400 / 848
第十二章
カミラ。復讐の誓い。
しおりを挟む
「薬はもう完成したのですか?」
僕の質問にカミラは首を横に振る。
「今、丸薬を乾かしているところ。後、十分ほどで終わるから、もう少し待っていてね。それから、あなた達。協力してくれたお礼に教えてあげるけど、明日の昼までにこの町から逃げ出しなさい」
「なぜですか?」
「わけは言えない。だけど、明日の昼には大変な事になるの。それまでに逃げてほしいの」
明日の昼には盗賊団がやってくるのか。それにしても、このカミラって人……良い人だな。
「カミラさん。聞いていいですか?」
「なあに?」
「あなたは、犯罪に手を染めるような人には見えない。なんで、こんな事をするのです?」
「そうね。私も本当は人に危害を加えるような事はしたくないの……ああ! エラは別よ。あいつは人を痛めつけるのが大好きな変態だから」
知っている。
「でもね、私は復讐しなきゃならないの」
復讐?
自分を陥れたのが、ミールだという事を知ってしまったのか?
「私は、帝国に復讐してやるのよ」
え? ミールに復讐するのではないの?
「私は元々、帝都で薬師をやっていたの」
それも知っている。
「ある日、私に帝国軍から依頼が舞い込んだのよ。魔法回復薬を作ってほしいと。私は苦労の末に何とか薬を完成させたの。ところがその直後、私は冤罪で逮捕され投獄されたのよ」
ミールを見ると、罪悪感に顔をひきつらせていた。
「どんなに無実を訴えても、信じてもらえなかった。私は終身刑を言い渡されて投獄されたわ。ところがある日、刑務所がゲリラに襲撃されたの」
ゲリラ? 帝国内で反乱があったというのは聞いたけど、まだその時の勢力が残っていたのかな?
「刑務所には、ゲリラのリーダーがいたの。襲撃の目的はリーダーの救出。私は刑務所内でリーダーと仲良くなっていたので、ついでに救出されたのよ。でも、私を助けたのは、それだけじゃなかった。私が魔法回復薬を作れることを知って連れ出したのよ。ゲリラは帝国人だけでなく、ナーモ族の魔法使いもいたので薬師を欲しがっていたのよね。その後、私はゲリラ達と一緒にロータスの近くにまで逃げてきたわ。逃げる途中で、ゲリラ達から聞かされたの。私が投獄された後にあった事を」
「何があったのです?」
「別の薬師が、薬を完成させたのよ。でも、そいつは私の研究を盗んだのよ」
「なぜ……盗んだと?」
「そいつは、私の兄弟子だった男。でも、薬師としての才能はさっぱり。あいつに回復薬を開発できるはずないわ。私が投獄された後に、私の研究資料を盗んだのよ。そもそも、私に濡れ衣を着せたのもあいつだわ」
「そこまで……するかな」
「するのよ。あいつは、私のことを恨んでいるはずだから」
「何か、やったのですか?」
「プロポーズを断ったの」
分かりやすい、恨みだ。でも、濡れ衣を着せたのはその人じゃないのだなあ。
「な……なんで、断ったのですか?」
ミールはひきつった顔で質問した。
「無能なくせに、プライドだけは高い最低の男だからよ。あいつのプライドの源は才能ではなくて、皇帝の血筋というだけ。おまけに本当に高貴な血筋なのか疑いたくなるぐらいの醜男」
顔で人を差別するのはよくないと思うけど……
「帝国は最初から、皇帝の血筋であるあの男に手柄を立てさせたかったのだわ。そのために、私に研究を命じた後、研究の完成間際で私を陥れたのよ。私が無実をいくら訴えても無駄だったはず。帝国がグルになって私を陥れただから。だから、私は帝国に復讐してやるのよ」
凄い思い違い。たぶん、ゲリラも彼女を仲間に引き入れるために、色々とデマを吹き込んだのだな。
僕の質問にカミラは首を横に振る。
「今、丸薬を乾かしているところ。後、十分ほどで終わるから、もう少し待っていてね。それから、あなた達。協力してくれたお礼に教えてあげるけど、明日の昼までにこの町から逃げ出しなさい」
「なぜですか?」
「わけは言えない。だけど、明日の昼には大変な事になるの。それまでに逃げてほしいの」
明日の昼には盗賊団がやってくるのか。それにしても、このカミラって人……良い人だな。
「カミラさん。聞いていいですか?」
「なあに?」
「あなたは、犯罪に手を染めるような人には見えない。なんで、こんな事をするのです?」
「そうね。私も本当は人に危害を加えるような事はしたくないの……ああ! エラは別よ。あいつは人を痛めつけるのが大好きな変態だから」
知っている。
「でもね、私は復讐しなきゃならないの」
復讐?
自分を陥れたのが、ミールだという事を知ってしまったのか?
「私は、帝国に復讐してやるのよ」
え? ミールに復讐するのではないの?
「私は元々、帝都で薬師をやっていたの」
それも知っている。
「ある日、私に帝国軍から依頼が舞い込んだのよ。魔法回復薬を作ってほしいと。私は苦労の末に何とか薬を完成させたの。ところがその直後、私は冤罪で逮捕され投獄されたのよ」
ミールを見ると、罪悪感に顔をひきつらせていた。
「どんなに無実を訴えても、信じてもらえなかった。私は終身刑を言い渡されて投獄されたわ。ところがある日、刑務所がゲリラに襲撃されたの」
ゲリラ? 帝国内で反乱があったというのは聞いたけど、まだその時の勢力が残っていたのかな?
「刑務所には、ゲリラのリーダーがいたの。襲撃の目的はリーダーの救出。私は刑務所内でリーダーと仲良くなっていたので、ついでに救出されたのよ。でも、私を助けたのは、それだけじゃなかった。私が魔法回復薬を作れることを知って連れ出したのよ。ゲリラは帝国人だけでなく、ナーモ族の魔法使いもいたので薬師を欲しがっていたのよね。その後、私はゲリラ達と一緒にロータスの近くにまで逃げてきたわ。逃げる途中で、ゲリラ達から聞かされたの。私が投獄された後にあった事を」
「何があったのです?」
「別の薬師が、薬を完成させたのよ。でも、そいつは私の研究を盗んだのよ」
「なぜ……盗んだと?」
「そいつは、私の兄弟子だった男。でも、薬師としての才能はさっぱり。あいつに回復薬を開発できるはずないわ。私が投獄された後に、私の研究資料を盗んだのよ。そもそも、私に濡れ衣を着せたのもあいつだわ」
「そこまで……するかな」
「するのよ。あいつは、私のことを恨んでいるはずだから」
「何か、やったのですか?」
「プロポーズを断ったの」
分かりやすい、恨みだ。でも、濡れ衣を着せたのはその人じゃないのだなあ。
「な……なんで、断ったのですか?」
ミールはひきつった顔で質問した。
「無能なくせに、プライドだけは高い最低の男だからよ。あいつのプライドの源は才能ではなくて、皇帝の血筋というだけ。おまけに本当に高貴な血筋なのか疑いたくなるぐらいの醜男」
顔で人を差別するのはよくないと思うけど……
「帝国は最初から、皇帝の血筋であるあの男に手柄を立てさせたかったのだわ。そのために、私に研究を命じた後、研究の完成間際で私を陥れたのよ。私が無実をいくら訴えても無駄だったはず。帝国がグルになって私を陥れただから。だから、私は帝国に復讐してやるのよ」
凄い思い違い。たぶん、ゲリラも彼女を仲間に引き入れるために、色々とデマを吹き込んだのだな。
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめる予定ですー!

2回目チート人生、まじですか
ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆
ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで!
わっは!!!テンプレ!!!!
じゃない!!!!なんで〝また!?〟
実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。
その時はしっかり魔王退治?
しましたよ!!
でもね
辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!!
ということで2回目のチート人生。
勇者じゃなく自由に生きます?

神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」
ゲームで第二の人生を!~最強?チート?ユニークスキル無双で【最強の相棒】と一緒にのんびりまったりハチャメチャライフ!?~
俊郎
SF
『カスタムパートナーオンライン』。それは、唯一無二の相棒を自分好みにカスタマイズしていく、発表時点で大いに期待が寄せられた最新VRMMOだった。
が、リリース直前に運営会社は倒産。ゲームは秘密裏に、とある研究機関へ譲渡された。
現実世界に嫌気がさした松永雅夫はこのゲームを利用した実験へ誘われ、第二の人生を歩むべく参加を決めた。
しかし、雅夫の相棒は予期しないものになった。
相棒になった謎の物体にタマと名付け、第二の人生を開始した雅夫を待っていたのは、怒涛のようなユニークスキル無双。
チートとしか言えないような相乗効果を生み出すユニークスキルのお陰でステータスは異常な数値を突破して、スキルの倍率もおかしなことに。
強くなれば将来は安泰だと、困惑しながらも楽しくまったり暮らしていくお話。
この作品は小説家になろう様、ツギクル様、ノベルアップ様でも公開しています。
大体1話2000~3000字くらいでぼちぼち更新していきます。
初めてのVRMMOものなので応援よろしくお願いします。
基本コメディです。
あまり難しく考えずお読みください。
Twitterです。
更新情報等呟くと思います。良ければフォロー等宜しくお願いします。
https://twitter.com/shiroutotoshiro?s=09
聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!
山田みかん
ファンタジー
「貴方には剣と魔法の異世界へ行ってもらいますぅ~」
────何言ってんのコイツ?
あれ? 私に言ってるんじゃないの?
ていうか、ここはどこ?
ちょっと待てッ!私はこんなところにいる場合じゃないんだよっ!
推しに会いに行かねばならんのだよ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる