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第十五章

自警団のリーダー

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 自警団はナーモ族、プシダー族、ルフ族、亡命帝国人の混成部隊だった。

 それを率いていたリーダーは……

「あんた、自警団のリーダーだったのか?」

 率いていたのは、プシダー族。それもさっき、廃屋に酒を届けてくれた店員。

「普段俺は、酒屋の店員なのだがな。それと、本来自警団のリーダーは店長なのだが、今回俺が代理で率いている。ていうか、あんた俺を知っているのか?」

 さっき会った時は、トレンチコートとデンガロンハットを被っていたからな。
 
「コートと帽子を失ってしまったが、さっき、廃屋で酒を受け取った男だよ」
「ああ! さっきの気前のいいお客さん。に……荷物は二つとも、無事に届きましたか?」
「ああ。届いたよ」
「そ……それは良かった。ハハハ……」

 ん? なんか様子がおかしいな。

 まあ、いいか。それより……

「廃工場内に、誘拐された子供たちがいるんだ。早く、助けに行ってほしい。十人ほど連れ出してきたが、まだこれだけじゃないんだ」
「分かった。人手は百人ほど集めて来た。医者もいるし、子供をさらわれた親たちも連れてきた。さっそく、取りかかろう」
「盗賊の残党が残っているかも知れないから、気をつけてくれ」

 さらにいくつか、打ち合わせをしている時……
 
「チコリ!」
 
 一人のナーモ族女性が、僕の方へやってくる。

「ママ!」

 さっきから、僕の足にしがみついていた少女が、女性にかけよって抱きついた。
 
 母子か。再会できて良かった。

「ママ。勇者カイトが、助けに来てくれたの」

 女性は僕に頭を下げる。

「ありがとうございます。ありがとうございます。三年前にも助けて頂いて、お礼もできないままでしたのに……」

 いや、三年前に助けたのは僕ではないのだが……

 おお! そうだ。

「リーダー。ちょっとこれを見てくれ。盗賊から没収したものだが」

 顧客名簿を差し出した。

「ん?」

 リーダーは、顧客名簿をパラパラとめくっていった。次第に怒りにふるえてくる。

「軍隊が盗賊討伐に行かない理由が、ようやく分かった。ありがとう。勇者カイト」

 彼の話によると、盗賊による被害が顕著になってきたのは一年ぐらい前かららしい。

 廃工場を拠点にしていることも、大分前から分かっていた。

 それなのに、軍隊がさっぱり動かないことから業を煮やした町の有志たちが集まり、自警団を結成したのは半年ほど前の事。

 しかし、戦闘のプロでもない彼らでは、廃工場まで攻め込む事はできない。

 せいぜい町内を見回りして、町に出てきた盗賊を捕まえるのがやっとだった。

 そんな事を聞いている時、突然銃声が響く。

 廃工場の中からだ。

 今、あの中には子供たちを迎えに行った自警団の人達がいるはずだが、残党と遭遇したのか?
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