようなものかな?
PCに目を戻した。
ちなみにこの画像は、さっきネクラーソフの馬車に忍び込ませた蛇型ドローンから送られてきた物。奴らの通り道の草むらに十台ほどドローンを撒いておいて、馬車が通りかかった時に忍び込ませた。その中の一台が、うまい具合ネクラーソフの車に入ってくれたのだ。
このまま城に潜入できたら、屋上まで行ってレーザー砲を破壊するのが本来の目的なのだけど……
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