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第六章

いつ使うか? 今でしょ

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 ドローンを上げて、城の方へカメラを向けてみた。
 ちょうど雲間を抜けた二頭のベジドラゴンが、急降下して城に向かう様子が映る。
 しかし、城から伸びた光の刃がベジドラゴンを切り刻んでしまった。
 
 このままでは、みんなやられてしまう。止めさせないと……

「エシャー! すぐにみんなを呼び戻……」
 いや、このままエシャーを行かせたら、エシャーもレーザーでやられる。

 どうすれば……

「カイト、オ願イ……」

 レーザー光線を防ぐのに、効果があるのは、なんだったっけ?

 セラミック装甲、鏡、雨、水蒸気、煙、粉塵……

 セラミック装甲や鏡は問題外。そんな物今から作っている余裕なんかないし、あったとしてもこの状況では役に立たない。

 雨が降れば、かなりレーザーは弱くなるが、雨が降るまで待ってなどいられない。

 水蒸気。どこにボイラーがある?

 煙幕なら、レーザーをかなり弱めるはず。

 しかし、今から煙幕を張ろうにも、発煙弾を作っている余裕は……

 あるぞ! 今すぐ、城を土煙で覆う方法。

 PCを手に取った。
 城との通信を維持するために上げておいた中継用ドローンは無事だろうか?
 あれが落とされていたら万事休すだが……無事だった! 繋がるぞ。
 PCにコマンドを叩き込む。
 できればこの手段、ミールを救出するときまで取っておきたかったが仕方ない。

 弾薬庫に仕掛けた爆弾を、いつ使うか? 今でしょ!

 後は、エンターキーを押すだけ。
「エシャー。今から城が土煙に包まれるはずだ。それを確認したら、みんなのところへ行って、呼び戻して来い。城に近づくと危険だと僕が言っていたと」
「分カッタ」
「いいか。土煙に包まれたらだぞ……て、おい! まだ話は終わっていない。行くな!」

 ダメだ。エシャーはもう飛び立ってしまった。
 僕の声は、聞こえていない。

 こうなったら……

 一か八かエンターキーを押した。
 今、弾薬庫に仕掛けた爆弾が爆発したはず。
 しかし、それで城を覆い尽くすほどの土煙が発生するだろうか?
 レーザー砲は屋上にあったから、そこまで届かないと効果がない。

 ドーン!

 凄まじい音が聞こえてきた。
「カイトさん! この音は?」
 ミールの分身が、耳を押さえている。
「この前、弾薬庫に仕掛けた爆弾に点火した」
 ドローンの映像を見ると、城はすっかり土煙に覆われているのが分かった。
 ためしにドローンを城に近づけてみたが、レーザー攻撃はない。
 いや、攻撃はされていた。
 ただ、土煙に遮られて威力がかなり弱くなっていたようだ。
 ドローンに当たってはいるが、全く効果がない。

 これなら、しばらくレーザーは使えないだろう。

 だが、ベジドラゴンたちの犠牲は小さくなかった。
 雲の上で待機していた長老のところへエシャーが進言に行き、撤退命令が出るまでに三十二頭がレーザーの餌食になり、落とされたのだ。
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