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第十六章

旭光を背に浴びて……

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 程なくして、全員が発令所に集合した。

 もちろん《水龍》のメンバーはリモート参加。

 そして、今回は衛星回線を通して、ベイス島のナージャもリモート参加していた。

「さっそくだが、ナージャ。そちらに被害は出ていないか?」
『村に被害はありません。ただ、若干ですが、前線基地が津波の被害を受けました』
「前線基地に人は?」
『ライサたちがいたけど無事です。先ほど電話が回復して、全員の無事を確認できました』

 よかった。正直、フーファイターが落ちてから、ずっと気がかりだったのだ。

『浸水により装備の一部がやられましたが、偵察活動に支障はありません。すでにライサは地上走行ドローンによる偵察活動を再開しています』

 ライサの報告によると、戦闘開始前に確認してある北ベイス島の対空対艦兵器はほぼ壊滅状態だという。

 ただ、地下施設から、ロケット砲らしき装備が運び出されているのも確認したと。

 映像を照合したところRPG7のようだ。

 潜水艦に当たれば、沈没とまでいかなくてもかなりの被害が出る。

「よし。明日の上陸作戦には、モーターボートを使う。《水龍》《海龍》は沖合に待機」

 それに対してアーニャが異を唱える。

「ボートが狙われたらどうするの?」
「大丈夫」
「なぜ?」
「RPG7は、威力は大きいが、誘導装置もないただの推進弾。ボートのような小さな標的に当たるものではない」

 と、このやりとりは、あらかじめアーニャとの間で打ち合わせていたもの。

 もちろん、ミーチャを通じてレムに聞かせるのが目的。

 この会議では、僕が何を提案しても、アーニャには必ず反論するように頼んでおいたのだ。

 欺瞞情報をもっともらしくみせるために……

「それにことわざにもある。「当たらなければどうという事あるまい」と」
「ご主人様。それ、ことわざではありません」
「え? 違ったっけ?」

 こんなふうにフェイク会議を進めていき、ミーチャが寝静まった後、本当の作戦会議を行った。

 そして翌朝……

 僕は甲板に降りて東の空を見た。

 空が明るくなり始めている。

 日の出まで、三十分を切った。
 
 ここから西方三十キロにあるのが北ベイス島。
 
「「「装着」」」

 金色、桜色、すみれ色と三体のロボットスーツが甲板に集結。

 ミールとミク、キラ、エラそしてアーニャがヘリに乗り込んだ。

 もちろん上陸作戦に、ボートなど使う気はない。最初から橋本晶が乗ってきたヘリを使うつもりだったのだ。

 僕は舳先に立って、みんなの方を振り返る。

「これから僕たちは北ベイス島へ上陸するが、その前にみんなに言っておきたい事がある。僕がこれから言うことは、虫のいい話だということは分かっている。だけど僕は強欲だ。絶対にこれだけは譲れない。僕の望みはただ一つ、みんなが無事にここへ帰ってくることだ。だから、みんな絶対に……」

 全員が無言で僕を見つめていた。

「死ぬな!」

 そして僕たちは艦を離れた。

 旭光を背に浴びて……
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