679 / 850
第十六章
去勢して宦官にしちゃおうかしら?
しおりを挟む
今まで《海龍》艦内で起きていた怪現象? の数々は、すべてジジイが原因だと分かったのだが……さて、このジジイの処分はどうすべきか?
今はエラの電撃で気を失っている。
目覚める前に縛っておいたのだが、このジジイの事。縛っておいても、閉じこめておいても、いつの間にか抜け出してしまいそうだ。
気を失っている間にヘリに乗せて、南ベイス島に強制送還するのが無難かな?
「その前に、去勢して宦官にしちゃおうかしら?」
そう言ってアーニャが、サバイバルナイフを舌で舐めまわした。
去勢って、まさかメスじゃなくてそれでやる気?
怖いのですけど……
「アーニャさん。それをやっても無駄です」
アーニャの胸ポケットから、ミニPちゃんが顔を出す。
「過去に宦官制度のあった国の記録によると、宦官と女官の不義がたびたびあったそうです。宦官になっても、男性の性欲は消えません」
「では、手足を切っちゃうのがいいかしら?」
「いえ。ここは脳だけを取り出して、培養液の中で生かしておくという状態がよろしいかと……」
怖えええよ! おまえら……
ジジイが目を開いたのはその時……
キョロキョロと周囲を見回し、自分が縛られているという状況を理解したようだ。
「ヒドい奴らじゃのう。せっかく良い事を教えてやろうと思って出てきたわしを、こんな目にあわせおって」
良い事だと……
「ふざけんな! 出てくるそうそう、セクハラしまくっておいて!」
「あれは軽い挨拶じゃ」
「あんな挨拶があるか!」
「そもそも、おまえらがわしを幻覚呼ばわりするからいかんのじゃ。だから、わしはおまえらに現実を分からせてやったまでじゃ」
このクソジジイ……
「良い事を教えてくれると言ったな? で、どんな内容だ?」
「なぜ、レム神が接続者の人格を残して眠らせているかを知りたいのじゃろう」
確かに、それは気になるが……
「知っているのか?」
「知っているぞ。知りたいだろう」
「どうせ、なにかろくでもない報酬を要求するのだろう?」
「当然じゃ」
「では、いらん」
「待て。報酬の内容ぐらい聞け」
「どうせ、エロい事でも要求してくるのだろう」
「エロい事の何が悪い! おまえだって男だろ。エロい妄想の一つや二つ……」
「エロそのものを否定する気はない。相手の合意を得ないエロは禁止」
「ふん! 合意か。ええのう。若くてハンサムな男は。いくらでも、女から合意してもらえて……」
「あんただって、子供がいるのだろう。合意の上で作ったのじゃないのか?」
「う! ……とにかく、今回の要求はエロい事ではない」
「では、酒か? そういえば、アーニャさんの酒を誰かが飲んでいたが、あんたの仕業だったんだな」
「悪いか」
「悪いに決まっているだろ! それと昨夜、僕の紹興酒がなくなっていたが、あれもおまえの仕業か?」
「そんな物は知らん」
しらばっくれて……酒の恨みは恐ろしいんだぞ!
昨夜、眠る前に一杯やろうと思ってブリーフケースの二重底を開いたとき、そこに隠してあったはずの紹興酒がなくなっていたときに受けた僕の絶望がどれほどのものか……
「ご主人様。それをやったのは私です」
そう言ったのは、アーニャの胸ポケットから顔をのぞかせているミニPちゃん。
「なんだって?」
「ご主人様が飲み過ぎないように、私がやりました」
「おい……まさか捨てたんじゃないよな?」
「捨ててはいません。今日の作戦が終わったらお返しします」
「本当に返してくれるのだろうな?」
「ご主人様。ロボットは嘘をつきません」
いや、おまえは嘘をつけるように作られているんだろう。
「なんじゃい! とんだ濡れ衣じゃのう。おまえの酒を隠したのは、おまえの家来ではないか」
「うっさいなあ! で、結局あんたは、何を要求したいんだ?」
「おまえはこの戦いが終わったら、リトル東京に行くのじゃろ?」
立ち聞きしていたのか。
「その時に、わしも一緒にリトル東京へ連れて行ってくれ」
なに?
今はエラの電撃で気を失っている。
目覚める前に縛っておいたのだが、このジジイの事。縛っておいても、閉じこめておいても、いつの間にか抜け出してしまいそうだ。
気を失っている間にヘリに乗せて、南ベイス島に強制送還するのが無難かな?
