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第十四章

プシトロン1

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「ああ、よく寝た」

 そう言って起きあがった僕の姿を見て、ミールは少し驚いたような顔をした。

「カイトさん。大丈夫なのですか?」
「ん? なにが」
「なにがって……さっきお酒で酔い潰れてから、一時間しか経っていませんが」

 ん? 一時間しか経っていないのか?

 さっきジジイが酔い潰れた後、僕も限界が来て倒れてしまったが……

 時計を見ると、確かに一時間しか経っていない。

 ずいぶん早く回復したな。

 そうか!

「これのおかげかな」

 僕はポケットから薬袋を出した。

「それは、なんですか?」
「出かける前に、カミラさんからもらった肝臓強化薬」
「その薬……この前、利かなかったのでは?」
「この前は、調合比率を間違えたらしい。今回は完璧なはずだから、試しに使ってほしいと言われてね」
「そうでしたか。まあ、回復が早くてよかったです」
「それでミール。爺さんの分身体は?」
「隣の部屋に待機しています。今は、Pちゃんがいろいろと聞き出していますが」

 隣室へ行くと、床の上にジジイが胡座をかいて座っていた。

 もちろん、これは本物ではなく分身体。

 部屋の隅では、本物のジジイが高いびきをかいて寝ている。

「ご主人様」

 分身体の前にいたミニPちゃんが、こっちを振り向く。

「いろいろと、興味深い事が聞き出せました」
「どんな事?」
「博士のオリジナル体は、脳間通信機能を媒介する素粒子を発見していたのです」
「それはすごい」
「ところが、学会で発表した後に再現実験がうまく行かず、虚偽発表していたと疑われるようになり、博士は学会を追われたのです」
「学会を追われたのか。ひょっとしてその後、学会への復讐を誓ったとか……」
「いえ、そのような事実はありませんが」
「なんだ、がっかり」
「ご主人様。何を期待していたのですか?」
「いや別に……」

 学会に復讐を誓うマッドサイエンティストって、なんか男のロマンがあるなあ……
なんて、女の子には分からないだろうな。

 しかし、それがあのエロジジイでは幻滅だが……
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