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第四章

インペリアル

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 河川敷の上で、奴らと遭遇した。
 司令官らしき男が、何か号令する。
 他の兵士たちが、こっちを取り囲む。
「面白い魔法ですね」
 そう言ってミールが指差したのは、テーブルの上に置いてあるタブレットPCのディスプレイ。
 そこに映っているのは、彼女の分身に持たせたウェアラブルカメラから送られてきた映像だ。
 兵士たちが、銃を構えて近寄ってくる様子が映っている。
 ちなみにそれを見ている僕らは、現場から数百メートル離れた場所にいる。
「すみません。こういうのは魔法じゃなくて、科学って言うのでしたっけ?」
 ミールは、科学を知っているようだな。
 やはり、彼女もコピー人間たちと接触したのだろうか?
「一応、分身が見た物は、あたしにも見えるのですが、こうやって他人に見せる事が出来なくて、今までもどかしい思いをしていました」
「魔法も便利なようで、万能ではないんだね」
「これ、売ってもらえませんか?」
「え? いや、売るのはいいけど、使えるかな?」
「教えて下さい。使い方。授業料も払います」
「でも、君、持ち合わせがなかったのでは……」
「それは、大丈夫です。あるところにお金を隠してありますので、それを取りに行ければお支払いできます。どうでしょう?」
「いいけど、その話は、あいつらをなんとかしてからにしよう」
「そうでした」
 ミールは、ディスプレイに向き直った。
「ところでミール。あいつら、何者なの?」
「帝国軍ですよ」
「帝国軍?」
 念のため翻訳ディバイスで、ミールがなんと発音したか再生してみた。
『インペリアル☆▽』
 インペリアル!? 地球の言葉だ。
 ☆▽はナーモ語で軍を意味しているようだが……
「ミール。『帝国』って、どういう意味だか知っている?」
「え? 『帝国』という名前の国だと思いますが……でも、『帝国』という地球の言葉の意味は、分かりません」
 やっぱり、そうだ。
 ミールは、意味も分からないで『インペリアル』と言っていたんだ。
 しかし、翻訳ディバイスがそれを日本語の『帝国』と訳した。
 今、翻訳機は 日本語⇔ナーモ語 に合わせている。
「マイ ネーム イズ カイト キタムラ」
 試に英語を喋ってみた。
「……?」
 ミールは不思議そうな顔をしている。ディバイスが翻訳しなかったのだ。
 ただディバイスに『言語選択を 英語⇔ナーモ語 に変更しますか?』というメッセージが表示された。
 ミールが『インペリアル』と言っても、そのメッセージが出ないで普通に日本語の『帝国』に翻訳するという事は、ナーモ語には本来は無い『インペリアル』という単語は、ナーモ語の外来語として定着してしまっているんだ。
 僕が思ってたよりもかなり前から、地球人はこの惑星に入り込んでるようだ。
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