「その前に、去勢して宦官にしちゃおうかしら?」
そう言ってアーニャが、サバイバルナイフを舌で舐めまわした。
去勢って、まさかメスじゃなくてそれでやる気?
怖いのですけど……
「アーニャさん。それをやっても無駄です」
アーニャの胸ポケットから、ミニPちゃんが顔を出す。
「過去に宦官制度のあった国の記録によると、宦官と女官の不義がたびたびあったそうです。宦官になっても、男性の性欲は消えません」
「では、手足を切っちゃうのがいいかしら?」
「いえ。ここは脳だけを取り出して、培養液の中で生かしておくという状態がよろしいかと……」
怖えええよ! おまえら……
ジジイが目を開いたのはその時……
キョロキョロと周囲を見回し、自分が縛られているという状況を理解したようだ。
「ヒドい奴らじゃのう。せっかく良い事を教えてやろうと思って出てきたわしを、こんな目にあわせおって」
良い事だと……
「ふざけんな! 出てくるそうそう、セクハラしまくっておいて!」
「あれは軽い挨拶じゃ」
「あんな挨拶があるか!」
「そもそも、おまえらがわしを幻覚呼ばわりするからいかんのじゃ。だから、わしはおまえらに現実を分からせてやったまでじゃ」
このクソジジイ……
「良い事を教えてくれると言ったな? で、どんな内容だ?」
「なぜ、レム神が接続者の人格を残して眠らせているかを知りたいのじゃろう」
確かに、それは気になるが……
「知っているのか?」
「知っているぞ。知りたいだろう」
「どうせ、なにかろくでもない報酬を要求するのだろう?」
「当然じゃ」
「では、いらん」
「待て。報酬の内容ぐらい聞け」
「どうせ、エロい事でも要求してくるのだろう」
「エロい事の何が悪い! おまえだって男だろ。エロい妄想の一つや二つ……」
「エロそのものを否定する気はない。相手の合意を得ないエロは禁止」
「ふん! 合意か。ええのう。若くてハンサムな男は。いくらでも、女から合意してもらえて……」
「あんただって、子供がいるのだろう。合意の上で作ったのじゃないのか?」
「う! ……とにかく、今回の要求はエロい事ではない」
「では、酒か? そういえば、アーニャさんの酒を誰かが飲んでいたが、あんたの仕業だったんだな」
「悪いか」
「悪いに決まっているだろ! それと昨夜、僕の紹興酒がなくなっていたが、あれもおまえの仕業か?」
「そんな物は知らん」
しらばっくれて……酒の恨みは恐ろしいんだぞ!
昨夜、眠る前に一杯やろうと思ってブリーフケースの二重底を開いたとき、そこに隠してあったはずの紹興酒がなくなっていたときに受けた僕の絶望がどれほどのものか……
「ご主人様。それをやったのは私です」
そう言ったのは、アーニャの胸ポケットから顔をのぞかせているミニPちゃん。
「なんだって?」
「ご主人様が飲み過ぎないように、私がやりました」
「おい……まさか捨てたんじゃないよな?」
「捨ててはいません。今日の作戦が終わったらお返しします」
「本当に返してくれるのだろうな?」
「ご主人様。ロボットは嘘をつきません」
いや、おまえは嘘をつけるように作られているんだろう。
「なんじゃい! とんだ濡れ衣じゃのう。おまえの酒を隠したのは、おまえの家来ではないか」
「うっさいなあ! で、結局あんたは、何を要求したいんだ?」
「おまえはこの戦いが終わったら、リトル東京に行くのじゃろ?」
立ち聞きしていたのか。
「その時に、わしも一緒にリトル東京へ連れて行ってくれ」
なに?
0
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
あめの みかな
ファンタジー
教会は、混沌の種子を手に入れ、神や天使、悪魔を従えるすべを手に入れた。
後に「ラグナロクの日」と呼ばれる日、先端に混沌の種子を埋め込んだ大陸間弾道ミサイルが、極東の島国に撃ち込まれ、種子から孵化した神や天使や悪魔は一夜にして島国を滅亡させた。
その際に発生した混沌の瘴気は、島国を生物の住めない場所へと変えた。
世界地図から抹消されたその島国には、軌道エレベーターが建造され、かつての首都の地下には生き残ったわずかな人々が細々とくらしていた。
王族の少年が反撃ののろしを上げて立ち上がるその日を待ちながら・・・
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる