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第二章

戦いの後

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「危ないところでしたね」
 Pちゃんが、背嚢にコネクタを差し込んだ。
『電源に接続。充電しています』
 バイザーの右下に、そんなメッセージが表示される。
 プロトタイプのロボットスーツは、電源が無くなるとピクリとも動かなくるという問題があったが、これはその点は改良されていたようだ。重いけど何とか身体を動かせた。
 それでも、レッドドラゴンの身体にしがみ付いてはいられなくて、そのままずり落ちてしまった。その後、ワイヤーでぶら下がってるところを、ベジドラゴンに助けられ、無事に地表に降りられたのだ。 
 レッドドラゴンは、そのすぐ後に塩の平原に墜落した。
「ロボットスーツが、血だらけですね。すぐにお洗濯しないと」
「洗濯できるんか?」
「着脱装置に戻せば、自動的に汚れは落とされます」
「便利だな」
 ベジドラゴンの子供が、近くに降りてきた。
「助ケテクレテ、アリガト」
「礼なんていいよ。助けられたのは、お互い様だ」
「オタガイサマ? ゴメン、ワカラナイ」
 あまり難しい言葉は無理か。
「それより、君らはこんなところで、何してたんだ?」
「アタシタチ、コノ、シオバ、ツカテタ」
 シオバ? ああ! 塩場! 塩湖の事か。
 野生動物は、ミネラル補給のために岩塩を舐めたりすると聞いたことあるけど、ベジドラゴン達はこの塩湖をそれに使っていたんだな。
「デモ、シオバニ、レッドドラゴン、四頭住ミツキ、困ッテタ」
「あんなのが、まだ三頭もいるのか?」

レッドドラゴンB『レットドラゴンAがやられたようだな』
レッドドラゴンC『くくく、奴はレッドドラゴン四天王の中でも最弱』
レットドラゴンD『北村海斗ごときにやられるなど、四天王の面汚しよ』

 どっかで、他の三頭がこんな会話をしているのではないだろうか?
「他ノ三頭、逃ゲタ」
「え? 逃げた? なんで?」
「アナタガ、来タカラ、レットドラゴン、地球人、怖ガル」
「え? 僕を恐れて逃げたの?」
 なるほど。この惑星には、僕以前にプリンターで作られたコピー人間がいるんだったな。
 そいつらが何をやらかしたのか知らんが、レットドラゴンの心にトラウマができるほどの恐怖を植え付けたんだろ。フルボッコにでもしたのかな?
「でも……」
 僕は、潮の平原に横たわるレットドラゴンの死骸を指差した。
「あいつは、なんで逃げなかった?」
「アイツハ、馬鹿ダカラ」
 どの種族にも、馬鹿はいるんだな。
 そうだ! 肝心の事を聞かないと。日本語を喋ってるという事は、どこかで日本人のコピー人間と接触しているはず。それも、言葉を覚えるくらい親密に……
「なあ、君。日本語をどこで覚えたんだい?」
「リトルトウキョー」
 いかにも日本人がいそうな地名だ。
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