7 / 848
第二章
ここは何処だ?
しおりを挟む
いつの間にか僕は夢を見ていた。
夕陽がさす土手の上を、中学の制服を着た僕が歩いている。
昔の記憶のようだ。
誰かに呼び止められたような気がして振り向く。
同じ中学の制服を着た少女がいた。
香子?
香子は、僕に向かって何かを言っている。
だが、声が聞こえない。
そこで目が覚めた。
徐に目を開く。
あれ? ここは何処だ?
見覚えのない部屋?
装置の中で眠りこけて、別室に運ばれたのか?
ん? 起き上がれない?
これが金縛りという現象か?
いや、違う。
どうも僕の身体はリクライニングシートのようなものに寝かされ、シートベルトで固定されているようだ。
ならばシートベルトを外せばいいのだが、どうやったら外せるんだ?
人を呼ぶか? 部屋の中には人の気配がないな。
「すみません。誰かいませんか?」
「どうかなさいましたか?」
女の声で返事が戻ってきた。
しかし、人の気配は相変わらずない。
声の主は別室にいて、スピーカーを使っているようだ。
「シートベルトが、外せないんですけど……」
「もう少しお持ちください。シートベルトは、大気圏突入が終われば自動的に外れます」
なあんだ、大気圏突入が終われば外れ……大気圏?
「あの……大気圏て?」
「大気圏とは、大気の球状層。惑星や衛星など大質量天体を取り囲む気体の事です」
いや、そんなウィキを丸読みしたような答えを聞きたいのではなくて……
「なんで、大気圏に突入するんですか?」
いや、その前にいつ僕は大気圏外に出たのか聞くべきでは……
「惑星上で、あなたを待っている人がいるのです」
惑星上?
「なんで、そんな言い方するの? 惑星上って……まるで地球じゃない惑星に、降りるみたいに聞こえるんですけど……」
「はい。地球じゃありません」
そうか。地球じゃないのか……え?
夕陽がさす土手の上を、中学の制服を着た僕が歩いている。
昔の記憶のようだ。
誰かに呼び止められたような気がして振り向く。
同じ中学の制服を着た少女がいた。
香子?
香子は、僕に向かって何かを言っている。
だが、声が聞こえない。
そこで目が覚めた。
徐に目を開く。
あれ? ここは何処だ?
見覚えのない部屋?
装置の中で眠りこけて、別室に運ばれたのか?
ん? 起き上がれない?
これが金縛りという現象か?
いや、違う。
どうも僕の身体はリクライニングシートのようなものに寝かされ、シートベルトで固定されているようだ。
ならばシートベルトを外せばいいのだが、どうやったら外せるんだ?
人を呼ぶか? 部屋の中には人の気配がないな。
「すみません。誰かいませんか?」
「どうかなさいましたか?」
女の声で返事が戻ってきた。
しかし、人の気配は相変わらずない。
声の主は別室にいて、スピーカーを使っているようだ。
「シートベルトが、外せないんですけど……」
「もう少しお持ちください。シートベルトは、大気圏突入が終われば自動的に外れます」
なあんだ、大気圏突入が終われば外れ……大気圏?
「あの……大気圏て?」
「大気圏とは、大気の球状層。惑星や衛星など大質量天体を取り囲む気体の事です」
いや、そんなウィキを丸読みしたような答えを聞きたいのではなくて……
「なんで、大気圏に突入するんですか?」
いや、その前にいつ僕は大気圏外に出たのか聞くべきでは……
「惑星上で、あなたを待っている人がいるのです」
惑星上?
「なんで、そんな言い方するの? 惑星上って……まるで地球じゃない惑星に、降りるみたいに聞こえるんですけど……」
「はい。地球じゃありません」
そうか。地球じゃないのか……え?
