30 / 848
第三章
果てしない塩の平原 2
しおりを挟む
車から降りた僕に、異星の太陽光がギラギラと降り注ぐ。
熱い。
この熱を、利用しない手はない。
僕は、保冷バックを持って車の後ろに回り、牽引しているトレーラーの屋根に上った。
このトレーラー、最初は車一台だけで行くつもりだったが、荷物が(主にプリンター関連)が積みきれないとPちゃんが言うので、急遽プリンターで作ったのだ。今は、この中にプリンターと元素カートリッジと食糧が入っていた。
トレーラーの屋根には、不時着したシャトルから外したパラボラアンテナに、アルミ箔を貼って作った凹面鏡を設置してある。
さっそく保冷バックから取り出した肉に、塩湖の塩を塗し、凹面鏡で集めた光で焼いてみた。
なんの肉かって? レッドドラゴンの肉だよ。
程よく焼けた肉に、かぶりつく。
鶏肉のような味がして、なかなか美味。
これで、冷えたビールがあれば……
「ああ! ご主人様。また、そんな物食べて」
振り向くと、Pちゃんがトレイを持って屋根に上ってくるところだった。
トレイの上には、銀色に輝く半球形の金属製の蓋が仰々しく被せてある。ドームカバーとか言うそうだが、その下にあるのはカロリーメイトのような非常食だ。
最初にこれを出された時は、美少女メイドが持ってきてくれたんだから、中身はオムライスに違いないと期待してしまった。
その直後、蓋を取った時の脱力感は半端なかった。
「いいじゃないか。肉があるんだから」
「ダメです。それでは、栄養が偏ります。私の料理を食べて下さい」
いや、おまえ料理してないだろう。
カロリーメイトをトレイに載せて、ドームカバー被せただけじゃん。
「だって、それ不味いし……」
「ひどいです」
ロボットのくせに涙流すなよ。
傍から見たら、僕が苛めてるみたいじゃないか。
まあ、こんなだだっ広い塩の平原で、傍から見てる奴なんているわけないが……
バサ! バサ! バサ!
頭上から羽音が……
見上げると、ベジドラゴンの姉弟が降りてくる。
「カイト、差シ入レ、モテキタ」
「ありがとう。エシャー」
一昨日、僕を乗せてくれた日本語を喋れるベジドラゴン。
名前はエシャーという。
エシャーの横に降りたチビは、エシャーの弟でロット。
熱い。
この熱を、利用しない手はない。
僕は、保冷バックを持って車の後ろに回り、牽引しているトレーラーの屋根に上った。
このトレーラー、最初は車一台だけで行くつもりだったが、荷物が(主にプリンター関連)が積みきれないとPちゃんが言うので、急遽プリンターで作ったのだ。今は、この中にプリンターと元素カートリッジと食糧が入っていた。
トレーラーの屋根には、不時着したシャトルから外したパラボラアンテナに、アルミ箔を貼って作った凹面鏡を設置してある。
さっそく保冷バックから取り出した肉に、塩湖の塩を塗し、凹面鏡で集めた光で焼いてみた。
なんの肉かって? レッドドラゴンの肉だよ。
程よく焼けた肉に、かぶりつく。
鶏肉のような味がして、なかなか美味。
これで、冷えたビールがあれば……
「ああ! ご主人様。また、そんな物食べて」
振り向くと、Pちゃんがトレイを持って屋根に上ってくるところだった。
トレイの上には、銀色に輝く半球形の金属製の蓋が仰々しく被せてある。ドームカバーとか言うそうだが、その下にあるのはカロリーメイトのような非常食だ。
最初にこれを出された時は、美少女メイドが持ってきてくれたんだから、中身はオムライスに違いないと期待してしまった。
その直後、蓋を取った時の脱力感は半端なかった。
「いいじゃないか。肉があるんだから」
「ダメです。それでは、栄養が偏ります。私の料理を食べて下さい」
いや、おまえ料理してないだろう。
カロリーメイトをトレイに載せて、ドームカバー被せただけじゃん。
「だって、それ不味いし……」
「ひどいです」
ロボットのくせに涙流すなよ。
傍から見たら、僕が苛めてるみたいじゃないか。
まあ、こんなだだっ広い塩の平原で、傍から見てる奴なんているわけないが……
バサ! バサ! バサ!
頭上から羽音が……
見上げると、ベジドラゴンの姉弟が降りてくる。
「カイト、差シ入レ、モテキタ」
「ありがとう。エシャー」
一昨日、僕を乗せてくれた日本語を喋れるベジドラゴン。
名前はエシャーという。
エシャーの横に降りたチビは、エシャーの弟でロット。
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~
うみ
SF
ロシアと戦争がはじまる。
突如、現代日本の少年のノートにこのような落書きが成された。少年はいたずらと思いつつ、ノートに冗談で返信を書き込むと、また相手から書き込みが成される。
なんとノートに書き込んだ人物は日露戦争中だということだったのだ!
ずっと冗談と思っている少年は、日露戦争の経緯を書き込んだ結果、相手から今後の日本について助言を求められる。こうして少年による思わぬ歴史改変がはじまったのだった。
※地名、話し方など全て現代基準で記載しています。違和感があることと思いますが、なるべく分かりやすくをテーマとしているため、ご了承ください。
※この小説はなろうとカクヨムへも投稿しております。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる