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第十二章

解放

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「☆▽+$#%&**〇」

 バスルームから、エラが出てきて、帝国語で何かを言った。

 翻訳機はナーモ語 ⇔ 日本語にセットしたままなので、エラが何を言っているのか僕にはさっぱり分からない。

 カミラが僕達の方を向く。

「薬ができたわ。もう私達は出ていくわね。これは、約束の迷惑料よ」

 そう言って、カミラは金貨五枚をベッドの上に置いた。

「はーい。お姉さま」

 ミールが目を輝かせる。

「それと、申し訳ないけど、あなた達には少しの間だけ寝ていてもらうわね」

 え? 何を……と聞く前に、エラが僕達の方へやってくる。

「きゃあ!」

 ミールが電撃を受けて、ベッドの上に倒れた。

「ミール!」

 次の瞬間、僕も電撃を食らう。

 意識が暗転……

 …

 ……

 ………

「ご主人様。ご主人様」

 ん? 耳元でPちゃんの声? 

「ご主人様。目を覚まして下さい。早く、目を覚まして下さい。このままでは、危険です」

 危険? やはり、エラ達は僕らを始末する気か? あれ? 手は動く。

 戒めは解かれているみたいだが……

 うわ! 何かが、僕にのしかかって来た!

 目を開くと……え?

 ミールの顔が眼前に迫っていた。

「うぐ」

 ミールの柔らかい唇が僕の口に……

「カイトさん。起きましたか?」

 危険って……そういう事か……

「やはり、悪い魔法使いにかけられた眠りの魔法を解くには、キスに限りますね」

 いや、眠りの魔法じゃないんだけど……ていうか、ミール。いい加減に僕の上から退いてほしいのだけど……いや、まあ……これはこれで気持ちいいのではあるが……

「ミールさんがキスする寸前に、ご主人様は目を開いていましたよ」
「あら? そうでしての。もう! カイトさんたら、あたしにキスしてほしくて、気絶したフリをしていたのですね」

 いや、フリじゃなくて、マジに気絶していたから……

「そんな事をしなくても、キスなんていくらでもしてあげますわ」

 いや……まあ……それは、うれしいけど……今はそれどころでは……

「ご主人様。ミールさん。《海龍》のアーニャ・マレンコフさんが通信を求めています」

 え? やべ! 時計を見ると定時連絡の時間をとっくに過ぎていた。

「なお、向こうに残してある私の本体が、プロジェクション・マッピングでこの部屋の光景を投影しますので、二人とも体裁を整えて下さい」
「仕方ないですね」

 ようやく、ミールは僕の上から退いた。

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