138 / 850
第六章
まさか、これで負けていないとは、思っていないだろうな?
しおりを挟む
ミサイルは、至近距離で爆発した。
爆風と破片を浴びて、菊花一号は大破。
辛うじて墜落は免れたものの、城の屋上に不時着した。
カルルからの通信が入る。
『まんまと引っかかったな。VТ信管を切ったミサイルを撃ったのは、まぐれ当たりを期待したわけではない。ミサイルを撃ち尽くして、お前をドックファイトに引きずり込むのが、目的だったのさ』
ああ、そうだったの。
『もちろん、お前の射撃の腕は知っているからな。ドックファイトなら勝てるなんて、自惚れてはいない。ドックファイトに専念させて、もう一機のドローンの事を忘れさせるのが目的だったのさ』
こいつ、自分の作戦を自慢したいんだな。
酒場で延々と自慢話をするタイプか?
不時着なんかしないで、墜落させておけばよかった。
そうすれば、こいつの自慢話など聞かないで済んだのに……
『どうだ、悔しいか!? 悔しいだろう』
ガキか? こいつは……
「別に悔しくないよ。見事な作戦だと、感心しているところさ」
『なんだ! その上から目線な言い方は! 本当は悔しいのだろ! 悔しいと言え! この卑怯者と言ってみろ! 言っておくが戦いには、卑怯もへったくれもないんだからな』
つくづく、こんな男の話に乗らなくてよかった。
「別に、卑怯なんて言ってないけど」
『言ってないけど、思っていたんだろう!?』
「思ってないって」
「ご主人様。二号機、戦闘宙域に到着しました」
「ありがとう。Pちゃん」
操縦系を二号機に切り替えて……
『北村海斗! おまえドローンを何機用意しているんだ!?』
「三機のドローンを、ローテーションして使っているのだが何か?」
『こっちは一機しかないのに、三対一とは卑怯だぞ』
「いや、おまえ、たった今、戦いに卑怯もへったくれもないって言ったばかりやん」
『俺は良いんだ』
「良いわけあるか!」
『ふん。どうせ、そいつも空対地ミサイルしか積んでいないのだろ。そんなもの当たるものか』
いや、今度は正真正銘の赤外線追尾式空対空ミサイルなんだけど……
『全部躱してやるから、とっとと撃ってこい』
「では、遠慮なく」
ポチッとな。
ミサイルが勢いよく飛び出していく。
『あははは! そんな物当たるものか!』
当たった。
カルルのドローンは爆炎に包まれ落ちていく。
さて、後は飛行船タイプを片付ければ終わりだな。
その前に……
「ミール」
ミールに通信を送った。
「敵のドローンは片付けた。もうすぐ、こっちのドローンも降ろすから、脱出の用意してて」
『待ってください。カイトさん。着替えるのを忘れてました』
「着替え? こんな時に……」
『帝国兵に変装したままだったのですよ。このままだと、鎧が重くてベジドラゴンが飛べません』
「そうか。早くして」
『それが鎧が引っかかってなかなか、とにかく急ぎます』
ミールとの通信が切れた。
直後にカルルから通信がくる。
『やい! 北村海斗!』
今度は飛行船タイプから通信を送ってきたようだ。
しつこいな。
『まさか、これで勝ったとは、思っていないだろうな?』
負け惜しみか?
「まさか、これで負けていないとは、思っていないだろうな?」
『ふん。お前は大きな勘違いをしているぞ。ドローン同士の戦いなんてものはな、ドローンの操縦者を倒せば勝ちなんだよ』
「なに!?」
『俺は、最初からお前の居場所を掴んでいた。ドローンでじゃれあっている間に、俺はお前に近づいていたんだよ。今から、そっちへ行くから首を洗って待っていろ』
なぜ、ここが分かったんだ?
いや、ローテク帝国軍と違って奴ならレーダーぐらい持っている。
ドローンの動きで、ここを突き止められたか?
