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第二章

レッドドラゴン 7

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「キシャー!!」
 僕が向かってくる事に気がつくと、レッドドラゴンは踵を返して逃げ出した。
 だが、遅い。
「捕まえた!!」
 尻尾を掴んだ。
 ブツン!!
 え!?
 尻尾にかまわず、レッドドラゴンは空中に舞い上がった。
 残された尻尾の一端が僕の手に残り、ビクビクと蠢いている。
 トカゲの尻尾切り?
 こんな事も、できるんか。器用な……
 レッドドラゴンは、このまま逃げる気か?
 と思ったら、反転してこっちへ向かってくる。 
 ならば、千切れた尻尾を振り回して。
「ホームラン!!」
 ドガ!!
 鈍い音が響きわたった。
 自分の切り捨てた尻尾で吹っ飛ばされたレッドドラゴンは、塩の平原を転げ回った。

 残り時間百八十秒

 いかん!! 残り時間三分。
 ウルトラマンは、よくこんな短時間で怪獣を倒せるな。
 僕はレッドドラゴンに飛びかかった。
 あと少しのところで、空中へ逃げられる。
「降りてこい!! 卑怯者!!」
 戦いに卑怯もへったくりもないが、つい叫んでしまった。
 あれ? 本当に降りてきた。
 じゃなくて、急降下!!
 奴の鉤爪を避けると、僕は奴の背中に飛び乗る。
 しかし、すぐに振り落とされた。

 残り時間百二十秒。

 再び奴は急降下してくる。
 僕もジャンプして、奴の背中飛び乗ろうとするが……
 また、失敗。
 あれ? 柔らかいところに落ちたぞ? これは!?
 僕が落ちたのは、ベジドラゴン子供の背中だった。
 僕を乗せたまま、ベジドラゴンは懸命に羽ばたいている。
 馬ぐらいの大きさだが、それでも子供だ。
 重いんじゃないかな?
「おまえ、無理するなよ。重いだろ?」
「オモイ……」
 え? 喋った?
 そう言えば、人語を解するとか言ってたけど、まさか喋れるの!?
 しかも、日本語を……
「重イ、デモ、アタシ、ガンバル。アイツ、ヤッツケテ」
 『アタシ』って、女の子なの?
「わかった。やっつけてやる。だから、一度降りろ」
「イヤ」
「『嫌』ってな……」
「オ姉チャン、オ兄チャン、コロサレタ。オ父サン、傷ツケラレタ。ゼッタイ、許サナイ」
 泣かせるセリフだな。
 しかし、こんなフラフラした飛び方じゃ、奴に追いつけないぞ。
 と思ったら、奴の方から戻ってきた。
 しかし、三十メートル離れたところでホバリング。
 それ以上近づこうとはしない。
 奴の片目は、こう語っていた。
『やーい! のろま!! ここまでおいで! バーカ! バーカ!』
 いや、あくまでも僕の推測だけどね。
 しかし、奴の行動を見ると、そう言ってるように見える。
 もし、そのような事を考えているなら、その油断こそが奴の命取り。
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