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第二章

ここはマジに地球じゃなかった  6

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「この変な椅子は、僕の時になかったけど」
「変な椅子ではありません。自動着脱装置です」
「なんで、こんな物作ったの?」
「ご主人様のオリジナルが、これを装着するのに、いつも三十分かかっていたからです」
 そういえば、そうだった。
 本当は五分もあれば装着できたのだが、あの時はテストが嫌で、遅らせようとして、わざと時間をかけていたんだ。まさか、そのせいでこんな物を開発するとは……
「そんなに時間がかかっていては、実戦で役に立ちません。そこで、これを開発しました。これなら三十秒で装着も脱着もできます。さらに、この装置に収納している間は、自動的にメンテナンスもできるようになっています」
 僕はもう一度シートに座った。
「脱着」
 ロボットスーツは、僕の身体から離れてシートの中に戻っていく。
「これだけは絶対に嫌だ」
 きっぱり言った。
 言い切った。
「どうして嫌なんですか? 使っていたのでしょ」
「使っていたんじゃなくて、使わされていたんだ。そのせいで何度死にかけた事か」
「大丈夫ですよ。これはプロトタイプと違って安全ですから」
「なぜ、そう言い切れる?」
「プロトタイプをテストしてくれた、テストパイロットさん達の犠牲のおかげで、問題点が全て洗い出されました。自衛隊に正式採用された時には、すっかり安全になっていましたよ」
 その犠牲になったテストパイロットの一人は、僕なんだが……
「バッテリーもプロトタイプは三分しか持ちませんでしたが、これは内臓電源だけで、なんと五分も持ちます」
 ウルトラマンが、エヴァンゲリオンになっただけかよ!!
「それに、外部電源装着したら三時間は持ちますよ」
「電源が爆発した事もあったが、そこは改良したのか?」
「ええ。プロトタイプはリチウムイオンバッテリーでしたが、これは超電導バッテリーを使っています。簡単には爆発しません」
「簡単には? 簡単じゃなければ、爆発するようにも聞こえるけど?」
「そりゃあ、大電力をため込んでいるときに、超伝導物質がクエンチするような事があったら爆発しますが、そんな事は稀ですから」
「その稀な事が、あったらどうする?」
「戦闘メカなんだから、いざという時の自爆装置と思えばいいじゃないですか」
「よくない!!」
「でも、オリジナルの北村海斗さんは、モニターが終わった後、これのテストパイロットに正式採用されたんですよ」
「なんだって?」
「モニターの報酬を受け取った、二か月後の事ですけど」
 そうか、そうか。結局、生活に困ってその道を選んだのか。
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