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第十二章

十分一スケールPちゃん

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 ロータス郊外の荒野でぽつんと突き出ている岩山の上に、エシャーとルッコラは舞い降りた。
 それぞれの背中から、僕とミールは飛び降りる。

「ありがとう。エシャー」
 
 僕はエシャーの首筋を撫でながら言った。

「ドウイタシマシテ」

 僕のそばにロッドが降りてきた。

「ピー」
「ありがとう。ロッド」

 ロッドの頭を撫でてから、その首にぶら下がっていた籠に手を入れて、ホロマスクを二つ取り出す。
 一つをミールに渡して、一つは僕の首に付けた。

「ミール。ホロマスクの使い方は覚えているかい?」
「大丈夫です。カイトさん」

 僕もミールも帝国軍には顔を知られている。
 この町で素顔を晒すわけにはいかないので、顔の周囲に立体映像ホログラフを投影する装置、ホロマスクを持ってきたのだ。

 ホロマスクのスイッチを入れて鏡を見ると、僕の顔は三十代くらいのナーモ族男性の顔になっていた。
 頭に着いている猫耳は、BMIで動くようになっている。
 同様にズボンの尻から出ている猫尻尾も……
 尻尾の方は立体映像ではなく、市販品のパーティグッズのデータを元にプリンターで作った物だが、所詮は玩具。
 動きが不自然ではないだろうか?

「カイトさん、その尻尾」

 ミールの顔はホロマスクで二十代後半ぐらいのナーモ族女性の顔になっていた。
 ミールの自前の尻尾と、僕の尻尾の動きを見比べて見たが、やはり不自然だろうか?

「ミール。やっぱり、この尻尾は不自然かな?」
「いいえ、そんな事ないです。ただ……」
「ただ?」
「すごく、セクシイです!」
「へ? セクシイ?」

 ミールは、僕にしがみついてきた。

「ああ! カイトさんの尻尾が、あたしを誘惑します」
「いや……これは作り物……」

 もしかして、ナーモ族って異性の尻尾の動きを見て発情するのか?

「カイトさん。ここでは二人切りです」
「ええっと……エシャーとロットとルッコラもいるけど……」
「ベジドラゴンはヒューマノイドの恋愛に興味なんて……」

 ミールがふと見回すと、エシャーとロッド、ルッコラがジーと僕とミールを見つめている。

「カイト。ミール。アタシ達ニ構ワズ、続キヲドウゾ」
「そ……それではお言葉に甘えて、カイトさん。Pちゃんがいない今の内に……」
「甘ーい!」

 その聞き覚えのある女の声は、ロッドが首から下げている籠から聞こえてきた。

「よいしょっと」

 籠の中から、声の主が這い出してくる。

 な……なんだ? これは……身長十五センチほどの小人?

 いや、この小人の顔は……頭についている二本のアンテナにメイド服は……

 十分一スケールPちゃん?

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