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第十二章
過去の経緯
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「おおい!」
《海龍》と併走して航行していた《水龍》の甲板上で、赤いビキニの上にエプロンをつけた姿のレイホーが手を振っていた。
「そろそろ、お昼にするね。船を繋ぐよ」
二隻の潜水艦は速度を落として接舷した。
船と船の間に板を渡して、その上をレイホーが料理の入った岡持ちを持ってくる。
「あれ? お兄さんも、食事の用意していたの?」
「いや、丁度良かったよ。肉だけでは栄養が偏るってPちゃんに怒られるから」
そのまま、甲板上に折り畳みテーブルを出して、レイホーの持ってきた青椒肉絲、八宝菜、回鍋肉など中華料理と、僕の焼いたレッドドラゴンの焼肉を並べ《海龍》甲板上で昼食会となった。
艦内にいた馬 美玲とアーニャ・マレンコフも加わる。
さすがにこのおばさん達(失礼)は、水着ではなかったが……
いい機会なので、アーニャ・マレンコフに、この惑星に降りてからの経緯を聞いてみた。
「私達は地表に降りてから、最初の一年間は攻撃には出ないで防御に徹していました。その間、帝国軍の攻撃を退けながら。プリンターで工作機械、土木機械などを作り、現地の資源を使って、要塞都市カルカを築き上げたのです」
「あの、その時の帝国軍は、どのような武器を使っていましたか?」
「もちろん、今のように青銅砲やフリントロック銃などではありません。近代的な戦闘車両やヘリコプター、ドローン、ミサイル、軍艦など……ただ、攻撃が妙に消極的なので変だなとは思っていました」
「その時点で、マテリアルカートリッジが無くなりかかっていたのでしょうか?」
「当然です。地球から持ち込んだ貴重なマテリアルカートリッジを戦争なんかに使ったら、すぐに無くなってしまいます。ただ、私達も最初は、帝国も現地で製造した兵器を使っているものと思っていました。しかし、帝国軍の捕虜や亡命者からの情報でだんだん分かってきたのです。帝国では……というよりマトリョーシカ号から降りてきた人達は、工作機械をまともに使いこなす事ができなかったのです。私自身マトリョーシカ号に乗っていましたが、製品を作るのはプリンターを使うのが当たり前という考えでいました。ただ、現地に行ったら、現地の資源を利用しなきゃならないという事は、漠然と理解していたのですが、そんな難しい事ではないと思っていたのです」
実際に現地に到着してから、モノづくりがいかに大変かという事を思い知ったわけか……
「それが分かってから、私達は攻勢に出ることにしたのです。戦っていれば、いずれ帝国はマテリアルカートリッジを使い切って戦えなくなる。もしかするとその前に、帝国の方から和平を申し出て来るかもしれない。実際に和平交渉を持ちかけてきました」
「応じたのですか?」
「ええ。帝国の使者がカルカに来ました。その時、私達は使者にある事を要求したのです」
何を要求したのだろう?
「《天竜》が落とされる前に、地表の六ヶ所にレムのコンピューターセンターがあるのを発見した事は、章 白龍から聞きましたね?」
「ええ」
「あれをすべて破壊する事を要求しました。当然、拒否すると思っていましたが、拒否どころか使者はコンピューターセンターの存在すら知らなかったのです。自分達がレムに操られている事を自覚していないのです。ただ、レムを神として崇めていましたが」
「で、交渉はどうなりました?」
「当然決裂しました。そもそも、レムを何とかしないと、その傀儡である帝国との和平などありません。そこで私達は、潜水艦隊を建造しました。今残っているのは《水竜》と《海龍》だけですが、当時はもう一隻《光龍》という潜水艦もあったのです」
「それは、レムのコンピューター基地を破壊するためですか?」
「ええ。六か所のうち一か所はニャトラス大陸にありました。その基地は、和平交渉の前にすでに攻撃して破壊していました。そこが今のシーバ城」
「え!? じゃあシーバ城の地下にあった地下都市は?」
「あれはレムの基地だったのです」
「じゃあ、そこにあった核爆弾は?」
「元々、そこにあったのです」