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
夜空に瞬く星に向かって
松由 実行
SF
地球人が星間航行を手に入れて数百年。地球は否も応も無く、汎銀河戦争に巻き込まれていた。しかしそれは地球政府とその軍隊の話だ。銀河を股にかけて活躍する民間の船乗り達にはそんなことは関係ない。金を払ってくれるなら、非同盟国にだって荷物を運ぶ。しかし時にはヤバイ仕事が転がり込むこともある。
船を失くした地球人パイロット、マサシに怪しげな依頼が舞い込む。「私たちの星を救って欲しい。」
従軍経験も無ければ、ウデに覚えも無い、誰かから頼られるような英雄的行動をした覚えも無い。そもそも今、自分の船さえ無い。あまりに胡散臭い話だったが、報酬額に釣られてついついその話に乗ってしまった・・・
第一章 危険に見合った報酬
第二章 インターミッション ~ Dancing with Moonlight
第三章 キュメルニア・ローレライ (Cjumelneer Loreley)
第四章 ベイシティ・ブルース (Bay City Blues)
第五章 インターミッション ~ミスラのだいぼうけん
第六章 泥沼のプリンセス
※本作品は「小説家になろう」にも投稿しております。
キャンピングカーで異世界の旅
モルモット
ファンタジー
主人公と天女の二人がキャンピングカーで異世界を旅する物語。
紹介文
夢のキャンピングカーを手に入れた主人公でしたが 目が覚めると異世界に飛ばされていました。戻れるのでしょうか?そんなとき主人公の前に自分を天女だと名乗る使者が現れるのです。
彼女は内気な性格ですが実は神様から命を受けた刺客だったのです。

俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html

うちのペットはもしかしたら地球を侵略するかもしれない。
ハコニワ
SF
※この作品はフィクションです。一部、残酷描写が含まれてます。苦手なかたはご遠慮を……。
ある日、両親がゴミ箱に捨てられていたペットを拾った。でも俺から見れば、触覚の生えた人間!? 違う、宇宙人だ。
ペットは地球を侵略すると宣言。ど天然彼女たちの地球侵略が始まった。
―異質― 邂逅の編/日本国の〝隊〟、その異世界を巡る叙事詩――《第一部完結》
EPIC
SF
日本国の混成1個中隊、そして超常的存在。異世界へ――
とある別の歴史を歩んだ世界。
その世界の日本には、日本軍とも自衛隊とも似て非なる、〝日本国隊〟という名の有事組織が存在した。
第二次世界大戦以降も幾度もの戦いを潜り抜けて来た〝日本国隊〟は、異質な未知の世界を新たな戦いの場とする事になる――
日本国陸隊の有事官、――〝制刻 自由(ぜいこく じゆう)〟。
歪で醜く禍々しい容姿と、常識外れの身体能力、そしてスタンスを持つ、隊員として非常に異質な存在である彼。
そんな隊員である制刻は、陸隊の行う大規模な演習に参加中であったが、その最中に取った一時的な休眠の途中で、不可解な空間へと導かれる。そして、そこで会った作業服と白衣姿の謎の人物からこう告げられた。
「異なる世界から我々の世界に、殴り込みを掛けようとしている奴らがいる。先手を打ちその世界に踏み込み、この企みを潰せ」――と。
そして再び目を覚ました時、制刻は――そして制刻の所属する普通科小隊を始めとする、各職種混成の約一個中隊は。剣と魔法が力の象徴とされ、モンスターが跋扈する未知の世界へと降り立っていた――。
制刻を始めとする異質な隊員等。
そして問題部隊、〝第54普通科連隊〟を始めとする各部隊。
元居た世界の常識が通用しないその異世界を、それを越える常識外れな存在が、掻き乱し始める。
〇案内と注意
1) このお話には、オリジナル及び架空設定を多数含みます。
2) 部隊規模(始めは中隊規模)での転移物となります。
3) チャプター3くらいまでは単一事件をいくつか描き、チャプター4くらいから単一事件を混ぜつつ、一つの大筋にだんだん乗っていく流れになっています。
4) 主人公を始めとする一部隊員キャラクターが、超常的な行動を取ります。ぶっ飛んでます。かなりなんでも有りです。
5) 小説家になろう、カクヨムにてすでに投稿済のものになりますが、そちらより一話当たり分量を多くして話数を減らす整理のし直しを行っています。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる