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第十三章

菊花 VS フーファイター3

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 そうこうしているうちに、フーファイターは空対空ミサイルの有効射程に入っていた。

 各機から、二発ずつのミサイルを発射。

 合計十発のミサイルがマッハ三でフーファイターへ向かう。

 さて、フーファイターはこれをどうやって防ぐか?

 さっきのようにギリギリで避けるか?

 それとも、レーザーで撃ち落とすか?

 そのどれでもなかった。

 フーファイターは迎撃も回避もしなかった。ただ、フータァイターに向かっていた十発のミサイルが、突然向きを下に変えてフーファイターの下を抜けてしまったのだ。

 その中の三発は途中で爆発してしまう。

 これは……?

『面白い物を見せてもらったわ』

 そう言ったのはアーニャ。

『今のは、重力場でミサイルの向きを無理矢理変えたのよ。爆発したミサイルは、標的の方向へ戻ろうとして無理した結果、機体が折れてしまったのだわ』

 重力制御でそんなことまでできるのか。

『ただし、それには制限がある。重力場を発生させられるのはフーファイターから五キロ以内の一ヵ所だけ。複数同時には発生できない。したがってミサイルを散開させて撃てば対応できないはずだわ』

 なるほど。さっきは密集して撃ったからまとめてやられたのだな。

 残りのミサイルをあらゆる方向から、フーファイターに向けて撃った。

 上下左右から十発のミサイルがフーファイターに迫る。

『何発撃ってこようが無駄だ! フーファイターがミサイルごときにやられるかよ』

 矢納さんがそう言った直後、重力制御で二発のミサイルが進路を変えられ下方に落ちていく。

 しかし、重力場の影響を受けたのは二発だけ。

 他のミサイルは影響を受けないで進んでいく。

 フーファイターがレーザーを撃って四発が落とされた。

 残り四発は躱されてしまう。

『これでミサイルはすべて撃ち尽くしたな。今度はこっちの番だぜ』

 フーファイターがこっちへ向かってきた。

「全機散開。一ヵ所にいると重力場でやられる」
『『『『了解』』』』

 五機の菊花が、フーファイターを包み込むように散開する。

『北村! そんな事をしても無駄だとわからんのか。ジェットドローンごとき何機いようがフーファイターの敵じゃねえんだよ』
「確かに。でも矢納さん。その機体。予備のエネルギーあるのですか? フーファイターのエネルギーって反物質でしょ」
『ギク……なんて言うと思ったか? 心配しなくても、予備の反物質なら用意してある。この惑星のある場所に反物質精製施設があるのさ。それがどこあるのかは教えてやらないが』

 だろうな。そうでもなかったらこんな面倒な機体を使うはずがない。

『さて、一機ずつ片付けてやるぜ』

 最初に落とされたのは芽衣ちゃん。

 重力場に捕まり、潮汐作用で機体がばらばらになってしまった。

 続いて、レイホー機とアーニャ機がレーザーで落とされる。

 僕の機体と馬美鈴機は何とか、バルカン砲の射程に飛び込めたがトリガーボタンを押す前にレーザーで落とされてしまった。

『次はお前らが隠れている潜水艦を叩きに行く。首を洗って待っていな』

 いよいよ来るか。
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