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第十五章
怒れる海斗
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ドローンで内部を偵察した時から、気になっていたのだ。
子供達の事が……
この事はアーテミスの自警団に任せるべきであって、僕の出る幕ではないかもしれないが、それが来るまで時間がかかる。
今現在も、病気で死にかけている子供がいるかもしれない。客の相手をさせられている子供もいるかもしれない。
いるなら、助けたいし、客もいるなら直ちにぶっ殺すつもりだ。
ダニは、観音開きの鉄扉の前で立ち止まった。
「子供達は、この部屋だ」
「開けろ」
「鍵が掛かっている。今、俺は持っていない」
「中に、おまえの部下はいないのか?」
「さっきの戦いで、全員出て行った。見張りはいない」
「そうか」
鉄扉を観察してみた。
四カ所の蝶番を破壊すれば開けられそうだな。
「ブースト」
ブーストパンチで蝶番を破壊した後、扉が内側に倒れないように引っ張って外側に倒した。
「ひええ!」
倒れてきた扉が、ダニにぶつかりそうになる。
ちっ! 避けたか。しぶとい奴だ。
部屋の中に視線を向けると、そこに子供達がいた。
五歳ぐらいの子から、十二歳ぐらいの子まで。
ほとんどが女の子だ。
男の子も何人かいる。
どの子も、みんな希望を失った虚ろな目をしていた。
ロボットスーツに外気を入れてみると、酷い悪臭が漂っている。
僕はダニの胸ぐらを掴んだ。
「これはなんだ!? こんな酷いところに、子供たちを置いていたのか!」
「お……俺は知らん。子供たちの世話は、部下に任せきりだったので……」
「部下のせいにするな!」
ブースト抜きのパンチで、ダニを殴り飛ばした時、背後で扉の開く音がした。
「五月蠅いぞ! 静かにしろ」
背後の扉から、豚のように太った帝国人の中年男が出てくる。
僕は、床の上で呻いているダニの襟首を掴んで引き起こした。
「こいつは、おまえの部下か?」
ダニは首を横にふる。
「客だ」
それを聞いて僕は、豚男を押しのけて背後の部屋に入った。
「な……なんだよ? 僕は客だぞ」
部屋の中には、全裸にされた十歳ぐらいのナーモ族の女の子が泣いていた。ここで何が行われていたのかは、一目瞭然。
腹の底からフツフツと沸き上がってくる怒りを、もう押さえる事ができない。
「キサマ!」
僕は、豚男の胸ぐらを掴む。
「この子に、何をやった!?」
「な……なんだよ? やる事なんて決まっているだろ。僕は金を払っているんだ。文句を言われる筋合いは……」
「黙れ!」
豚男を床に投げ飛ばした。
「痛い。僕にこんな事をして、ただで済むと思っているのか? 僕のパパを、誰だと思っている」
「知るか! ボケ!」
豚男のわき腹を蹴飛ばした。ブーストはかけていないが、かなり痛がっている。
「痛い! おまえ、パパの名前を聞いて驚くなよ。僕のパパは……」
「言わんでいい! どうせ覚えん!」
男が父親の名前を言う機会など与えず、僕はブーストパンチで男を吹っ飛ばした。
そのまま男は、動かなくなる。
その様子を見ていたダニが、僕の方を振り向いた。
「こいつの父親は、アーテミス評議会の議長なのだが……」
「で? それがどうした?」
「あんたには、どうでも良いことだったな」
「客は、まだいるのか?」
「今日は、十人ほど……」
「案内しろ。全員ぶっ殺す」
「最後に、俺も殺すのか?」
「おまえは殺さない。まだ利用価値があるからな」
まあ、状況次第では『殺さないと言ったな。あれは嘘だ』と言って、殺すけど……
子供達の事が……
この事はアーテミスの自警団に任せるべきであって、僕の出る幕ではないかもしれないが、それが来るまで時間がかかる。
今現在も、病気で死にかけている子供がいるかもしれない。客の相手をさせられている子供もいるかもしれない。
いるなら、助けたいし、客もいるなら直ちにぶっ殺すつもりだ。
ダニは、観音開きの鉄扉の前で立ち止まった。
「子供達は、この部屋だ」
「開けろ」
「鍵が掛かっている。今、俺は持っていない」
「中に、おまえの部下はいないのか?」
「さっきの戦いで、全員出て行った。見張りはいない」
「そうか」
鉄扉を観察してみた。
四カ所の蝶番を破壊すれば開けられそうだな。
「ブースト」
ブーストパンチで蝶番を破壊した後、扉が内側に倒れないように引っ張って外側に倒した。
「ひええ!」
倒れてきた扉が、ダニにぶつかりそうになる。
ちっ! 避けたか。しぶとい奴だ。
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五歳ぐらいの子から、十二歳ぐらいの子まで。
ほとんどが女の子だ。
男の子も何人かいる。
どの子も、みんな希望を失った虚ろな目をしていた。
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僕はダニの胸ぐらを掴んだ。
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「お……俺は知らん。子供たちの世話は、部下に任せきりだったので……」
「部下のせいにするな!」
ブースト抜きのパンチで、ダニを殴り飛ばした時、背後で扉の開く音がした。
「五月蠅いぞ! 静かにしろ」
背後の扉から、豚のように太った帝国人の中年男が出てくる。
僕は、床の上で呻いているダニの襟首を掴んで引き起こした。
「こいつは、おまえの部下か?」
ダニは首を横にふる。
「客だ」
それを聞いて僕は、豚男を押しのけて背後の部屋に入った。
「な……なんだよ? 僕は客だぞ」
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腹の底からフツフツと沸き上がってくる怒りを、もう押さえる事ができない。
「キサマ!」
僕は、豚男の胸ぐらを掴む。
「この子に、何をやった!?」
「な……なんだよ? やる事なんて決まっているだろ。僕は金を払っているんだ。文句を言われる筋合いは……」
「黙れ!」
豚男を床に投げ飛ばした。
「痛い。僕にこんな事をして、ただで済むと思っているのか? 僕のパパを、誰だと思っている」
「知るか! ボケ!」
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「痛い! おまえ、パパの名前を聞いて驚くなよ。僕のパパは……」
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そのまま男は、動かなくなる。
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「で? それがどうした?」
「あんたには、どうでも良いことだったな」
「客は、まだいるのか?」
「今日は、十人ほど……」
「案内しろ。全員ぶっ殺す」
「最後に、俺も殺すのか?」
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