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第二章

ここはマジに地球じゃなかった

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 どうやら、訴えるのは無理のようだ。
 ここは、マジに地球じゃなかった。
 不時着したシャトルから外へ出た時、僕はそれを思い知らされた。
 そこには、異様な光景が広がっていたのだ。
 最初に見たとき、巨大な鏡の上にいるのかと思ったが、すぐに違うと分かった。
 おそらく、ここは乾いた塩湖なのだろう。 
 乾いた塩湖というのは、どこまでも平らな塩の平原が続いている。不時着には、もってこいの地形だ。ポイントSのSとは、たぶんSALТのSなんだろう。
 さて、塩の平原に雨が降ると、薄い水の層ができて広大な鏡のような光景が現れる。天空の鏡を思わせる幻想的な光景だが、これ自体は別に異様ではない。
 地球でも、南米ボリビアのウユニ塩湖に行けば見られる。
 では、ここはボリビアか? 
 絶対に違う。
 ボリビアに、巨大な翼竜のような生物はいない。
 翼竜が塩湖に降りて、塩をペロペロと舐めて飛び去って行くなどという光景は見られない。
 いや、地球上のどこにもそんな生物はいない。
 まして、地球に月が三つもあるわけがない。
 昼間だが、うっすらと大きさの違う三つの月が見える。
 間違いなく、ここは地球以外の惑星だ。
「お怪我はありませんでしたか? ご主人様」
 背後から声がした。
 振り向くと、シャトルの入り口にメイド服を着た、十代半ばぐらいの女の子がいる。
 なんで、こんなところにメイドさんが?
 てか、御主人様って誰の事だ?
 周囲を見回したが他に誰もいない。
 という事は僕の事か?
「君、誰?」
「私ですよ。私……」
 そう言われても、メイドさんに知り合いはいないんだが……
 カシャ!! 
 なんだ? 彼女の頭から二本の角が生えたぞ。
 いや、あれは角じゃない。
 アンテナ!? という事は……
「君……ロボットなのか?」
「そうですけど」
 ん? ひょっとして……
「Pちゃんか?」
「はい」
「死んだのかと思ったぞ」
「私も死ぬかと思いました。メインコンピューターに直撃受けた時、とっさにシャトルのコントロールをサブコンピューターに預けて、私はこの人型筐体にデータを移し替えたのです」
「そうなのか? しかし、誰が攻撃して来たんだ?」
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