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第十五章

ろくな一家じゃないな

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「装着」

 ロボットスーツを装着すると、僕は甲板へと進みながら通信機でミールを呼び出した。

「ミール。ジジイの分身体は消えた。今からそっちへ戻るから、捕虜の分身体を作っておいてくれ」
『え? 捕虜の分身体なら、もう作りましたよ』
「そっか、早いな」
『だって、お爺さんの分身体なんて、十分前に消えているし……』
「え?」

 十分前?

 ええっと、分身体が消えてから、トイレを済ませてロボットスーツを装着したわけだが、十分も経っていたかな?

 まあ、いいか。どっちかの勘違いだろう。

 甲板に出ると、ミクがまだ落書き女に落書きをしていた。

「ミク、ほどほどにしておけよ」

 ミクがこっちを振り向く。

「お兄ちゃん。面白い事が分かったよ」
「なんだ?」

 ミクは落書き女を指さす。

「こいつ。デポーラ・モロゾフの従姉妹いとこだったよ」
「デポーラ? 誰だっけ?」
「もお! お兄ちゃんてば、長い名前覚えるの苦手ね。ほら、ロータスの町で、あたしとミールちゃんが捕まえた女盗賊」

 思い出した。

「賞金金貨百枚の女か。という事は、砦にいるこいつの父親は……」
「デポーラのお兄さんだって」

 ろくな一家じゃないな。

 そのまま、僕は《海龍》から飛び立った。
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