621 / 842
第十五章
接続されていたのは
しおりを挟む
《海龍》の甲板上に、ミクがいるのが見えた。
ミクの前では、落書き女が手すりに縛り付けられている。
仕返しするとか言っていたらしいけど、何をしているんだ?
落書き女に同情する気など微塵もないが、やりすぎてミクの心が歪まないか心配だ。
まあ、僕も人の事は言えんか。
さっきまで、怒りに任せて盗賊どもぶっ殺していたからな。
この後で砦に立て籠もっている奴らも片付けなきゃならないが、終わったら供養ぐらいはしておこう。
ミクの背後に着地。
「面白い。病みつきになりそう」
そう言ってミクは、落書き女の顔にドラえもんのヒゲを書き込んでいた。
落書きには、落書きで仕返しか。
しかし、病みつきにはなるなよ。
ミクに落書きされている女は、涙目になり……
「うう……なんで、私がこんな目に……」
「なんでって? お姉さん。自業自得って言葉知っている?」
「私は国語が苦手なんだ! そんな難しい言葉、分かるわけないだろう!」
「威張って言えることじゃないでしょ」
ミクの事は置いといて……
僕と芽依ちゃんは倉庫に向かった。
「装着」
九九式を装着すると、芽依ちゃんはアーテミスに戻っていった。
逆に僕は九九式を脱着し、ジジイの分身体を探す。
お! いた。木箱の上に腰掛けている。
デジカメを向けてみると、ジジイは出現消滅を繰り返していたが、消滅時間の方が長くなっている。
ミールの言うとおり、あまり長くもちそうにないな。急ごう。
「じいさん。あんたはもうすぐ消滅する。その前に聞いておきたい事がある」
ジジイは、虚ろな目を僕に向けた。
「今朝、あんたは言っていたな。レムと接続された人間に、レムが何も話しかけて来なければ、本人は接続された事も自覚できないと」
ジジイは頷いた。
「確かに、わしはそう言った」
「つまり、レムに接続されていても、本人はその事に何年もずっと気が付かないままでいるという事もありうるのか?」
「ありうる。というより、レムと接続された人間は、その方が多いと思うぞ。接続して操ったり、精神融合したりするのは、レムにとってもかなり骨が折れるはずじゃ。情報収集のために接続だけした方がはるかに多いじゃろう」
という事は、ただ接続されて情報を吸い上げられている人もいて、そういう人は接続された事を自覚していない。
自覚していないのなら、ミールの分身魔法による尋問では見破れない。
だけど、僕たちは分身魔法を使った尋問をしてあるから大丈夫だと思ってしまっていた。
今回、アーテミスに上陸したメンバーの中で、アンドロイドではなく本物のミクの姿を見かけたのはミーチャだけ。
ミーチャが接続されていたんだ。
ミクの前では、落書き女が手すりに縛り付けられている。
仕返しするとか言っていたらしいけど、何をしているんだ?
落書き女に同情する気など微塵もないが、やりすぎてミクの心が歪まないか心配だ。
まあ、僕も人の事は言えんか。
さっきまで、怒りに任せて盗賊どもぶっ殺していたからな。
この後で砦に立て籠もっている奴らも片付けなきゃならないが、終わったら供養ぐらいはしておこう。
ミクの背後に着地。
「面白い。病みつきになりそう」
そう言ってミクは、落書き女の顔にドラえもんのヒゲを書き込んでいた。
落書きには、落書きで仕返しか。
しかし、病みつきにはなるなよ。
ミクに落書きされている女は、涙目になり……
「うう……なんで、私がこんな目に……」
「なんでって? お姉さん。自業自得って言葉知っている?」
「私は国語が苦手なんだ! そんな難しい言葉、分かるわけないだろう!」
「威張って言えることじゃないでしょ」
ミクの事は置いといて……
僕と芽依ちゃんは倉庫に向かった。
「装着」
九九式を装着すると、芽依ちゃんはアーテミスに戻っていった。
逆に僕は九九式を脱着し、ジジイの分身体を探す。
お! いた。木箱の上に腰掛けている。
デジカメを向けてみると、ジジイは出現消滅を繰り返していたが、消滅時間の方が長くなっている。
ミールの言うとおり、あまり長くもちそうにないな。急ごう。
「じいさん。あんたはもうすぐ消滅する。その前に聞いておきたい事がある」
ジジイは、虚ろな目を僕に向けた。
「今朝、あんたは言っていたな。レムと接続された人間に、レムが何も話しかけて来なければ、本人は接続された事も自覚できないと」
ジジイは頷いた。
「確かに、わしはそう言った」
「つまり、レムに接続されていても、本人はその事に何年もずっと気が付かないままでいるという事もありうるのか?」
「ありうる。というより、レムと接続された人間は、その方が多いと思うぞ。接続して操ったり、精神融合したりするのは、レムにとってもかなり骨が折れるはずじゃ。情報収集のために接続だけした方がはるかに多いじゃろう」
という事は、ただ接続されて情報を吸い上げられている人もいて、そういう人は接続された事を自覚していない。
自覚していないのなら、ミールの分身魔法による尋問では見破れない。
だけど、僕たちは分身魔法を使った尋問をしてあるから大丈夫だと思ってしまっていた。
今回、アーテミスに上陸したメンバーの中で、アンドロイドではなく本物のミクの姿を見かけたのはミーチャだけ。
ミーチャが接続されていたんだ。
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
未来に住む一般人が、リアルな異世界に転移したらどうなるか。
kaizi
SF
主人公の設定は、30年後の日本に住む一般人です。
異世界描写はひたすらリアル(現実の中世ヨーロッパ)に寄せたので、リアル描写がメインになります。
魔法、魔物、テンプレ異世界描写に飽きている方、SFが好きな方はお読みいただければ幸いです。
なお、完結している作品を毎日投稿していきますので、未完結で終わることはありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる