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第二章

ここはマジに地球じゃなかった 2

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「データがありません」
「データ?」
「メインコンピューターのメモリなら、攻撃者に関するデータがあった可能性がありますが、この人型筐体の記憶容量は、メインコンピューターの十万分の一しかありませんので、必要最低限のデータしか移せなかったのです」
「そうか。それでは聞くけど、ここはいったいどこなんだ?」
「塩湖。名称未定」
「塩湖なのは、見ればわかる。この惑星は、地球からどっちの方向へ、どれだけ離れているんだ?」
「データがありません」
「じゃあ聞くが、僕が誰なのかわかるか?」
「ご主人様の名前は北村海斗さん」
 また、ご主人様かよ。別に悪い気はしないけど……
「199X年東京生まれ。K工科大学工学部卒。N社に就職後一年で退職。データを取った年は20XX年」
 ん? 途中まで履歴は正確だが、最後の『データを取った云々』てなんだ?
「あの……その最後のデータを取ったというのは?」
「まだ、聞いてなかったのですね」
「何を?」
「宇宙船の中で目覚める前に、何があったか覚えていますか?」
「ええっと……怪しげなモニターに応募して、怪しげな機械の中に入れられて……その中で眠り込んでしまって……そうだ!! まだ五十万もらっていないぞ」
「いいえ。すでに受け取っています」
「はあ? なにを言ってるんだ」
「謝礼なら、受け取っているはずです。ご主人様のオリジナルが」
 オリジナル? 僕のオリジナルって? どういう事だ。
「つまり、ご主人様はそのスキャナーで取られた北村海斗さんのデータを元に、プリンターで作られたコピー人間なのです」
「なんだって?」
「ちなみに、データを取られて二百年が経過しています」
 ちょ……二百年……て……
 ええっと、問題を整理してみよう。
 僕は今日、都内のあるビルにモニターに行った。
 そこで僕はデータを取られた。
 そのデータは、しかるべきプリンターがあれば人間一人再生できるほど詳細なもの。もちろん、そんなプリンターは存在しない。
 20XX年の時点では……
 しかし、データはその後も保存され続けて、やがて生きている人間を出力できるプリンターが開発された。そして二百年後の今、僕はプリンターで出力された。
 ただし、僕の記憶はデータを取られた時点で固定されていたので、機械の中でうたた寝しているうちに宇宙船の中に運ばれたと思っていた。
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