なんてこった。帝国軍がなぜシーバ城の下に核がある事を知っていたのか分からなかったが、これではっきりした。あれは最初から帝国の物だったんだ。
《海龍》と併走して航行していた《水龍》の甲板上で、赤いビキニの上にエプロンをつけた姿のレイホーが手を振っていた。
「そろそろ、お昼にするね。船を繋ぐよ」
二隻の潜水艦は速度を落として接舷した。
船と船の間に板を渡して、その上をレイホーが料理の入った岡持ちを持ってくる。
「あれ? お兄さんも、食事の用意していたの?」
「いや、丁度良かったよ。肉だけでは栄養が偏るってPちゃんに怒られるから」
そのまま、甲板上に折り畳みテーブルを出して、レイホーの持ってきた青椒肉絲、八宝菜、回鍋肉など中華料理と、僕の焼いたレッドドラゴンの焼肉を並べ《海龍》甲板上で昼食会となった。
艦内にいた馬 美玲とアーニャ・マレンコフも加わる。
さすがにこのおばさん達(失礼)は、水着ではなかったが……
いい機会なので、アーニャ・マレンコフに、この惑星に降りてからの経緯を聞いてみた。
「私達は地表に降りてから、最初の一年間は攻撃には出ないで防御に徹していました。その間、帝国軍の攻撃を退けながら。プリンターで工作機械、土木機械などを作り、現地の資源を使って、要塞都市カルカを築き上げたのです」
「あの、その時の帝国軍は、どのような武器を使っていましたか?」
「もちろん、今のように青銅砲やフリントロック銃などではありません。近代的な戦闘車両やヘリコプター、ドローン、ミサイル、軍艦など……ただ、攻撃が妙に消極的なので変だなとは思っていました」
「その時点で、マテリアルカートリッジが無くなりかかっていたのでしょうか?」
「当然です。地球から持ち込んだ貴重なマテリアルカートリッジを戦争なんかに使ったら、すぐに無くなってしまいます。ただ、私達も最初は、帝国も現地で製造した兵器を使っているものと思っていました。しかし、帝国軍の捕虜や亡命者からの情報でだんだん分かってきたのです。帝国では……というよりマトリョーシカ号から降りてきた人達は、工作機械をまともに使いこなす事ができなかったのです。私自身マトリョーシカ号に乗っていましたが、製品を作るのはプリンターを使うのが当たり前という考えでいました。ただ、現地に行ったら、現地の資源を利用しなきゃならないという事は、漠然と理解していたのですが、そんな難しい事ではないと思っていたのです」
実際に現地に到着してから、モノづくりがいかに大変かという事を思い知ったわけか……
「それが分かってから、私達は攻勢に出ることにしたのです。戦っていれば、いずれ帝国はマテリアルカートリッジを使い切って戦えなくなる。もしかするとその前に、帝国の方から和平を申し出て来るかもしれない。実際に和平交渉を持ちかけてきました」
「応じたのですか?」
「ええ。帝国の使者がカルカに来ました。その時、私達は使者にある事を要求したのです」
何を要求したのだろう?
「《天竜》が落とされる前に、地表の六ヶ所にレムのコンピューターセンターがあるのを発見した事は、章 白龍から聞きましたね?」
「ええ」
「あれをすべて破壊する事を要求しました。当然、拒否すると思っていましたが、拒否どころか使者はコンピューターセンターの存在すら知らなかったのです。自分達がレムに操られている事を自覚していないのです。ただ、レムを神として崇めていましたが」
「で、交渉はどうなりました?」
「当然決裂しました。そもそも、レムを何とかしないと、その傀儡である帝国との和平などありません。そこで私達は、潜水艦隊を建造しました。今残っているのは《水竜》と《海龍》だけですが、当時はもう一隻《光龍》という潜水艦もあったのです」
「それは、レムのコンピューター基地を破壊するためですか?」
「ええ。六か所のうち一か所はニャトラス大陸にありました。その基地は、和平交渉の前にすでに攻撃して破壊していました。そこが今のシーバ城」
「え!? じゃあシーバ城の地下にあった地下都市は?」
「あれはレムの基地だったのです」
「じゃあ、そこにあった核爆弾は?」
「元々、そこにあったのです」
なんてこった。帝国軍がなぜシーバ城の下に核がある事を知っていたのか分からなかったが、これではっきりした。あれは最初から帝国の物だったんだ。
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