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第二章

レッドドラゴン 2

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 ヤバイ!! 
 慌てて僕は、ショットガンを手に取った。
「撃っちゃダメです!! 奴は、ショットガンじゃ殺せません」
 んなこと分かっている。
 しかし、殺せなくても、当たればかなり痛いはずだ。
 足止めにはなる。
 それに……
 振り返ると、レッドドラゴンはかなりの距離に迫っていた。
 今までクレー射撃はやったことあるけど、生きてる動物を撃った事はない。
 僕に、動物を撃てるだろうか?
 犬や猫だったら、間違えなく撃てない。
 しかし、ここで撃たなきゃ自分が死ぬ。
 ならば……
 僕は迫りくるレットドラゴンを睨みつける。
「こいつはゴキブリだ。こいつはゴキブリだ。こいつはゴキブリだ」
 でっかいゴキブリだと思えは撃てる。
「こいつはゴキブリだ! ゴキブリなんだあ!!」
 自己暗示完了。
 いささか安直に自己暗示にかかったみたいだが、気にしてはいけない。
 慎重に狙いを定め、トリガーを引いた。
「キシャー!!」
 レッドドラゴンは、悲鳴を上げて塩の平原上でのた打ち回った。
 右目から血を流している。
 確かに強靭な鱗に覆われた皮膚は貫けないけど、目はそうはいかないだろう。
 僕はこれでも、射撃には自信がある。
 クレー射撃なら百発百中だ。
 ゴルゴ13やシティハンターには負けるが、のび太と張り合えるぐらいの腕はある……と思う。
「なんで撃ったのですか!? ほっておけば、通り過ぎるだけだったのに」
 やかましく叫ぶPちゃんの方を向いた。
「何言ってるんだよ。奴は僕を狙っていたんだぞ」
「いえ。狙われていたのは、この子です」
 Pちゃんの指し示す先にいたのは、さっきのチビドラゴンだった。
「え? こいつ、どこにいたの?」
「さっきから、ご主人様の背後で、震えていました」
 姿が見えんと思っていたら、そんなところに……全然気が付かなかった。
「ぴー」
 チビドラゴンが一声鳴き、僕にすり寄ってきた。
 いや、懐くなよ。
 僕は、お前を助けるつもりで、撃ったんじゃない。
 いや、でもこいつが背後にいたという事は……
「ちょっと待てよ。撃たなかったら、どのみち巻き添え食ってただろ?」
「だから、ご主人様は、この子から離れればよかっただけです」
「しかし、こいつが僕の後からついて来たらどうするんだ?」
「そのときは、この子を撃つのです」
 確かに、縁もゆかりのない動物を助ける義理はないが……それ、人間としてどうよ?
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