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第十六章

巧妙な罠?

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 ミールとキラの分身体が消えるのを見て、マルガリータ姫は邪悪な笑みを浮かべ、不気味な笑い声をあげた。

「フーフフフフフフフ」

 どうしたのだろう?

「姫。何かおかしな事でもありましたか?」
「これが笑わずにいられるか。カイト・キタムラよ。まんまと、わらわの仕掛けた巧妙こうみょうな罠にハマったな」
「罠?」
「妾の目的は、ここにおまえたちを引き留めておく事だったのじゃ」

 まあ、だいたいそうだろうと思っていたが……

「ということは、今までミーチャの事を長々と話していたのは、我々をこの場所に引き留めておくための作戦だったとでも言うですか?」
「いかにも。妾がただミーチャ恋しさゆえに、父である皇帝にねだって、実戦経験も実力もないのにこの部隊の司令官になったバカ女……とでも思っていたのか?」

 思っていたけど……

「えええええ! 違うのですか?」
「違うわ! てか……本当にそう思っていた? だったら、ちょっと悲しいのだけど……」

 いや、涙目にそう言われても困るのだが……

「では、大佐という階級も本当ですか?」
「え? 本当だが……ああ! おまえ、妾が親の七光りだけで、士官学校や軍大学を出て大佐に昇進したと思っているな?」
「はい。思っています」
「ムギー! 妾が士官学校と軍大学を出たのは実力じゃ!」
「そうでしたか。しかし、大佐になるには少々お若いのではないかと……」
「まあ、多少のコネはあったが……」

 多少でもあったんだ。

「妾が大佐に昇進できたのは、子供の頃から勉学にはげみ、心身を鍛錬たんれんした成果じゃ」
「はあ……そうでしたか……」

 それだけ優秀なら、僕なんかの罠にかかるなよ。

 てか、軍大学まで出たって事は、かなりのエリートなんだろうな。
 
 キラは戦場に出てくるような人ではないと言っていたが、安全な後方勤務にでも付いていたのかな?

 その事を聞いてみると……

「いかにも。妾は軍の後方勤務のかたわら、皇女としての公務もこなしていた。だから、実戦に出たことは今までない。しかし、おまえたちがミーチャを連れてベイス島へ向かっている事を知り、父上に頼み込んで妾にベイス島指令を任せてもらったのじゃ」

 結局、ミーチャを取り戻したいという私情で、ここに来た事に変わりないやん。

 元々、ここに駐留していた帝国軍には、いい迷惑な話だろうな。
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