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第二章
ここはマジに地球じゃなかった 3
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実際は違った。
僕は北村海斗であって、北村海斗じゃない。
オリジナルは謝礼を受け取って、そしてもうとっく死んでいるはずだ。
この僕は、二百年前に生きていた北村海斗という人物のデータを元に、プリンターで作られたんだ。
「大丈夫ですか?」
Pちゃんが、心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「何が?」
「いえ、この事を知ったコピー人間の方は、たいてい取り乱したりするんですけど」
「分かってるなら、もうちっと気を使ってよ」
「すみません。何しろ私コンピューターですから」
本当にコンピューターか? こいつ……
しかし、自分でも不思議と冷静だった。
あまりにも、突拍子のない事態なので、実感がわかないせいかもしれない。
しかし、なんでこんな所で再生されなきゃいけないんだ?
オリジナルの僕は、とっくに死んでいるはず。
再生なんかしないで、そっとしておいてくれればよかったのに……
これじゃあ、自分が死んだことにも気が付かないで彷徨っている幽霊じゃないか。
『では、今すぐ死にますか?』と、聞かれたらそりゃ嫌に決まっている。
だが、そもそも再生なんかされなきゃ、そんな事で悩むこともなかったのに……
誰だか知らんが、余計な事をしやがって……
「ここに降りる前に、惑星上で僕を待っている奴がいると聞いたが……」
僕を呼びだした奴がいるなら。たぶんそいつも地球人だろう。
とにかく、そいつに会ってみたい。
会って、一言、文句を言いたい。
「そいつに関するデータはあるのか?」
「ありません」
結局、どこの誰に呼び出されたのかも、わからんのか。
「何しろ、メインから移せたのは、私の疑似人格データだけだったので」
「そうか。そのわりには僕のデータはあるんだな」
「この人型筐体は、シャトルが事故を起こした時に備えて、搭乗者をサポートするために搭載されているのです。したがって、ご主人様のデータは、シャトルが発進する前に筐体のメモリに入力されていました」
搭乗者をサポート? だから、僕をご主人様と呼んでるのか。
「サポートって、君はどんな事ができるの?」
「シャトルに積んである装備の説明、身の回りのお世話、絶望して死にたくなった場合は、安楽死の補助もできます」
物騒な補助だな。まあ、絶望もしてないし、死にたくもないからいらんけど。
僕は北村海斗であって、北村海斗じゃない。
オリジナルは謝礼を受け取って、そしてもうとっく死んでいるはずだ。
この僕は、二百年前に生きていた北村海斗という人物のデータを元に、プリンターで作られたんだ。
「大丈夫ですか?」
Pちゃんが、心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「何が?」
「いえ、この事を知ったコピー人間の方は、たいてい取り乱したりするんですけど」
「分かってるなら、もうちっと気を使ってよ」
「すみません。何しろ私コンピューターですから」
本当にコンピューターか? こいつ……
しかし、自分でも不思議と冷静だった。
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誰だか知らんが、余計な事をしやがって……
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僕を呼びだした奴がいるなら。たぶんそいつも地球人だろう。
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「ありません」
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