425 / 828
第十二章
死ぬよりマシだと思ってくれ
しおりを挟む
「北村さん。これでいいのですか?」
町の上空を飛んでいる途中、不意に芽依ちゃんが不満そうな声で言った。
「え? いいって? 何が?」
「司令官は北村さんですよ。なんで、あの人が仕切るのです?」
ううん……そんな事言ってもなあ、僕って仕切るのは苦手だし、誰かが代わりにやってくれたらむしろにありがたいし……
「まあまあ、アーニャさんは僕らより経験も豊富だし……」
「そうですね」
それでも、芽依ちゃん不満そうだ。
「でも……私は、北村さんの指揮下で戦いたいのです」
そんな事言われても……
そうしているうちに、僕らは堀を越えて町の外へ出た。
下を見ると武装集団が町へ向かっているが、やはり統率がまるでとれていないな。これで帝国軍と戦ったら、ひとたまりもないぞ。
「北村さん。砲兵陣地が見えてきました」
芽依ちゃんの指さす先で、五門の青銅砲が並んでいた。
「武器はどうします? 捕虜を一人捕まえるのですよね?」
「そうだった。ショットガンのカートリッジを、非致死性ゴム弾と交換しておいて。捕虜はできれば隊長がいいが、制圧した時に死なれては困るからね」
「はい」
陣地にいる砲兵は二十人ほど。見たところ鎧など防具を着けている様子はないな。
着けていても皮鎧程度。これなら、ゴム弾で制圧できる。
いや、一人だけスケールアーマーを身に着け、兜を被っている者がいた。
「芽依ちゃん。スケールアーマーにゴム弾は通じるかい?」
「あんまり効果ありません」
面倒だな。
「北村さん。あの鎧を着けた人、隊長じゃないでしょうか?」
「え?」
「ゴム弾で部下を倒した後、あの人だけ捕まえて尋問すれば……」
なるほど……
「芽依ちゃんは右から掃討してくれ、僕は左から行く」
「はい」
僕らは左右に分かれると、細長い砲兵陣地を挟み込むように接近。
砲兵の一人が僕らの接近に気がついたときには、至近距離まで迫っていた。
「て……敵襲!」
兵士が叫ぶのと、僕がトリガーを引くのとほぼ同時。無数のゴム弾が兵士たちをなぎ倒す。
陣地の反対側では、芽依ちゃんが撃っていた。
撃たれた兵士たちは、地面の上で苦痛にのたうち回っている。
痛そうだな……まあ、死ぬよりはマシだと思ってくれ……
さすがにスケールアーマーで身を固めていた兵士は無事だったが、僕に向かって銃撃をしようとし、撃つ前に芽依ちゃんに羽交い締めにされていた。
羽交い締めにされた兵士は、銃を手放すと背後にいる芽依ちゃんに何か囁いた。
「北村さん。この人やはり隊長です」
よし! 連行だ。
と言っても、十メートル上空へ連れて行っただけだが。
町の上空を飛んでいる途中、不意に芽依ちゃんが不満そうな声で言った。
「え? いいって? 何が?」
「司令官は北村さんですよ。なんで、あの人が仕切るのです?」
ううん……そんな事言ってもなあ、僕って仕切るのは苦手だし、誰かが代わりにやってくれたらむしろにありがたいし……
「まあまあ、アーニャさんは僕らより経験も豊富だし……」
「そうですね」
それでも、芽依ちゃん不満そうだ。
「でも……私は、北村さんの指揮下で戦いたいのです」
そんな事言われても……
そうしているうちに、僕らは堀を越えて町の外へ出た。
下を見ると武装集団が町へ向かっているが、やはり統率がまるでとれていないな。これで帝国軍と戦ったら、ひとたまりもないぞ。
「北村さん。砲兵陣地が見えてきました」
芽依ちゃんの指さす先で、五門の青銅砲が並んでいた。
「武器はどうします? 捕虜を一人捕まえるのですよね?」
「そうだった。ショットガンのカートリッジを、非致死性ゴム弾と交換しておいて。捕虜はできれば隊長がいいが、制圧した時に死なれては困るからね」
「はい」
陣地にいる砲兵は二十人ほど。見たところ鎧など防具を着けている様子はないな。
着けていても皮鎧程度。これなら、ゴム弾で制圧できる。
いや、一人だけスケールアーマーを身に着け、兜を被っている者がいた。
「芽依ちゃん。スケールアーマーにゴム弾は通じるかい?」
「あんまり効果ありません」
面倒だな。
「北村さん。あの鎧を着けた人、隊長じゃないでしょうか?」
「え?」
「ゴム弾で部下を倒した後、あの人だけ捕まえて尋問すれば……」
なるほど……
「芽依ちゃんは右から掃討してくれ、僕は左から行く」
「はい」
僕らは左右に分かれると、細長い砲兵陣地を挟み込むように接近。
砲兵の一人が僕らの接近に気がついたときには、至近距離まで迫っていた。
「て……敵襲!」
兵士が叫ぶのと、僕がトリガーを引くのとほぼ同時。無数のゴム弾が兵士たちをなぎ倒す。
陣地の反対側では、芽依ちゃんが撃っていた。
撃たれた兵士たちは、地面の上で苦痛にのたうち回っている。
痛そうだな……まあ、死ぬよりはマシだと思ってくれ……
さすがにスケールアーマーで身を固めていた兵士は無事だったが、僕に向かって銃撃をしようとし、撃つ前に芽依ちゃんに羽交い締めにされていた。
羽交い締めにされた兵士は、銃を手放すと背後にいる芽依ちゃんに何か囁いた。
「北村さん。この人やはり隊長です」
よし! 連行だ。
と言っても、十メートル上空へ連れて行っただけだが。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
142
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる