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第十三章

とある場所2(回想)

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「「え?」」

 二人は意外そうな視線を彼女に向けた。

「な……なんです! 女がタバコを吸ったら変ですか!?」
「い……いや、別に変じゃないけど、晶ちゃんみたいな可愛い女の子がタバコ吸うなんて意外だなと思って……いつから吸っていたの?」
「矢部さん。それ以上聞くのは止めましょう。橋本さん。言いたくない事を言わせてしまってすみません。この事は僕達の胸の内に止めておきます。矢部さんもいいですね?」
「え? 別にいいんじゃないの? タバコは禁止されているわけじゃなし」
「法律で禁止はしていなくても、喫煙者を異常に叩く人もいるから……」
「少なくとも、機動服中隊にそんな人はいないのでは……」

 矢部のセリフを橋本晶はボソっと呟くように遮った。

「います」
「「え? 誰?」」
「隊長ですよ」
「え? あの優しい隊長が……」「俺には優しくないけど、女子供には優しい隊長が晶ちゃんにそんな事を……」
「私が直接言われたわけじゃありません。ですが、私は喫煙所でカルル・エステスさんとよく会って話を聞いていたのです。カルルさんは隊長とは友達ですが、近くでタバコを吸うと『臭いから余所で吸え!』と怒られるそうです。だから、タバコを吸っている事は隊長には内緒にしようと……」
「いや……大丈夫ですよ、橋本さん。隊長とカルル・エステスさんは友達だから、それはどつき漫才の範囲です」
「でも……もし隊長から『臭いから余所で吸え』なんて言われたら、私、立ち直れません」
「大丈夫ですよ。隊長は人を傷つけるような事は言いませんから」
「俺は傷つくような事言われたけど……」
「矢部さんは自業自得です。仏の顔も三度までと言うでしょ。限度を越えるような事をしたら、仏の隊長だって怒りますよ」
「はいはい、俺が悪かったですよ」

 ふてくされる矢部をほっておいて、小淵は橋本晶の方へ話をふった。

「それで橋本さん。その人とは話をした事はありますか」
「話というか……いつも、一方的に話しかけてくるのですよ」
「話? どんな事を?」
「誰かの悪口とか、どうでもいい自慢話とか……聞いていて気分が悪くなります。喫煙所内にいる人に誰かれかまわずそういう話をするので、皆さん嫌がって……最近では喫煙所内にその人がいると、みんな他の喫煙所へ行ってしまうのです」
「もしかして、喫煙所が増設されたのは、その人のせいですか?」
「分かりませんけど、そうじゃないのですか」
「そうか。それじゃあ橋本さんには、その人に探りを入れてもらいたいと思ったのですが、無理ですか?」
「私、やります」
「いいのですか? その人と会うのは嫌なのでは」
「できれば、喫煙所で鉢合わせにはなりたくない人ですが、そういう事なら仕方ありません」
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