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第十六章

モニ系おまけ劇場『超電導バッテリー』

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ミール「どれが正解ですか?」
Pちゃん「答えは次回で」
ミール「せめてヒントを下さい」
Pちゃん「それではまず、超伝導(超電導とも書く)バッテリーの仕組みを説明しましょう。電気抵抗がゼロの超伝導物質のリングに電流を流すと、抵抗がないので電流は閉じた円環リングの中を永遠に流れ続けます。だから、超伝導物質のリング内には、電気エネルギーを蓄える事ができるのです。これが超伝導バッテリーです。正式には超伝導電力貯蔵システムというのですが、名称が長くてご主人様が覚えられないから、モニ系では超伝導バッテリーと呼んでおります」
海斗「いや、覚えられるから……」
ミール「なるほど。確かにモニ系世界ではよく使われていますね。カイトさんやメイさんが使っているロボットスーツとか、この前カルル・エステスが使っていたイワンとか」
Pちゃん「そうです。ただ、この超伝導バッテリー、モニ系世界では常温超伝導物質という事になっていますが、超伝導という現象が発見された時代では、ある特定の物質を絶対零度(摂氏-273.15℃)付近の極低温にまで冷やして起きる現象だったのです」
ミール「それは寒そうですね」
Pちゃん「寒いなんてもんじゃありません。そこまで物体を冷やすには、高価な液体ヘリウム(沸点-268.934℃)が必要でした。ところが近年になって、もっと高い温度でも超伝導状態になる物質が現れたのです」
ミール「高い温度って、どのぐらい高いのですか?」
Pちゃん「なんと。今まで液体ヘリウムが必要だったのが、液体窒素(沸点-195.8℃)でも可能になったのです」
ミール「それだって十分寒いじゃないですか。バナナで釘が打てます」
Pちゃん「まあ、そういう事ですから、常温で超伝導状態になるという事が、いかに凄いことか分かりましたね」
ミール「よく分からないけど、よく分かりました。ようするに現実にはありえないSF世界だけの物質ということですね。この先も、そんな物質は見つからないのかもしれないのですね」
Pちゃん「ところがどっこい。2020年には、絶対温度288.7°K(摂氏15℃)で超伝導状態になる物質が発見されているのです」
ミール「という事は、またSFが現実に追いつかれてしまったのですね。ところで、今の話を聞いていてクイズの答えが分かってきました」
Pちゃん「おお! さすが、ミールさん。して、答えは何番ですか?」
ミール「ずばり三番、『爆発の呪文を唱える』です」
Pちゃん「なんでそうなるんですか! ていうか、それ完全に、芽依様のネタ選択肢ですよ」


 他にも常温に近い温度で超伝導状態になる物質がいくつか見つかっておりますが、ギガパスカル単位の超高圧下での現象のようです。

 常温常圧の超伝導物質なら、まだSFの世界。
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