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第三章

果てしない塩の平原 2

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 車から降りた僕に、異星の太陽光がギラギラと降り注ぐ。

 熱い。

 この熱を、利用しない手はない。
 僕は、保冷バックを持って車の後ろに回り、牽引しているトレーラーの屋根に上った。
 このトレーラー、最初は車一台だけで行くつもりだったが、荷物が(主にプリンター関連)が積みきれないとPちゃんが言うので、急遽プリンターで作ったのだ。今は、この中にプリンターと元素マテリアルカートリッジと食糧が入っていた。
 トレーラーの屋根には、不時着したシャトルから外したパラボラアンテナに、アルミ箔を貼って作った凹面鏡を設置してある。
 さっそく保冷バックから取り出した肉に、塩湖の塩を塗し、凹面鏡で集めた光で焼いてみた。
 なんの肉かって? レッドドラゴンの肉だよ。
 程よく焼けた肉に、かぶりつく。
 鶏肉のような味がして、なかなか美味。
 これで、冷えたビールがあれば……
「ああ! ご主人様。また、そんな物食べて」
 振り向くと、Pちゃんがトレイを持って屋根に上ってくるところだった。
 トレイの上には、銀色に輝く半球形の金属製の蓋が仰々しく被せてある。ドームカバーとか言うそうだが、その下にあるのはカロリーメイトのような非常食だ。
 最初にこれを出された時は、美少女メイドが持ってきてくれたんだから、中身はオムライスに違いないと期待してしまった。
 その直後、蓋を取った時の脱力感は半端なかった。
「いいじゃないか。肉があるんだから」
「ダメです。それでは、栄養が偏ります。私の料理を食べて下さい」
 いや、おまえ料理してないだろう。
 カロリーメイトをトレイに載せて、ドームカバー被せただけじゃん。
「だって、それ不味いし……」
「ひどいです」
 ロボットのくせに涙流すなよ。
 傍から見たら、僕が苛めてるみたいじゃないか。
 まあ、こんなだだっ広い塩の平原で、傍から見てる奴なんているわけないが……

 バサ! バサ! バサ!
 頭上から羽音が……
 見上げると、ベジドラゴンの姉弟が降りてくる。
「カイト、差シ入レ、モテキタ」
「ありがとう。エシャー」
 一昨日、僕を乗せてくれた日本語を喋れるベジドラゴン。
 名前はエシャーという。
 エシャーの横に降りたチビは、エシャーの弟でロット。
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