爆風と破片を浴びて、菊花一号は大破。
辛うじて墜落は免れたものの、城の屋上に不時着した。
カルルからの通信が入る。
『まんまと引っかかったな。VТ信管を切ったミサイルを撃ったのは、まぐれ当たりを期待したわけではない。ミサイルを撃ち尽くして、お前をドックファイトに引きずり込むのが、目的だったのさ』
ああ、そうだったの。
『もちろん、お前の射撃の腕は知っているからな。ドックファイトなら勝てるなんて、自惚れてはいない。ドックファイトに専念させて、もう一機のドローンの事を忘れさせるのが目的だったのさ』
こいつ、自分の作戦を自慢したいんだな。
酒場で延々と自慢話をするタイプか?
不時着なんかしないで、墜落させておけばよかった。
そうすれば、こいつの自慢話など聞かないで済んだのに……
『どうだ、悔しいか!? 悔しいだろう』
ガキか? こいつは……
「別に悔しくないよ。見事な作戦だと、感心しているところさ」
『なんだ! その上から目線な言い方は! 本当は悔しいのだろ! 悔しいと言え! この卑怯者と言ってみろ! 言っておくが戦いには、卑怯もへったくれもないんだからな』
つくづく、こんな男の話に乗らなくてよかった。
「別に、卑怯なんて言ってないけど」
『言ってないけど、思っていたんだろう!?』
「思ってないって」
「ご主人様。二号機、戦闘宙域に到着しました」
「ありがとう。Pちゃん」
操縦系を二号機に切り替えて……
『北村海斗! おまえドローンを何機用意しているんだ!?』
「三機のドローンを、ローテーションして使っているのだが何か?」
『こっちは一機しかないのに、三対一とは卑怯だぞ』
「いや、おまえ、たった今、戦いに卑怯もへったくれもないって言ったばかりやん」
『俺は良いんだ』
「良いわけあるか!」
『ふん。どうせ、そいつも空対地ミサイルしか積んでいないのだろ。そんなもの当たるものか』
いや、今度は正真正銘の赤外線追尾式空対空ミサイルなんだけど……
『全部躱してやるから、とっとと撃ってこい』
「では、遠慮なく」
ポチッとな。
ミサイルが勢いよく飛び出していく。
『あははは! そんな物当たるものか!』
当たった。
カルルのドローンは爆炎に包まれ落ちていく。
さて、後は飛行船タイプを片付ければ終わりだな。
その前に……
「ミール」
ミールに通信を送った。
「敵のドローンは片付けた。もうすぐ、こっちのドローンも降ろすから、脱出の用意してて」
『待ってください。カイトさん。着替えるのを忘れてました』
「着替え? こんな時に……」
『帝国兵に変装したままだったのですよ。このままだと、鎧が重くてベジドラゴンが飛べません』
「そうか。早くして」
『それが鎧が引っかかってなかなか、とにかく急ぎます』
ミールとの通信が切れた。
直後にカルルから通信がくる。
『やい! 北村海斗!』
今度は飛行船タイプから通信を送ってきたようだ。
しつこいな。
『まさか、これで勝ったとは、思っていないだろうな?』
負け惜しみか?
「まさか、これで負けていないとは、思っていないだろうな?」
『ふん。お前は大きな勘違いをしているぞ。ドローン同士の戦いなんてものはな、ドローンの操縦者を倒せば勝ちなんだよ』
「なに!?」
『俺は、最初からお前の居場所を掴んでいた。ドローンでじゃれあっている間に、俺はお前に近づいていたんだよ。今から、そっちへ行くから首を洗って待っていろ』
なぜ、ここが分かったんだ?
いや、ローテク帝国軍と違って奴ならレーダーぐらい持っている。
ドローンの動きで、ここを突き止められたか?
0
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜
桃源 華
ファンタジー
50代のサラリーマンおっさんが異世界に転生し、少年の姿で新たな人生を歩む。転生先で、猫耳の獣人・ミュリと共にスパイス商人として活躍。マーケティングスキルと過去の経験を駆使して、王宮での料理対決や街の発展に挑み、仲間たちとの絆を深めながら成長していくファンタジー冒険譚。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる