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第十四章

清々しくない朝2

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「どうしたのですか?」

 キラの背後からミーチャが顔を出す。

「ミーチャ。敵襲のようだ。危ないから隠れていなさい」
「もう。キラさん、僕だって男ですよ」

 ミーチャは、プーっと頬をふくらませる。

「ミクさん。キラさん。ミーチャさん。おはようございます」

 姿は見えないが、Pちゃんの声が聞こえた。充電が終わったようだ。司令塔の下にいるようだが、この状況見たら怒りそうだな。

「メイドさん。みんなが甲板で倒れているよ」
「ミクさん。大丈夫です。酔いつぶれているだけですよ。みなさん、昨夜はかなり飲んでいましたから」
「飲んでいた? そう言えば、なんかお酒臭い。もう、これだから大人って……」

 面目ないな。

「ひい!」
 
 ミーチャが小さな悲鳴をあげた。

「どうした? ミーチャ」
「アレンスキー大尉が、なぜここに」

 いけない。エラを特例で呼んだ事をキラとミーチャに伝えておかなかった。どうせ、すぐに《水龍》に戻ってもらうつもりだったからな。

「なに? 《海龍》には来させないという約束だったのに……安心しろ。ミーチャ。お姉さんが守ってあげるから」

 そう言ってキラはミーチャを抱きしめる。その顔は妙に嬉しそうだ。

「ねえ、ミーチャ、キラ。エラも寝ているみたいだし、今のうちにやっちゃおうよ」
「ミクさん。やるって?」「何をやるというのだ。ミク」
「ええっとね。とにかく、ミーチャはこのオバンに散々いじめられたのでしょ」

 いや、待て。それをやったのは他のエラであって、ファースト・エラは関わっていなかったのでは……

「寝ている間に、仕返ししちゃおうよ」

 ミクの提案に対して、ミーチャはブルブルと激しく首を横に振る。

「無理です! 無理です! そんな事をしたら、後で半殺しに……いや、全殺しにされます」
「大丈夫だよ。あたしとキラが守るから。仕返ししちゃおうよ」
「いいです。仕返しなんて」
「復讐したくないの?」
「復讐なんてしなくていいです。そんな事をしたって楽しくないし……とにかく、僕はこの人とは永久に関わりたくないのです」
「そっかあ……」

 ミクは司令塔からスタッと甲板に飛び降りると、寝ころんでいるエラの側に近寄った。

「ミクさん。アレンスキー大尉に近づくのは危険です。突然暴れだし……あわわ!」

 ミクを止めようとして慌てて司令塔から飛び降りたミーチャは、足をもつれさせて倒れ込んだ。

 寝ているエラの真上に……
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