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第十六章
去勢して宦官にしちゃおうかしら?
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今まで《海龍》艦内で起きていた怪現象? の数々は、すべてジジイが原因だと分かったのだが……さて、このジジイの処分はどうすべきか?
今はエラの電撃で気を失っている。
目覚める前に縛っておいたのだが、このジジイの事。縛っておいても、閉じこめておいても、いつの間にか抜け出してしまいそうだ。
気を失っている間にヘリに乗せて、南ベイス島に強制送還するのが無難かな?
「その前に、去勢して宦官にしちゃおうかしら?」
そう言ってアーニャが、サバイバルナイフを舌で舐めまわした。
去勢って、まさかメスじゃなくてそれでやる気?
怖いのですけど……
「アーニャさん。それをやっても無駄です」
アーニャの胸ポケットから、ミニPちゃんが顔を出す。
「過去に宦官制度のあった国の記録によると、宦官と女官の不義がたびたびあったそうです。宦官になっても、男性の性欲は消えません」
「では、手足を切っちゃうのがいいかしら?」
「いえ。ここは脳だけを取り出して、培養液の中で生かしておくという状態がよろしいかと……」
怖えええよ! おまえら……
ジジイが目を開いたのはその時……
キョロキョロと周囲を見回し、自分が縛られているという状況を理解したようだ。
「ヒドい奴らじゃのう。せっかく良い事を教えてやろうと思って出てきたわしを、こんな目にあわせおって」
良い事だと……
「ふざけんな! 出てくるそうそう、セクハラしまくっておいて!」
「あれは軽い挨拶じゃ」
「あんな挨拶があるか!」
「そもそも、おまえらがわしを幻覚呼ばわりするからいかんのじゃ。だから、わしはおまえらに現実を分からせてやったまでじゃ」
このクソジジイ……
「良い事を教えてくれると言ったな? で、どんな内容だ?」
「なぜ、レム神が接続者の人格を残して眠らせているかを知りたいのじゃろう」
確かに、それは気になるが……
「知っているのか?」
「知っているぞ。知りたいだろう」
「どうせ、なにかろくでもない報酬を要求するのだろう?」
「当然じゃ」
「では、いらん」
「待て。報酬の内容ぐらい聞け」
「どうせ、エロい事でも要求してくるのだろう」
「エロい事の何が悪い! おまえだって男だろ。エロい妄想の一つや二つ……」
「エロそのものを否定する気はない。相手の合意を得ないエロは禁止」
「ふん! 合意か。ええのう。若くてハンサムな男は。いくらでも、女から合意してもらえて……」
「あんただって、子供がいるのだろう。合意の上で作ったのじゃないのか?」
「う! ……とにかく、今回の要求はエロい事ではない」
「では、酒か? そういえば、アーニャさんの酒を誰かが飲んでいたが、あんたの仕業だったんだな」
「悪いか」
「悪いに決まっているだろ! それと昨夜、僕の紹興酒がなくなっていたが、あれもおまえの仕業か?」
「そんな物は知らん」
しらばっくれて……酒の恨みは恐ろしいんだぞ!
昨夜、眠る前に一杯やろうと思ってブリーフケースの二重底を開いたとき、そこに隠してあったはずの紹興酒がなくなっていたときに受けた僕の絶望がどれほどのものか……
「ご主人様。それをやったのは私です」
そう言ったのは、アーニャの胸ポケットから顔をのぞかせているミニPちゃん。
「なんだって?」
「ご主人様が飲み過ぎないように、私がやりました」
「おい……まさか捨てたんじゃないよな?」
「捨ててはいません。今日の作戦が終わったらお返しします」
「本当に返してくれるのだろうな?」
「ご主人様。ロボットは嘘をつきません」
いや、おまえは嘘をつけるように作られているんだろう。
「なんじゃい! とんだ濡れ衣じゃのう。おまえの酒を隠したのは、おまえの家来ではないか」
「うっさいなあ! で、結局あんたは、何を要求したいんだ?」
「おまえはこの戦いが終わったら、リトル東京に行くのじゃろ?」
立ち聞きしていたのか。
「その時に、わしも一緒にリトル東京へ連れて行ってくれ」
なに?
今はエラの電撃で気を失っている。
目覚める前に縛っておいたのだが、このジジイの事。縛っておいても、閉じこめておいても、いつの間にか抜け出してしまいそうだ。
気を失っている間にヘリに乗せて、南ベイス島に強制送還するのが無難かな?
「その前に、去勢して宦官にしちゃおうかしら?」
そう言ってアーニャが、サバイバルナイフを舌で舐めまわした。
去勢って、まさかメスじゃなくてそれでやる気?
怖いのですけど……
「アーニャさん。それをやっても無駄です」
アーニャの胸ポケットから、ミニPちゃんが顔を出す。
「過去に宦官制度のあった国の記録によると、宦官と女官の不義がたびたびあったそうです。宦官になっても、男性の性欲は消えません」
「では、手足を切っちゃうのがいいかしら?」
「いえ。ここは脳だけを取り出して、培養液の中で生かしておくという状態がよろしいかと……」
怖えええよ! おまえら……
ジジイが目を開いたのはその時……
キョロキョロと周囲を見回し、自分が縛られているという状況を理解したようだ。
「ヒドい奴らじゃのう。せっかく良い事を教えてやろうと思って出てきたわしを、こんな目にあわせおって」
良い事だと……
「ふざけんな! 出てくるそうそう、セクハラしまくっておいて!」
「あれは軽い挨拶じゃ」
「あんな挨拶があるか!」
「そもそも、おまえらがわしを幻覚呼ばわりするからいかんのじゃ。だから、わしはおまえらに現実を分からせてやったまでじゃ」
このクソジジイ……
「良い事を教えてくれると言ったな? で、どんな内容だ?」
「なぜ、レム神が接続者の人格を残して眠らせているかを知りたいのじゃろう」
確かに、それは気になるが……
「知っているのか?」
「知っているぞ。知りたいだろう」
「どうせ、なにかろくでもない報酬を要求するのだろう?」
「当然じゃ」
「では、いらん」
「待て。報酬の内容ぐらい聞け」
「どうせ、エロい事でも要求してくるのだろう」
「エロい事の何が悪い! おまえだって男だろ。エロい妄想の一つや二つ……」
「エロそのものを否定する気はない。相手の合意を得ないエロは禁止」
「ふん! 合意か。ええのう。若くてハンサムな男は。いくらでも、女から合意してもらえて……」
「あんただって、子供がいるのだろう。合意の上で作ったのじゃないのか?」
「う! ……とにかく、今回の要求はエロい事ではない」
「では、酒か? そういえば、アーニャさんの酒を誰かが飲んでいたが、あんたの仕業だったんだな」
「悪いか」
「悪いに決まっているだろ! それと昨夜、僕の紹興酒がなくなっていたが、あれもおまえの仕業か?」
「そんな物は知らん」
しらばっくれて……酒の恨みは恐ろしいんだぞ!
昨夜、眠る前に一杯やろうと思ってブリーフケースの二重底を開いたとき、そこに隠してあったはずの紹興酒がなくなっていたときに受けた僕の絶望がどれほどのものか……
「ご主人様。それをやったのは私です」
そう言ったのは、アーニャの胸ポケットから顔をのぞかせているミニPちゃん。
「なんだって?」
「ご主人様が飲み過ぎないように、私がやりました」
「おい……まさか捨てたんじゃないよな?」
「捨ててはいません。今日の作戦が終わったらお返しします」
「本当に返してくれるのだろうな?」
「ご主人様。ロボットは嘘をつきません」
いや、おまえは嘘をつけるように作られているんだろう。
「なんじゃい! とんだ濡れ衣じゃのう。おまえの酒を隠したのは、おまえの家来ではないか」
「うっさいなあ! で、結局あんたは、何を要求したいんだ?」
「おまえはこの戦いが終わったら、リトル東京に行くのじゃろ?」
立ち聞きしていたのか。
「その時に、わしも一緒にリトル東京へ連れて行ってくれ」
なに?
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