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第六章
痴漢冤罪
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『あれ? あれ?』
カルルの声は、なんか拍子抜けしていた。
『エッチ! 痴漢! 変態!』
ミールの叫び声! 続いて物を投げつけるような音……
向こうで、何が起きているんだ?
『すみません! 部屋を、間違えました』
居丈高なカルルが、低姿勢で謝っている?
そのまま、ドアが閉まる音。
続いてカルルが走る足音が聞こえる。
ミールから通信が入った。
「ミール! 何があった?」
『うえーん! カイトさん』
ミールが泣いている!
『変な男に、着替えを覗かれました』
「なにい!」
カルルが入った時、ちょうど、着替え中だったのか。
『ミールは、もうお嫁にいけません。エグ……エグ……』
こ……こういう時どうやって慰めれば……
「だ……大丈夫だよ」
根拠はないけど……
『どう大丈夫なのですか?』
「ええっと……」
それを聞かれても困るのだけど……
『そうか! カイトさんが、ミールをもらってくれるのですね』
「え……? ちょ……! ま……」
『あ! ベジドラゴンが飛べるようになったようです。それでは、この話は後程ゆっくりと……』
な……なんでこうなる?
カルルから無線が入った
『北村海斗。よくもやってくれたな』
「何のことだ?」
『とぼけるな! 俺を罠にかけたくせに』
「罠?」
『さっきのミサイルは、レーザー誘導弾ではなかったな』
「だから、そう言ってるじゃないか」
『着弾のタイミングがずれているので、なんか変だなと思っていたが……』
いや、その時点で気づけよ……
『おまえは、最初から俺が城にいる事に気が付いていたな。それで、俺を誘き出すためにレーザー照射をやったな』
全然違うのですけど……
『一見、見張り塔から着弾地点にレーザー照射されているように見えた。そのせいで俺は、見張り塔にお前がいると勘違いしてしまったが実は逆だ。お前は着弾地点から見張り塔にレーザーを照射して、あたかも自分がそこにいるかの様に見せかけたのだろう』
「あのなあ……なんのために、僕がそんなややっこしい事を、しなきゃならないんだよ?」
『決まっている。見張り塔の女子更衣室に俺をおびき寄せ、俺に痴漢の濡れ衣を着せて、帝国内における俺の社会的信用を失墜させようという魂胆だろ』
「誰がするか! そんなしょうもないこと……ていうか、失墜するような信用が、お前にあったのか?」
『あるぞ。俺は帝国軍の高官たちから、頼りにされているんだ』
「おまえの技術と知識を頼りにしているだけだろ。たぶん利用価値が無くなったら、捨てられるだろうな」
『なにを根拠に……』
「おまえが裏切り者だから」
『なに?』
「たとえ自分の側についても、裏切り者って嫌われるんだよな。三国志の曹操も、自分の側に寝返った者を、戦が終わった後で『この裏切り者め!』って処刑していたじゃないか。おまえもそうなるかもね」
『うるさい! そのぐらい分かっている。だからこそ、帝国軍に信用されようと、今まで努力してきたというのに……俺に痴漢の冤罪なんか……』
ムカムカ!
「やかましい! 元を正せば、お前が勘違いして突っ走ったせいだろう! こっちも、いい迷惑なんだよ! おまえがミールの着替えを覗いたせいで……」
『ミール?』
あ! しまった! こいつ、部屋にいた女の子がミールだと気が付いてなかったんだ。
『今、ミールとか言ったな?』
「なんの事かな?」
『そうかそうか。あの猫耳と猫尻尾、てっきりコスプレかと思っていたら、ナーモ族だったのか』
「ち……違う。あれはコスプレだ」
『東京ビックサイトじゃあるまいし、コスプレ女がそうそういてたまるか!』
「おまえも、あそこによく行ってたのか?」
『おうよ。毎年夏も冬も欠かさず……話を逸らすな!』
くそ!
『ミールと分かったからには捕まえないと。じゃあな』
通信が切れた。
ヤバイ!
ミールを呼び出す。
『カイトさん。結婚式はいつにしましょう』
「それどころじゃない! カルル・エステスが君を捕まえに向かっている」
『え? カルル・エステスって?』
「さっきの痴漢野郎だ。早く逃げてくれ」
『わっかりました!』
通信が切れた。
これを最後に、ミールとの交信は途絶えた。
カルルの声は、なんか拍子抜けしていた。
『エッチ! 痴漢! 変態!』
ミールの叫び声! 続いて物を投げつけるような音……
向こうで、何が起きているんだ?
『すみません! 部屋を、間違えました』
居丈高なカルルが、低姿勢で謝っている?
そのまま、ドアが閉まる音。
続いてカルルが走る足音が聞こえる。
ミールから通信が入った。
「ミール! 何があった?」
『うえーん! カイトさん』
ミールが泣いている!
『変な男に、着替えを覗かれました』
「なにい!」
カルルが入った時、ちょうど、着替え中だったのか。
『ミールは、もうお嫁にいけません。エグ……エグ……』
こ……こういう時どうやって慰めれば……
「だ……大丈夫だよ」
根拠はないけど……
『どう大丈夫なのですか?』
「ええっと……」
それを聞かれても困るのだけど……
『そうか! カイトさんが、ミールをもらってくれるのですね』
「え……? ちょ……! ま……」
『あ! ベジドラゴンが飛べるようになったようです。それでは、この話は後程ゆっくりと……』
な……なんでこうなる?
カルルから無線が入った
『北村海斗。よくもやってくれたな』
「何のことだ?」
『とぼけるな! 俺を罠にかけたくせに』
「罠?」
『さっきのミサイルは、レーザー誘導弾ではなかったな』
「だから、そう言ってるじゃないか」
『着弾のタイミングがずれているので、なんか変だなと思っていたが……』
いや、その時点で気づけよ……
『おまえは、最初から俺が城にいる事に気が付いていたな。それで、俺を誘き出すためにレーザー照射をやったな』
全然違うのですけど……
『一見、見張り塔から着弾地点にレーザー照射されているように見えた。そのせいで俺は、見張り塔にお前がいると勘違いしてしまったが実は逆だ。お前は着弾地点から見張り塔にレーザーを照射して、あたかも自分がそこにいるかの様に見せかけたのだろう』
「あのなあ……なんのために、僕がそんなややっこしい事を、しなきゃならないんだよ?」
『決まっている。見張り塔の女子更衣室に俺をおびき寄せ、俺に痴漢の濡れ衣を着せて、帝国内における俺の社会的信用を失墜させようという魂胆だろ』
「誰がするか! そんなしょうもないこと……ていうか、失墜するような信用が、お前にあったのか?」
『あるぞ。俺は帝国軍の高官たちから、頼りにされているんだ』
「おまえの技術と知識を頼りにしているだけだろ。たぶん利用価値が無くなったら、捨てられるだろうな」
『なにを根拠に……』
「おまえが裏切り者だから」
『なに?』
「たとえ自分の側についても、裏切り者って嫌われるんだよな。三国志の曹操も、自分の側に寝返った者を、戦が終わった後で『この裏切り者め!』って処刑していたじゃないか。おまえもそうなるかもね」
『うるさい! そのぐらい分かっている。だからこそ、帝国軍に信用されようと、今まで努力してきたというのに……俺に痴漢の冤罪なんか……』
ムカムカ!
「やかましい! 元を正せば、お前が勘違いして突っ走ったせいだろう! こっちも、いい迷惑なんだよ! おまえがミールの着替えを覗いたせいで……」
『ミール?』
あ! しまった! こいつ、部屋にいた女の子がミールだと気が付いてなかったんだ。
『今、ミールとか言ったな?』
「なんの事かな?」
『そうかそうか。あの猫耳と猫尻尾、てっきりコスプレかと思っていたら、ナーモ族だったのか』
「ち……違う。あれはコスプレだ」
『東京ビックサイトじゃあるまいし、コスプレ女がそうそういてたまるか!』
「おまえも、あそこによく行ってたのか?」
『おうよ。毎年夏も冬も欠かさず……話を逸らすな!』
くそ!
『ミールと分かったからには捕まえないと。じゃあな』
通信が切れた。
ヤバイ!
ミールを呼び出す。
『カイトさん。結婚式はいつにしましょう』
「それどころじゃない! カルル・エステスが君を捕まえに向かっている」
『え? カルル・エステスって?』
「さっきの痴漢野郎だ。早く逃げてくれ」
『わっかりました!』
通信が切れた。
これを最後に、ミールとの交信は途絶えた。
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