614 / 828
第十五章
子供の顔に落書きして喜ぶような奴は対象外
しおりを挟む
「助けてえ!」
二十歳ぐらいの女が、悲鳴を上げて廃工場から駆け出してきたのは、ダニを縛り上げた時だった。
その直後、女が出てきた出入り口が、轟音を立てて砕け散る。
立ちこめる粉塵の中から、ミクを肩に乗せたアクロが出てきた。
どこで見つけたのか、目と口の辺りに穴を空けた皮袋をミクは被っている。
「待てえ! よくもあたしの可愛い顔に、落書きしたわね! 絶対に、許さないんだから!」
女は僕たちを見つけると、こっちへ向かって駆けてきた。
「ボス! 助けてください!」
ダニは、疲れたような顔を女に向ける。
「すまんが、見ての通り助けてほしいのは俺の方だ」
「そんな……」
「それに、俺は散々言ったよな。子供の顔に落書きすんなと……言いつけを守らないから、そんな目に遭うんだ」
女は、僕の方に視線を変える。
「じゃあ、そっちの金色の旦那。助けて下さい。勇者カイトって、女には優しいんでしょ?」
戯言を言っている女の胸ぐらを僕は掴む。
「え? あたいをどうすんの? あたいは女よ。女は、殴らないのでしょ?」
「あいにくだな。僕が優しくする女は、可愛くて若くて、性格の……良い女だ」
ミールやPちゃん、芽依ちゃん、ミクの性格が良いのか疑問はあるが……
「少なくとも、子供の顔に落書きして喜ぶような奴は対象外」
「そんな」
とりあえず、僕は女を縛り上げてミクに引き渡した。
「ところでキラ。ミーチャはどこにいる?」
「自警団の待機所に残してきた。こいつを」
キラはダニを指さす。
「捕まえたら、ミーチャの通信機に連絡する事になっていてな」
「なに? じゃあ、自警団と連絡が取れるのか?」
「ああ。というか、今私の本体が連絡したところだ。もうすぐ、自警団のメンバーが数人来ることになっている」
「もう一度連絡してくれ」
「どうして?」
「廃工場の中に、誘拐された子供たちがいるんだ。子供たちを乗せる乗り物と、それとできれば医者を呼んで欲しいと」
「分かった。伝えておく」
「頼んだぞ。僕はちょっと廃工場の中を見てくるから、ミクと一緒にミールのいるところまで戻ってくれ」
「分かった」
僕はダニに案内させて、廃工場内へと入っていく。
二十歳ぐらいの女が、悲鳴を上げて廃工場から駆け出してきたのは、ダニを縛り上げた時だった。
その直後、女が出てきた出入り口が、轟音を立てて砕け散る。
立ちこめる粉塵の中から、ミクを肩に乗せたアクロが出てきた。
どこで見つけたのか、目と口の辺りに穴を空けた皮袋をミクは被っている。
「待てえ! よくもあたしの可愛い顔に、落書きしたわね! 絶対に、許さないんだから!」
女は僕たちを見つけると、こっちへ向かって駆けてきた。
「ボス! 助けてください!」
ダニは、疲れたような顔を女に向ける。
「すまんが、見ての通り助けてほしいのは俺の方だ」
「そんな……」
「それに、俺は散々言ったよな。子供の顔に落書きすんなと……言いつけを守らないから、そんな目に遭うんだ」
女は、僕の方に視線を変える。
「じゃあ、そっちの金色の旦那。助けて下さい。勇者カイトって、女には優しいんでしょ?」
戯言を言っている女の胸ぐらを僕は掴む。
「え? あたいをどうすんの? あたいは女よ。女は、殴らないのでしょ?」
「あいにくだな。僕が優しくする女は、可愛くて若くて、性格の……良い女だ」
ミールやPちゃん、芽依ちゃん、ミクの性格が良いのか疑問はあるが……
「少なくとも、子供の顔に落書きして喜ぶような奴は対象外」
「そんな」
とりあえず、僕は女を縛り上げてミクに引き渡した。
「ところでキラ。ミーチャはどこにいる?」
「自警団の待機所に残してきた。こいつを」
キラはダニを指さす。
「捕まえたら、ミーチャの通信機に連絡する事になっていてな」
「なに? じゃあ、自警団と連絡が取れるのか?」
「ああ。というか、今私の本体が連絡したところだ。もうすぐ、自警団のメンバーが数人来ることになっている」
「もう一度連絡してくれ」
「どうして?」
「廃工場の中に、誘拐された子供たちがいるんだ。子供たちを乗せる乗り物と、それとできれば医者を呼んで欲しいと」
「分かった。伝えておく」
「頼んだぞ。僕はちょっと廃工場の中を見てくるから、ミクと一緒にミールのいるところまで戻ってくれ」
「分かった」
僕はダニに案内させて、廃工場内へと入っていく。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
142
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる