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第十三章

かつての仲間4

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 夕日を浴びながら急接近する銀色の機体は、体当たりでもするかのような勢いで迫ってきた。

 だが、これはおそらくフェイク。

 古淵の機体は、ぶつかる寸前で突然減速して、進行方向を変えた。

 やはり、『決着を付ける』などと言っていたが、本当は僕の脇をすり抜けて逃げる気だったな。

 だがその前に、僕は古淵が避けると予想した方向へワイヤーガンを撃っていた。

 弾丸は左足の装甲に刺さる。

 そのまま僕は、古淵に引きずられるように空中を進んだ。僕を引きずりながら、古淵は僕の方振り向き通信を送ってくる。

『北村さん。あくまでも僕を逃がさないつもりですね?』
「当たり前だ。ウインチスタート」

 ワイヤーを巻き上げ肉薄。

 そのままブーストパンチを叩き込むことなく、僕と小淵はつかみ合いになる。

 

 その一方、芽衣ちゃんの方は……


『うりゃあ! ブースト!』

 芽衣ちゃんから数十発のブーストパンチを食らった矢部機は、機体のあちこちにヒビが入っていた。

 それでも殴り返さないとは、なかなか見上げたフェミニスト魂……

『芽衣ちゃん……俺が女の子には、絶対にやり返さないと思っているのか?』
『殴り返したかったらどうぞ。私は矢部さんを殺すつもりでやっています。だから、逆襲されて殺されても一行にかまいません』
『いや。女の子は殴らない』

 矢部はワイヤーガンを撃ってきた。

 芽衣ちゃんは右腕の装甲で、ワイヤーガンの弾丸をはじき飛ばす。

 すると、矢部は弾き飛ばされたワイヤーを掴んだ。

 何をする気だ?

 ワイヤーの先を結んで輪っかを作った。それを振り回して、投げ縄の要領で芽衣ちゃんに投げつける。

『キャ!』

 輪っかの中に芽衣ちゃんの機体が入った。そのまま、矢部は芽衣ちゃんの機体を締め付ける。

『どうだい。芽衣ちゃん。身動き取れないだろう』
『クッ! 動けない私を、なぶり殺しにするつもりですね』

 矢部は無言のまま首を横に振ると、ワイヤーを掴み芽衣ちゃんの機体をたぐり寄せた。

『俺は女を殴らない。ただ……』

 右手を尻に回して撫で回した。

『触るだけだ』
『いやあああああ! 変態!』

 見下げ果てた変態魂だ……
 
 その様子を見ながら、僕は互いに腕を掴みあっていて、膠着状態になっている古淵に声をかけた。

「前の僕は、あれを叱責だけで済ませたのか?」

 古淵は首を横に振った。

『公式には叱責で済ませた事になっていますが、実際には矢部さんを射殺しようとしました。僕と橋本さんが必死で隊長を止めたのですよ』
 
 そんな事があったのか……
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