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第十六章

フライング・トラクターを撃破せよ1

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 フーファイターの爆発によって発生した津波が、砂州さすを乗り越えベイス湾まで入り込んだ。

 湾内に停泊中の帝国艦隊艦艇が激しくれる。

 上空にいたドローンも、墜落は免れたものの強風に翻弄ほんろうされた。

 ナージャたちがいる村はかなり内陸にあるから影響はないと思うが、前線基地は被害を受けたかもしれない。

 戦闘で反物質を消耗させたが、それでもこれだけのエネルギーが残っていたとは……

 もし、満タンの状態で落としていたらと思うとぞっとする。

 次のフーファイターが出てきても、落としてはダメだ。どれだけの損害が出るか分からない。

 もっとも、敵のビームを跳ね返して攻撃するなんて戦法は、もう通用しないだろうけど。

 次にフーファイターが上がってきたら、位相共役鏡フェーズ・コンジュゲーション・ミラーを警戒してレーザーは使わず、重力制御だけで攻撃してくるだろう。

 だが、こちらの目的は達成したようだ。

 《海龍》のPちゃんから連絡が入る。

『ご主人様。ベイス島のナージャさんが、フーファイターの誘導波発信源を突き止めました。データを送ります』

 発信源は、ベイス島北岸にある小さな湖。

 水蒸気爆発でできたクレーターに、水が溜まってできた湖のようだ。

「芽依ちゃん。行くよ」
「はい」
「レイホー。頼む」
「アイサー! 《水龍》急速浮上」

 エレベーターが上昇するような感覚が伝わってくる。

 今、《水龍》は海底を離れ、海面へ向かっているのだ。

 再びPちゃんから連絡が入ったのはその時……

『ご主人様。二機目のフーファイターが現れました。これより戦闘に入ります』
「なるべく、戦闘を引き延ばしてくれ。その間に矢納さんを叩く」
『了解しました』

 《水龍》が海面に出たのはその時。

「ハッチオープン! おにいさん、芽依ちゃん。出撃して」

 僕と芽依ちゃんの九九式が海上に飛び出す。

 レーダーを警戒して海面スレスレを進んだ。
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