上 下
482 / 828
第十三章

対消滅爆雷

しおりを挟む
 フーファイターの底面に穴が開いて、シリンダー状の物体がせり出してくる

『フーファイターのスペックを調べたなら、これがなんだか分かるな?』
「それは……対消滅ついしょうめつ爆雷!」
『その通りだ。これの威力なら半径一キロ以内にいる潜水艦は破壊できる。確かにフーファイターに潜水艦探知能力はないが、潜望鏡やフローティング・アンテナを見つけてだいたいの位置さえ掴めれば葬れるのだよ』

 そこまで言ったところで対消滅爆雷は投下された。

『俺からプレゼントだ。ありがたく受け取れ』

 その直後、メインスクリーンの画像が消える。

 フローティング・アンテナが破壊されて、ドローンから送られてくる電波が途絶えたのだ。

 フローティング・アンテナが破壊されたのに、その下にいる僕たちがなぜ平気かって?

 なぜなら、フローティング・アンテナの下にいたのは水中ドローンであって、《水龍》と《海龍》はそこから十五キロ下流の川底に着底し、水中ドローンとケーブルで繋がっていたのだ。

 これが逃げたと思わせるための小細工。

 僕たちはフーファイターが来る前に、ドローンのコントロールを水中ドローン経由に切り替えていた。そしてフローティング・アンテナを浮かべた状態で水中ドローンを上流に向かわせる事によって《水龍》《海龍》が逃走中だと敵に錯覚させたのだ。

 それは良いとして……

「総員、対ショック対閃光防御」

 十五キロ離れているとは言え、対消滅爆雷の衝撃が完全に消えるわけじゃない。時間差をおいて伝わってくるはずだ。

「ご主人様。ここは水中ですので対閃光防御は必要ありません」

 そうでした。いや、ついヤ○トのノリで……

「総員、対ショック対音防御」
 
 全員がシートベルトで身体を固定し、防音イヤーマフを装着する。

 しばらくして凄まじい振動が船体を襲った。

「うう! 気持ち悪いよう!」

 振動が治まった後、ミクが口を押さえてトイレへ駆け込む。

「Pちゃん。ミクに酔い止めの薬を用意しておいて」
「はい。ご主人様」
「それとロンロンとリンクして損害状況を報告してくれ」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

戦国終わらず ~家康、夏の陣で討死~

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:136

異世界で魔法使いとなった俺はネットでお買い物して世界を救う

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,180

ベテラン冒険者のおっさん、幼女を引き取り育てて暮らす

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:1,362

【完結】理想の人に恋をするとは限らない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:1,185

京都駅で獏を見た。

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

処理中です...