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第十二章

レムの状況

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レムの状況

(戦争をなくしたい)
    ↓
(全人類を一つの存在に進化させればいい)
    ↓
(やっぱ無理)
    ↓
(しゃあねえ。自分だけ進化して独裁者になったろ) 
    ↑
   今ここ


   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

 失敗したと分かったなら止めればいいのに……というのは他人だから言えるのだろうな。
 レム本人にしてみれば、恒久的平和を実現しようと夢見て頑張ってきたのに、それがすべて無駄だったなんて、認めたくないし、受け入れたくないだろう。
 その気持ちは分からなくもない。分からなくもないが……

 そんな事に他人を巻き込むな! 自分一人で始末しろ!

 まあ、と言ったところで止める分けがないだろうけど……レムの事は置いといて、当面の問題は……

 僕は部屋の壁に視線を移した。

 そこには、西の橋上空のドローンから送られてきた映像がPちゃんのプロジェクションマッピングによって映し出されている。

 橋の中央に、輝く光の玉が見えた。

 高周波磁場に捕まった弾丸がプラズマ化したものだ。

 この球体の中にエラがいるのだろう。

 この光の玉からさらに小さな光の玉が飛び出して、押し寄せる敵を焼き払っていた。

 映像を移動させると、小舟で運河を渡ろうとしている部隊がいるのが見える。

 オボロに乗って上空にいたミクの放ったプラズマボールが、その小舟を拭き払う。

 運河の向こうでは、キラの分身体が暴れ回って敵の数を減らしていた。

 しかし、この三人もそろそろ限界だろう。

 町長の方を向いた。

「町長。ロータス防衛隊の弾薬は?」
「もう、弾薬庫は空です」

 駄目か。

 レイラ・ソコロフの方を向いた。

「ナンモ解放戦線正規部隊の動きはどうなっています?」
「停戦を呼びかけながら、後方から攻撃をかけていますが……」

 レイラ・ソコロフは通信機を操作しながら答えた。

 こんな良いものがあるなら、なぜ今まで使わなかった? と思ったのだが、ナンモ解放戦線側にリトル東京が付いている事を、帝国軍に悟らせないために今までずっと通信官制を敷いていたらしい。

 実際は、とっくにばれていた分けだが……

「こっちへ回り込めませんか? ゴロツキどもが町に入ったら大変なことに……」
「分かっています。今、回り込むルートを探しているところです」

 こっちも駄目か。

 さらに駄目押しのようにミクから通信が入った。

『お兄ちゃん。あたしもキラも限界だよ。戻っていい?』
「分かった! すぐに戻ってこい」

 こうなったら、マテリアルカートリッジが勿体ないが背に腹は返られない。

 電磁砲レールキャノンの弾丸を《海龍》のプリンターで……

 次に通信が入ったのはその時。通信相手はミーチャ? 
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